映画|エコーズ2|Stir of Echoes: The Homecoming

イラクで無実な市民を誤って殺してしまった兵士が故郷に戻ってきたらば、ものすごくリアルな幻視に悩まされ続ける。兵士が陥る心的外傷の典型ケースかと思われたが、それはものすごく現実感があってもはや悪夢のレベルではない。彼はだれにも相談できずドンヅマリから抜けだせない。このままいったら廃人か。妻に相談してみたが「わたしゃ精神医じゃない。おかねがないから早く働け」といわれた。愛する息子は交通事故で重態。謎の盲目男に導かれ「悪夢と対決しろ。悪夢がなにを欲しているかを探らないとおまえは破滅だ」と予言された。男は心理的に追いつめられていく。冷や汗ダラダラの孤独サスペンス。

"Nothing is random anymore. Not for you."

こりゃいいわ。ロブ・ロウのファンは見るべきだし、ロブ・ロウのファンじゃないひとも見るべきだ。ものすごくリアリティのある心理サスペンス。兵士が陥るトラウマというツカミはよいけれど、いったいどういうオチになるのかという点に注目して見た。期待を裏切らないラストである。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレオッケーな方のみこの下をスクロールしてご覧下さい↓

兵士としての自分の所業に罪悪感を覚えて精神が苛まれる主人公であったが、じつは悪夢の根源はその息子であったというオチはとても意外でびっくりした。"Nothing is random anymore. Not for you."「おまえに限って偶然はありえない」という予言の言葉にピンときた彼は、アラブ系留学生が人種差別者にリンチされて殺されたという小さな事件を知った。彼はビジョンに導かれてその犯行現場にきてみた。そしてそれが自分の息子の犯行だと知り驚愕。

大急ぎで病院に帰ったら息子はコーマから醒めていた。息子は父に問いつめられて犯行を自白した。友達3人で酔っぱらってその場のノリでヤッちゃったんだという。彼らが殺した相手は兵士やテロリストではなくてただの大学生である。「コイツを燃やしちゃえ」と叫んだ女の子は父を戦争で亡くしたというトラウマがあるんで、アラブ系人種を憎んでいたのだ。戦争というのがいかに人の心を蝕むものであり、現場で戦う兵士ばかりかその家族までも巻き込んでterribleな結果を招くのだよというレッスンを嫌みなく見せているという点で、こんなのテレビムービーにしとくのはもったいないじゃないか。

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