映画|7デイズ|Inhale

奥さん「10万ドルで足りるのかしら？」
夫「わからないヨ。メキシコの臓器の値段表なんてないからね。とにかくありったけの現金を持っていくしかない」

この夫婦（ダーモット・マローニー + ダイアン・クルーガー）には肺の病気で苦しんでいる娘（ミア・スタラード）がいて、早く肺を移植しないと死んじゃうんだが、ドナーの順番待ちは長い列が並んでいてどうにもならない。はやくはやく！と焦っていたところで、メキシコのアングラ臓器売買の話を聞いて「これをやるしかない！」と決意。夫はひとりでメキシコに行くことにした。

この夫は『鬼の検察』として知られる人物である。法の番人。ときには、その頑固さゆえにメディアに叩かれたりもするが、とにかく『法律を守る』という一点において明瞭であり、相手がえらいさんだろうが、かわいそうなひとだろうが、最後のセンは譲れませんよ！法律は厳しいんですよ！という態度を貫いてきた。だから、えらいというか、なんというか、清く正しい人生をやってきた男なのである。それが彼のキャリアであり、世間に対する信用である。

そんな男が自分の信念をネジ曲げ、法律をスッ飛ばし、自分の娘のために有り金はたいてメキシコのアングラ組織に買い物に行くわけだが、これがじつにたいへんなのである。「臓器を買いたいひとはこちら」という看板があるわけじゃないので、歩き回って探すしかない。

たったひとつの手がかりは『ナヴァロ医師』という名前である。偽名か本名かさえわからないんだが、とにかくナヴァロさんに会えれば臓器を買えるらしい。男はたったひとりでメキシコの町をうろつき回って、ギャングにぶん殴られたり、浮浪児に「やーい」といぢめられたり、なんだかんだとヒデー目に遭いつつ、それでもメゲることなく、アングラ臓器売買組織の中枢に接近していく。

彼は娘さんを助けることができるんでしょうか。

サム・シェパードはえらい政治家。ロザンナ・アークエットは女医さん。ヴァンサン・ペレーズはメキシコで働く医師。といったみなさんが出演します。

トレイラー動画

感想

スペイン語もできないアメリカ人がこんな場所でうろついていたら、ホイと殺され、死体はドブに捨てられる。おしまい。てことになると思うんだが、そこは映画なのでスリリングにつくってある。

こわいギャングとか、かわいそうなメキシコの貧乏人とか、この手の映画によくあるみなさんが出てくる。全体的にソツなくつくってあるんだが、そのソツのなさってのが「あー、あるある」「うまいことつくりましたよ」的ていうんですか、なんか鼻につくんだよなあ、こういうのは、とおもいました。

後半にアッと驚くtwistがあって男は重大な選択を迫られるんだが、それもよくあるヤツ。こういう映画を好むひとたちは多いのかもしれないが、私はもう少し独自性のあるヤツのほうが好きです。だからつまらなかった。

男がメキシコで孤立無援になったときに助けてくれる浮浪児がいるんだが、なんだかんだといってドルをむしり取るクソガキなんだが、あの子供はおもしろかった。ジョン・レグイザモを子供にしたみたいだなっておもいました。あれはちょっと笑えた。

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