2010/5/13 (Thu) at 4:39 pm

映画|マム・アンド・ダッド|Mum & Dad

いたいけなカワイコちゃんが変態狂一家にとっつかまって強制養子縁組させられるホラー映画 from UK。オルガ・フェドリペリー・ベンソンディド・マイルズアインスレー・ハワードトビー・アレクサンダー。監督スティーヴン・シェイル。2008年。

マム・アンド・ダッド / Mum & Dad DVDDVD画像

ここはイギリスのどっかの空港。ポーランド出身の貧乏カワイコちゃんが掃除婦として働きだす。彼女はレナちゃん(オルガ・フェドリ)という。トイレ掃除をやってたら、同僚女バーディ(アインスレー・ハワード)と友達になる。

バーディという女は親切でフレンドリなんだが、しゃべってみると少しへんである。盗癖があったり、下品な噂話をべらべらしゃべってウケケと笑うところなど、キチガイじみているなと思ったら、そいつの兄ってのも空港で働いているんだが、こちらははまぐりのように無口である。兄はエルビー(トビー・アレクサンダー)という。へんな兄妹だ。

レナちゃんは帰りのバスに乗り遅れる。困った!と思ったら「うちにおいでヨ」と誘われる。バーディたちの家は滑走路のすぐそばである。こんなところに住めるのかと思いきや「馴れればだいじょうぶ」なんだそうな。

いわれるままについていったら、そこは変態サディスト一家の巣窟であった。がつーんとぶん殴られて、拉致監禁される。ノドになにかを注射されたら、声が出なくなった。やがてパパママが登場。パパ(ペリー・ベンソン)は狂乱の目つきで片手に血塗れハンマーを持っている。ママ(ディド・マイルズ)がニタニタ笑いで寄ってきて台詞を述べた。

「はい、パパとママですよ。あー、そんなにこわがらくていいの。ママといっしょなら安心ですからね。いいこにしててね。あなたが暴れたりしたら、パパが興奮してしまうの。だからお利口にするんですよ。あなたは今日からうちのエンジェルちゃん。うふん」

といわれておののく。な、な、なんでわたしがこんな目に?!逆らうと拷問されるから彼らに従うしかないのである。パパはにらみを効かせ、無言で退場。これだけで迫力満点。

ママはカミソリ好きのサディスト女で、ヘラヘラ笑いをしながらレナの体に傷をつける。死なない程度に肌を切り裂くのがお好みらしい。これだけでもじゅうぶん恐怖だが、その後に再登場するパパに比べればカスみたいなもんであったという点を、レナは間もなく知らされる。

ジャジャーンと登場するパパは邪悪オーラむんむんの、汗まみれ血まみれデブ中年男で、な、なんとこいつは人間の内臓を使ってオナニーをするのが趣味という変態キングであった。地獄の底から響いてくるような声でルールを説明する。

「今日からここがおまえの世界である。壁のむこうは忘れろ。外の世界は存在しない。家族の幸せだけを考えろ。ここにいればめしは食えるし、服はもらえる。お行儀よくしていれば、あの兄妹のように家族の一員になれるだろう。もし裏切るようなことをしたら、産まれてこなけりゃよかったという目に遭わせてやる。以上。おしまい。もう寝ろ」

だそうである。キチガイの格がちがうというのだろうか。パパが出てくると、家族じゅうがシャキッとして家来のような顔になる。パパは王様。王様の命令は絶対なのだ。

いたいけなレナちゃんは服従するフリをして脱出のチャンスを狙う。時間が経ったら薬物の効果がなくなり、彼女は声を出せるようになり、涙目で「いいこにしますから、注射はよしてください。お願いママ」なんつって、『お利口になった』フリをするんだが、やっぱりとっつかまり「このうらぎりもの!」と怒られ、お仕置きされる。最後は狂ったクリスマスパーティに突入します。変態家族の残虐ショーです。

トレイラー動画

Mum And Dad trailer
Mum and Dad - an interview with director Steven Sheil

感想

こ、これはすごい。もっと早く観ればよかった。内臓オナニーにおったまげたあと、いろいろ見せ場があって、ハラハラどきどきうげええええええ痛痛痛痛痛痛痛きもちわりーと進んで、最後はどどーんと変態アクションになります。狂家族がウケケと笑っている頭上を旅客機がゴーと飛んでいます。空港でトイレ掃除をする女の子がこんなヒデー目に遭ってるというのに、だれも気づかないなんて!かわいそうすぎる!

残虐描写がユニークだという点に加え、キャラ描写がきちんとされていて、物語が成立しているという点も評価高いです。

映画の最初の方で、おしゃべり女のバーディ(アインスレー・ハワード)は「わたしら、養子なの」といっていたので、この兄妹もまたレナちゃんと同じように拉致され、洗脳されてああなっちゃったらしいですが、バーディは本気でパパママを愛しており、彼らに気に入られようとしているのです。職場からモノを盗んでくるのはパパたちに気に入られたいためです。

レナが「いいこになった」フリをしたとき、パパママは彼女を信用しかけたんだが、それをブチ壊したのはバーディでした。彼女はエンジェルちゃんという新しい娘が入ったことで自分の居場所がなくなってしまうのではないかと心配して、それをやったようです。わるもんながら哀れなヤツです。いったいどんな過去があって彼女はああなってしまったのでしょうか。

バーディの兄、無口男のエルビーくん(トビー・アレクサンダー)はいちどもしゃべるシーンがなかったですが、彼の方は恐怖で縛られ感覚が麻痺したゆえに、服従人形になってしまったというかんじです。彼はすでに自意識を失っているんだけど、ときどき人間らしいきもちがでてくるようであり、レナちゃんに優しくするシーンが少しありました。

そしてパパとママ。

パパ(ペリー・ベンソン)はまさしく変態キングで、恫喝の長台詞をしゃべるときなど人間の恐怖を引き出す手法を熟知しているようなこわさです。内臓オナニーはびっくりでしたが、ラスト近くで、もういっちょうびっくりショーがあります。そしてママ(ディド・マイルズ)は普段は夫をたてているんだが、ここぞというときになると気丈なオカミサンぶりを発揮し「わたしがあんたのキンタマを握っているんだよ」的な態度を見せるときもあったりして、妙に生々しい描写です。

この4人家族の関係性というものがきちんと描かれているからえらいなーと思いました。派手さと内面描写の両方を満たしているホラー映画ってなかなかないです。

そして気の毒カワイコちゃんのレナちゃんもよかったです。彼女は薬物でノドを潰されちゃったんだが、台詞なしで恐怖を表現するのがじょうずでした。めんたまとびでそうな顔演技がヨカッタ!彼女を演じたオルガ・フェドリ(Olga Fedori)という女優さんは、さいきん話題の『The Wolfman / ウルフマン (2010)』に出てるそうですが、私はそっちは未見なのでどんな役なのか知りません。いずれ観たいです。

Quotes

Birdie: Bit of a shithole in it?
Lena: Yeah? Yeah, it is a shithole.

Mum: I'm mum, he's dad.

Dad: When you're in my house, you'll abide by my rules. Do you understand? In this household, family is everything. You can forget what's outside that wall. It doesn't exist. From now on, this is your world. Your mum and your dad, your brother and your sister, that's it. You do your chores, keep your mouth shut and your mother happy, or you'll have me to answer to. You got that?
Mum: Your dad is talking to you.
Dad: In return, you get a roof over your head. You get your meal, you get all your clothes anytime. If you work hard and you're very very good girl, you'll become part of the family, just like your brother and sister. But if you piss me about, I swear to God, I'll make you wish that you'd never been born. Now get to bed. You've got work to do tomorrow.

監督スティーヴン・シェイルのインタビュー

こちらに監督さんのインタビューがありました↓

彼の実家はヒースロー空港の近くで、両親はいまもそこに住んでいるそうです。70/80年代のエクスプロイテーション映画から影響を受けたということで、具体的には『Frightmare (1974)』『House of Whipcord (1974)』といったPete Walkerの諸作品、『Texas Chainsaw Massacre (1974)』『Spider Baby (1968)』、さらにフレディ・フランシスの『Mumsy, Nanny, Sonny and Girly (1969)』を挙げています。渋い!

Mumsy, Nanny, Sonny and Girly (1969)』はこの前レビューを書いたばかりなのでよく覚えています。そうですね。似てるぶぶんもあるけどかなりちがう。いちばんちがうのはこっちではパパがいるという点ですか。イギリスの狂った家庭ってのは、パパがいないとああなって、パパがいるとこうなるってことかな。

以下の受け答えは監督さんのスマートさが出てて素敵↓

I wanted the film to be disturbing and blackly comic, making the audience unsettled and unsure whether to laugh or wince at the perversity on show. I guess that was one of the key ideas behind the film - less politeness, more perversity.

訳してみました↓

ぼくがこの映画でやりたかったのは、グロ表現とブラックコメディの両立です。観るひとを不安にさせ、迷わせてやりたかった。笑うところなのか、顔をしかめるべきなのか、観客のみなさんが迷ってしまうようなかんじにしたかった。『礼儀知らずで不道徳("less politeness, more perversity")』というアイデアがひとつのキモです。

以上、一部を抜き出してみましたが、このインタビューはなかなかおもしろいので、興味のある方は上のリンクから飛んで全文を読んでみてください。

DVDのSpecial

もっと知りたい方はDVDのSpecialをどうぞ。インタビューは細かく網羅されていて興味深い。製作予算10万ポンド(約1380万円)だそうです。これはすごいですね。限られた予算でどうやって彼らが映画をつくったのか、詳しく説明されています。

  • Director and Producer Commentary
  • Through a Vulture Eye - A short film by Steven Sheil
  • Behind-the-scenes footage
  • Cast and Crew Q&A at Film4 FrightFest 2008
  • Interview with Steven Sheil
  • 8 on-set interviews with cast and crew
  • Perry Benson, Director Steven Sheil, Producer Lisa Trnovski, Cinematographer, Special Effects Supervisor, Sounds Recordist, Make-Up Designer and Production Designer
  • Theatrical Trailer

サウンドトラック

"Christmas, Christmas!"
Written by Alasdair Reid
Performed by Richie Moon & The Muffs

"House That's Alone"
Written by Alasdair Reid
Performed by Sacha Rochelle

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原題: Mum & Dad
別題: Mum & Dad
Papás-mamás
制作年: 2008年
制作国: イギリス
公開日: 2008年8月22日 (イギリス) (London FrightFest Film Festival premiere)
2008年8月23日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2008年12月26日 (イギリス)
2009年2月7日 (ドイツ) (European Film Market)
2009年9月13日 (フランス) (L'Étrange Festival)
imdb.com: imdb.com :: Mum & Dad
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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