2012/9/5 (Wed) at 9:25 pm

映画|Some Guy Who Kills People

いぢめられっこ復讐ホラー!というほどホラーぢみてないけど、なかなか楽しいホラーコメディ映画。ケヴィン・コリガンアリエル・ゲイドバリー・ボストウィックカレン・ブラック。監督ジャック・ペレス。制作ジョン・ランディス。2011年。

Some Guy Who Kills People DVDDVD画像

Green Oaksていう小さな町。

ケン・ボイドは、ぐずで、のろまの、ダメ男である。自殺未遂歴があって精神病院から出てきたばかり。

あきらめと屈託がないまぜになったような表情で、うだうだと無気力人生をやってるんだが、こんな彼でも仕事をしています。アイスクリームパーラーの店員さん。ボスに怒鳴られようが、コーンの着ぐるみでビラ配りをやらされようが、黙々と働いている。

こんなサエない30男なんだが、ひとつ特技があって、コミックアートを描くのである。とてもうまいんだが、彼はそれを誰にも見せないの。家に帰ると黙々とひとりで絵を描いている。作品を世に発表したいなんて全然思ってないみたい。

彼が描くのは暴力的破壊的な題材ばかりで、それは高校時代に受けたいぢめの体験が元になっている。ベッドに入ると、昔の記憶が蘇って、悪夢を見る。彼は自らの失意憤懣やるせなさをすべて鉛筆にぶつけているのである。

そうこうしているうちに、昔、ボイドをいじめた男たちが次々に殺されて、事件になる。ついにボイドさんが狂っちまって、殺しをやりはじめたのである。町のひとたちは彼が精神病院帰りであることを知っているが、まさか暴力的であるとは想像がつかないんですね。みんなは彼のことを『病院帰りの敗残人生どっぷりグズ男』だと思ってコバカにしている。

ボイドさんはそんなイメージを隠れ蓑にして、せっせと殺人する。おれをいぢめたやつらは許さない。徹底お仕置き!正義だ!巨デブいぢめっこをオノで脳天ずがーん!

と思ったら、びっくりする出来事が起きる。

ある日、とつぜん、天使のようにかわいい11歳の少女(アリエル・ゲイド)が現れて、「パパー!」と呼んで、彼の家に転がり込んでくるのである。詳しいことは映画でどうぞ、と思うが、彼には娘がいたんですな。このエイミーちゃんは、目の前に現れたダメ男が自分のパパであると知って落胆する様子もなく、逆に彼を好きになる。喜んで、ぺちゃくちゃおしゃべりをして、ヒヨコみたいにくっついてくる。

ボイドさんにしてみれば、奇跡の珍事である。彼は久しく忘れていた人間的な感情を取り戻す。ホームコメディノリの、心温まるfather-daughter場面が続く。なんだかホラー映画らしくない展開である。これを読んでいるあなたは、オイ待てコラ、といいたくなるであろう。うん。まぁ、そうなんですよ。

さらに、もういっちょう、ラッキーな出来事が起きる。

英国訛りの英語をしゃべるネーチャン(ルーシー・デイヴィス)がボイドさんのことを好きになり、デートをするようになる。幸せダブルではないか。

ボイドさんは愛すべき敗残者で、チャーリー・ブラウンのような男である。映画を観ている私らは、もうこうなったら復讐なんか忘れてくださいよ、ボイドさんが幸せならそれでいいですよ、ホラー映画じゃなくてもいいですよ、といいたくなるんだが、それでも彼は殺人をやめないのである。夜になるとこっそりでかけて誰かをブッ殺す。

そんなことを続けていると、どうせいつかバレちゃって、せっかくの幸福がぜんぶパーになっちゃいますよ。彼はこの先どうなってしまうのであるか。

オトボケおまわりさんじつは名探偵のシェリフにバリー・ボストウィック。優しくてちょっと口の悪いママにカレン・ブラック。駄洒落好きおきらくdeputyにエリック・プライス。みんながボイドさんをバカにする中、彼を励ましてくれる親切男にレオ・フィッツパトリック。ボイドさんにイヤミたらたらのいぢわるボスにルー・ベティ・Jr。エイミーちゃんのママ、イヤミなビッチにジャニー・ハダド

といったみなさんが出演します。

最後にアッと驚くtwistがあるよ。おもしろいよ。

トレイラー動画

Some Guy Who Kills People (2011) trailer

感想

「いぢめられっこが復讐するゴアゴアホラー!」と期待すると大ハズレですが、これはおもしろかったですよ。ホームコメディにホラー要素をくっつけたサイコサスペンスってかんじ。オノでずっがーん、とか、首チョンパなどありますが、ヌルい描写なので、そっちは期待しないで物語を楽しもう。

キャラの立ちがよい。ダメ男を演じたケヴィン・コリガン、かわいいエイミーちゃんを演じたアリエル・ゲイド、オトボケ風味のシェリフを演じたバリー・ボストウィック。他のみなさんもよかったです。

映画の冒頭あたりからチョット引用。オノによる惨殺死体が発見されて、2人の警官コンビがやってきたところ↓

Sheriff Walt Fuller: Do you have any aspirin? I have a splitting headache.
Deputy Ernie Dobkins: I always carry aspirin, so you don't need to "ax."
Sheriff Walt Fuller: Well, this was no accident.
Deputy Ernie Dobkins: This guy's going to heaven, he's got an all "ax-cess" pass. Cause of the axe.
Sheriff Walt Fuller: What are you doing!?

部下のアーニーってのが、ダジャレ好きなんですね。オノ(axe)にちなんだユルーいギャグをカマします。蛇足ながら申し添えると、askをax、accessをax-cessと言い換えています。彼は死体を前にシャレをカマして、ニタニタする。それを聞いた上司のシェリフは「おまえはなにをいっとるんだ!」と叱る。でもそのあとに、こんどはシェリフの方が、ex-wifeをax-wifeとやってお返しをする。部下はわーいと喜ぶ↓

Sheriff Walt Fuller: This looks like something my "ax-wife" would have done.
Deputy Ernie Dobkins: Good pun!

なにこのユルさ .... 。

役立たずの警官コンビだなあとだれもが思うでしょう。でもその後、事件が続くと、このシェリフが意外にも名探偵なんですよ。モタモタとギャグをカマしながら真相を暴くところは刑事コロンボみたいで痛快でした。

アリエルちゃんを久しぶりに見ました。あいかわらずかわいくて演技上手。アメリカの子役スターは「このコ、かわいい」と思ったら、すぐに大人になって、ギャルギャルになっちまうので、お父さんファンは、しばしば、あーあー、と落胆させられますが、彼女は思ったより子役期限が長いですな。もしかして成長を抑制するホルモンとか飲まされているんじゃないですかね。冗談ですが。

でもさ、考えてみれば、こんな利発な少女がこんなダメ男にくっついてくるという設定はムリムリ感がありますよねえ。大人の視点から見た理想の子供キャラです。現実にはありえない。そこが少しpathetic。

ケヴィン・コリガンって、Foxの『Fringe』に出てた、ボーリング場のアンちゃんです。オリヴィアを助けてくれる謎男。余談ですが、『Fringe』はもうすぐシーズン5が始まるから、こちらも楽しみです。きっとすごいおもしろいよ。

ますます余談ですが、今秋始まる新シリーズの中で、私、Foxの『The Mindy Project』に超期待であります。

映画の話に戻りますが、『Some Guy Who Kills People (2011)』は、テンポよし、キャラよし、物語よし、のおすすめホラーコメディです。タイトルもいい。ホラー映画としては物足りないですが、まぁ、いいじゃないの。

備忘録メモとして、このエントリの下にネタバレを書きますけれど、未見の方は読まないほうがいいですよ。

DVDのオマケ

オマケいろいろ↓

  • Audio Commentary
  • The Fifth: Short Film
  • Making of
  • Trailer

The Fifthてのは、この映画の元になったショートフィルムです。なかなかおもしろい。男たちがポーカーをやりながらわーわー進行する話なんだが、脚本がソリッドで、監督さんの才能がうかがえる。

この映画のDVDは字幕なかったですが、CC(Closed Caption)ついてるので、聞き取り苦手な方もオッケー。

Memorable Quotes

Waitress: Well, hello there, tardy two-shoes.

Sheriff Walt Fuller: Do you have any aspirin? I have a splitting headache.
Deputy Ernie Dobkins: I always carry aspirin, so you don't need to "ax."
Sheriff Walt Fuller: Well, this was no accident.
Deputy Ernie Dobkins: This guy's going to heaven, he's got an all "ax-cess" pass. Cause of the ax.
Sheriff Walt Fuller: What are you doing?

Sheriff Walt Fuller: This looks like something my "ax-wife" would have done.
Deputy Ernie Dobkins: Good pun!

jerk guy: Why don't I, uh... make us some chamomile, okay?

Ruth Boyd: Your daughter is here.
Ken Boyd: Yes, I noticed.

Ruth Boyd: Well, I made her tackle a series of obstacles, but she passed.

Sheriff Walt Fuller: Sure would make things easier if he put a return address on here.

Amy: Wanna tuck me in? Come on, it's easy! Published reports show that only five to ten people die from tucking their daughters in each year.

Sheriff Walt Fuller: We're gonna get freaky on her Murphy bed.

Ruth Boyd: When your hand scars, your wrist will have a new friend.

Sheriff Walt Fuller: Uh-huh.. You're quite a friend, Irv. You would have made a lousy cop.

ネタバレです

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原題: Some Guy Who Kills People
別題: Enas pou skotonei
Tamo neki momak koji ubija ljude
制作年: 2011年
制作国: アメリカ
公開日: 2011年6月3日 (アメリカ) (Brooklyn International Film Festival)
2011年7月 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2011年7月 (韓国) (Puchon International Fantastic Film Festival)
2011年8月 (アメリカ) (Vegas Cine Fest)
2011年9月 (アメリカ) (Arizona Underground Film Festival)
2011年9月 (アメリカ) (DragonCon Film Festival)
2011年10月 (イギリス) (Sheffield Horror Film Festival)
2011年10月 (イギリス) (Grimm Up North Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Orlando Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Austin Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Friars Club Comedy Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Puerto Rico Horror Film Fest)
2011年10月 (アメリカ) (Telluride Horror Show Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Bend Film Festival)
2011年10月 (アメリカ) (Dark Carnival Film Festival)
2011年10月12日 (スペイン) (Sitges Film Festival)
2011年10月21日 (アメリカ) (Screamfest Horror Film Festival)
2011年10月23日 (カナダ) (Toronto After Dark Film Festival)
2011年11月 (スペイン) (Fancine Fantastic Film Festival)
2011年11月 (イギリス) (Abertoir Horror Festival)
2011年12月 (アメリカ) (Minneapolis Underground Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: Some Guy Who Kills People
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup

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