2012/10/16 (Tue) at 1:19 pm

映画|サウンド・オブ・マイ・ボイス|Sound of My Voice

自称未来人の教祖様が率いるカルト教団に潜入するカップルを描いたスリラー映画。クリストファー・デナムニコル・ヴィシャスブリット・マーリング。監督ザル・バトマングリ。2011年。

サウンド・オブ・マイ・ボイス / Sound of My Voice DVDDVD画像

ピーターさん(クリストファー・デナム)とローナさん(ニコル・ヴィシャス)は仲良しカップル。彼らはふたりきりでドキュメンタリ映画をつくろうと思いつく。テーマはカルト教団。怪しいアングラ集団に潜入し、その内情をビデオ撮影してやれという話。

そのために難儀をして回りくどい手順を踏み、本日、やっとこさ、入信を許され、教祖様に会う機会を得た。いったいどんなやつがでてくるのであるか。どきどきするなあ。

秘密の地下室に案内され、他の新入り信者のみなさんといっしょにガイダンスを受ける。軽く自己紹介などをし、一息ついたところで、さてさて、いよいよ、教祖様がやってきましたよ。

それはマギーと名乗る、みため20過ぎの、とってもきれいなネーチャンであった(ブリット・マーリング)。信者たちは感動的に彼女の姿を見守り、そのお言葉を拝聴する。「わたしは2054年からきた」そうな。ホエー。

初日は挨拶をし、彼女が未来からやってきた経緯などを教わる。マギーさんは極端に免疫が低いので、外に出ることはなく、24時間地下で暮らしているそうな。

この日以来、ピーター&ローナのコンビは定期的に教団の地下本部を訪れ、その核心に触れていくのであるが、さすがにガードが固く、隠し撮りなどは不可能に近い。信者たちはいったん別の家に集合し、持ち物を預け、お清めのシャワーを浴び、着替えをし、目隠しをされ、バンで連れてこられる、という調子なので、カメラを持ち込むどころか、地下室のある家がどこにあるのかもわからないのである。

コンビは信者になったフリをしつつ、方策を練るのであるが、そうこうやってるうちに、妙な展開になってくるのですね。なかなかおもしろい。

トレイラー動画

Sound of My Voice (2011) trailer

感想

ドニー・ダーコ』を好きなひと向け。

なんだか知らないが、すごいものを観てしまった。というのが直後の感想であります。あー、びっくりした。

映画は、ピーター&ローナの体験を通じ、マギーなる教祖様は稀代のペテン師か、はたまた、ほんとに2054年からきたのであるか、という興味を切り開いていくのでありますが、マギーを演じたブリット・マーリングがとてもよかった。神秘的で、存在感がある。こんなきれいな教祖様だったら入信してもいいわな、というのが第一印象なんだが、物語が進むにつれ、ただならぬオーラを出してくる。

ブリット・マーリングはこの映画のプロデューサーであり、共同ライターのひとりでもある。彼女自身も脚本に関わり、物語を深く理解した上で演じたゆえに、これだけしっくりなじんでいたのかなと推察します。

さて、この教団が具体的になにをやるかっていうと、教祖様の話を聞くのがメインで、その合間にリンゴを食って吐き出せといわれたり(心を浄化するためらしい)、未来は食糧難になるから、なんでも食えないといけないつって、ミミズを食わされたりする。

彼女の教えを受け入れ、崇拝することにより、あなたは選ばれる。そしたら過酷な未来を生き延びられる。というのが骨子みたい。乱交sexをやったり、ヤクでラリったり、火の上を歩かされるなんてことはなく、穏やかに会話をしているだけだが、その根底にあるのは終末思想であるように聞こえるので、これは危険なカルトの部類に入るであろう。いまはおとなしいが、いつかドエライことをやらかすのではないか。

そこに潜入したピーターとローナは映画づくりのプロでなく、趣味としてやっているのです。人生において意味あるものをつくってみたいという純粋さが活動の源なんだが、やはり素人さんなので、ストレスが高まるにつれ、平静さが失われてくる。

当初の目論見では、カルトの教祖様をだまくらかすなんてチョロいわ、くらいの気分だったが、そんなに甘いもんではなかった。次第に精神を浸食されるような調子で、予定が狂っちゃうのです。彼らの感情のうねりというものがうまく表現されていた。

ピーターの本業は小学校の先生で、その教え子の中にアビゲイルちゃんという不思議な子供がいます。ちょっと変わってるの。急にコテンと眠ったりする。ナルコレプシーみたいに。

このチビちゃんを演じたのはアヴェリー・クリステン・ポールというかわいい子役さんで、彼女は後半からエンディングに至る核心的なroleを演じます。この子役がブリット・マーリングと同じくらいに存在感がある。大人の顔を見上げる顔つきとかさ、すごい。才能を感じさせる。

最後のシーン、せっせっせーのよいよいよい、みたいなのをやるんだが(見たひとはわかる)、あれね、背筋がぞくぞくして、心臓がバクバクしましたよ。えぇええええ!?

この映画に仕込まれたパズルの解釈を巡って、ネット上では様々な仮説が出ています。検索するとワンサカ出てくる。いろいろ読んでいるとおもしろい。weird.comのインタビュー記事↓

この記事で興味深いことを色々答えているが、簡単にいうと、パズルを解くたったひとつのアドバイスは「直感を信じよ」だそうであります。

私は、正直言って、どっちなのかわからない。一般的な話、わからない映画はboringであると相場が決まってるんだが、この映画の場合は、無性に意図が知りたくなるから『ドニー・ダーコ』みたいです。うまいことつくってある。傑作といっていいのではないか。みんなも観よう。

DVDのオマケ

ザル・バトマングリ監督サウンド・オブ・マイ・ボイス|Sound of My Voice Zal Batmanglij 画像

  • The Making Of Sound Of Voice
  • Maggie Featurette
  • Theatrical Trailer

この映画のDVDは英語字幕つき。

次回作『The East』

ザル・バトマングリ監督とブリット・マーリングのコンビによる次回作もおもしろそうであります↓

A story centered on contract worker who is tasked with infiltrating an anarchist group, only to find herself falling for its leader.

アナーキスト集団に潜入し、リーダーに接近する女の話。

こちらによれば↓

Brit Marling = Sarah Moss = contract worker Alexander Skarsgård = Benji = leader of the anarchist group

だそうなんだが、出典がわからないので未確認です。すでに撮影終了しているそうで、こちらも楽しみです。

以下、簡単ですが、結末について触れています。

ネタバレです

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原題: Sound of My Voice
別題: A Seita Misteriosa
La voix du futur
Dzwiek mego glosu
Звук моего голоса
Sesimin Etkisi
制作年: 2011年
制作国: アメリカ
公開日: 2011年1月24日 (アメリカ) (Sundance Film Festival)
2011年3月11日 (アメリカ) (South by Southwest Film Festival)
2012年1月7日 (アメリカ) (Palm Springs International Film Festival)
2012年4月27日 (アメリカ) (limited)
2012年5月11日 (カナダ) (limited)
2012年8月3日 (イギリス)
2012年9月21日 (フランス) (Festival Européen du Film Fantastique de Strasbourg)
2013年7月25日 (イタリア)
imdb.com: imdb.com :: Sound of My Voice
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
衣装デザイン
Makeup
謝辞

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