2009/11/24 (Tue) at 7:33 pm

映画|パンドラム|Pandorum

巨大宇宙船の中で目が覚めた男は記憶をなくしてワラワラしたと思ったら、凶悪殺戮ミュータントに襲われてウギャー!閉塞迷路を逃げ回る!アクションヨシ!脚本ヨシ!オチヨシの三拍子そろったナイスなホラーSF!監督クリスティアン・アルヴァルト。主演ベン・フォスター、アンチュ・トラウェ他。2009年。

パンドラム / Pandorum DVDDVD画像

重厚SFムードでジャジャーンと始まる。

「2174年。地球は極度の人口過密状態に陥り、枯渇する資源を巡って戦争勃発。未曾有の危機に瀕する人類は宇宙船イリジウム(ELYSIUM)に希望を託す」

という説明をバックにデカ宇宙船がどどーん。船のブリッジでは軍服を着たみなさんがいて、彼らは地球からの通信を緊張顔で聞く。「君らだけが最後の希望である。神のご加護を!」みたいな。

You're all that's left of us. Good luck. God bless. And Godspeed.

BSGみたいな話だろうか。なかなかおもしろそう。

というプロローグのあとは場面が一転する。船内のどこかで男がひとり覚醒する。冷凍睡眠ポッドの中でやにわ目が覚めた彼は狭いカプセルの中でウガーともがき苦しんだのち、やっとこさ自力で脱出する。ハァハァ。男は自分が置かれた状況を理解できていないようだ。船内は暗く、扉が開かない。だれもいない。彼が睡眠をしているあいだになにか故障したのだろうか。他のクルーはどこにいるのか。男は長い冷凍睡眠のせいか(あるいはなにかの故障のせい?)、記憶をなくしている。狭くて暗い船内でオタオタしてたら、同類の男とバッタリ遭遇する。

同類男も似たようなもんで、こっちも目が覚めたばかりで大した情報は得られない。あわてふためくふたりは瀕死ヘロヘロだったが、やがてふたりは上司部下の間柄だとわかってくる(あとから出てきたのが上司)。なぜおれらだけがここに取り残されているのか、そもそもおれらはなんの任務でここにいるのか、他のクルーたちはどうしたのか、まるでわからないから困ってしまうが、ふたりは軍人らしく力を合わせて事態の収拾にとりかかる。現在シップは不安定であり、電気が点いたり消えたりする。とにかくブリッジに行かなくちゃと思うんだが、通路が閉ざされている。

ふたりの困り男は二手にわかれることにする。最初に目覚めた男が狭い空気孔に入ってネズミみたいに船内を徘徊する。上司男はこっちに残ってコンピュータ画面を見つつ、無線で彼に指示を与える。移動する男は迷路のような船内を動き回ってどっかにいってスイッチを入れようとするんだけど、その途中でえらい目にあう。グロ死体が出てくるわ、女ランボーにアチョーと襲われるわ、ベトナム人男に追い回されるわ、そ、そして、次に出てきたのが、凶悪顔の殺戮バケモノなのであった〜。

バケモノどもは群れをなして船内を徘徊し、動くモノたちを殺して回っているようだ。男が寝ているあいだに事故が起きて、宇宙船がエイリアンに乗っ取られてしまったのだろうか。どうすりゃいいの!ダンジョンを進むRPGゲームみたいに少しづつ手がかりを得ていくうち、男の記憶はチョッピリ戻ってくる。そうこうやってるうちに、この船の意味とか、彼らの任務はなんであったのかとか、最大の疑問であるバケモノミュータントの正体がズラズラと明かされ、おおおお、なかなかおもしろい映画ではないか!この監督はやるではないか!と感心しつつ、ラストのクライマックスはじつに意外で、最後の最後にはおもしろいエンディングが待っているよ。

Pandorum trailer
Pandorum
Pandorum German Trailer
Pandorum German Trailer
Pandorum Exclusive: Trailer #2
Pandorum Exclusive: Trailer #2

※感想

ビッグネームの監督作品は別として、SFやホラーの映画がimdbの評定で7ptを超えるというのは滅多にないことなので、どんなもんだろうかと興味深く見ましたが、これは確かにいいですね。アクションシーンはとてもスリリングでした。バケモノに追われてひぇえと逃げ回る主人公男を演じたベン・フォスターはタフガイ系ではなくてどっちかというとオタオタ系キャラで、私はFireflyのアラン・テュディックに似てるなと思いました。顔が似てますし、Fireflyの彼と役柄と少しカブってるから余計そう思えたのかもしれません。ベン・フォスターの冷や汗ダラダラ演技はとてもよかったです。

また、映画に通底する世界観というか、ムードがいいです。セットがいいのか、SEがいいのか、脚本がいいのか、編集がいいのか、撮影がいいのか、技術的なことは私にはわかりませんが、なにかこうすべてがうまく絡まりあっているというかですね、宇宙空間で人間が狂気に陥っていくこわさはチョッピリ『惑星ソラリス』のような耽美さがあり、バケモノは醜悪でおっかなく、とても監督4作目の人がつくったとは思えないおもしろさで、そしてあのオチ!『猿の惑星』のチャールトン・へストンもびっくり!みたいな。

私的には今年いちばんのSF映画かも。ホラーというくくりだと他にもいっぱいおもしろいのがありましたが、とりあえず『SF』ではこれが今年トップ!題名になっているPandorumってのは ... というのを書いちゃうとネタバレになっちゃうのでやめときます。てか、下のネタバレのほうに書きます。でもこれからご覧になる方は読まない方がいいですヨ。

あとから追記。

今年いちばんのSF映画は、このあとに見た『第9地区 (District 9)』に抜かれちゃいました。はは。だから2番にしときます。

SPOILER ALERT!!!!
ネタバレ!

少しづつ真相が明かされていくのだが、ズバッといっちゃうとこの巨大宇宙船イリジウム(ELYSIUM)はノアの方舟なのであった。地球がもうダメっていうんで、人類は第二の故郷となる星を探した。Tanisていう星がいいんじゃないかと決まって、人類の中からたくさんの志願者たちが乗って、遠い星Tanisを目指して出発した。この旅はとても長いので、乗船するクルーたち、民間人のみなさんはそれぞれ冷凍睡眠ポッドに入った。目が覚めたら新しい星に着きましたてのが筋書きだったが、そうやってるあいだに船が殺戮ミュータントだらけになっちゃった。ということで、このミュータントてのはじつは船に乗ってた人間たちなのであった。

映画の題名であるPandorumというのは、宇宙船のクルーがかかる謎の病気の名前である。これになるととつぜんバーサク状態狂人と化し、そこらじゅうのもんを殺して回るようになる。Pandorumの原因は冷凍睡眠の副作用かもといわれているが定かではないそうな。また、これから行く星、Tanisの環境に人間が適合できるようにフィードされたある種の酵素がそれを引き起こしたのではないかという台詞もあったりした。

殺戮バケモノと化した元人間たちは船のいたるところにいて、ウジャウジャと繁殖している。彼らはとにかく狂ってて、動くもんを見れば襲ってくる。メチャ速くて怪力を持つ。バケモノベイビーも出てくるという芸の細かさが好感持てます。

主人公男は何人かのサバイバーたちに出会う。彼らはバケモノに怯えて船内のあちこちに孤立し、ドブネズミのように暮らしていた。最初に襲ってきた女ランボーもそのひとりでやがて彼女は味方になる。かっこいいおねーちゃんです。腹が減ったといったら「タンパク質を補給しろ」と生きたバッタをくれました。

主人公男は軍人で宇宙船を操縦する技術を持つ。彼はサバイバーたちの協力を得て、船を操縦できるようになりたい。出発してからどれだけ経っているのか。いまどこを飛んでいるのかを把握したい。そして生き残ったおれらだけでTanisに行くのだ!男は遠くで待つ上司男の無線サポートを得つつ、リアクター(動力源、心臓部ですね)にたどり着こうとする。そこにいってマニュアルでナントカをやらないと船そのものがダメになっちゃうそうな。ずがーんばこーんウギャーと苛烈な戦闘をしつつ、目的の場所に達し、ギリギリでそれをやり終えた。

そしてさらに彼らはブリッジに行く。そこには上司男が待っていたが、戻ってみたら、そいつは狂っていた。ここでまたまた新しい事実が明らかになる。冒頭プロローグで出てきた「神のご加護を!」のメッセージは、地球からの最後の伝令だったのである。その時点で彼らは地球がなくなったという事実を知ったわけで、ブリッジにいた士官たちはアワワとした。そのうちのひとり、いちばん若いアンちゃんがいま彼の目の前にいる上司男なのであった。彼はlieutenant Paytonと名乗っていたが、それはウソでじつは狂人第一号で、Galloという。彼は仲間と上司を惨殺し、任務を放棄したと明かされた。主人公男があっちでドタバタしているあいだ、こっちではニセPaytonがGalloと名乗る若いクルーと出会って、しまいにはそれとケンカになってしまうというシーンがあったけれども、つまりこれは彼は若い頃の自分自身の幻影を見ていたということと思われ(そういうことですよね?)。

狂人は狂人らしい台詞を述べる。「だれがおれを糾弾できるものか。おれはこの世界の王様なのだよわっはっは」みたいなことをいってたが、じっさいにはもっと長いんだが、とにかくもうどうしようかと思ったら、船外の風景が見えてきた。さっき彼がリアクターを手動リブートしたもんで、船の機能が正常化したのである。そこには驚く光景が!

見えるはずの宇宙の風景はなく、まっくらやみだけが見えた。やがてその前を巨大エイが通過していく。な、なんと、既に宇宙船はTanisに到着していたのである。そしてここは深海。目的地に到着した船はそのまま海に落ちて沈んでいたと思われる。コンピュータのインジケータは『MISSION YEARS 923』と告げた。900年以上が経過していたのであった!

なんてこったとおののく男とランボー女は狂人をブン殴っていたが、そこにミュータントがガオーと襲来する。シールドを突き破ってくるソレにどどーんとショック銃を撃ってやったら、破片がピョーンと飛んで、船体に小さな亀裂ができる。げげげげ。こんどは水責め地獄になる。ポセイドンアドベンチャー状態で、アワワとパニクる男はランボー女を連れて、小さな睡眠ポッドにふたりで入る。このままじゃ溺れ死ぬだけじゃないかと思ったら、それは緊急脱出の機能がついてて、やがてカプセルだけが船外に放出される。それはぐんぐん浮上する。深海から達するまでの時間はずいぶん長くて、あー死んじゃうーもうだめーと思ったところでビョーンとおひさまの下に出れました。ハァハァ。

第二の故郷、惑星Tanisの風景が広がる。ホエー助かったーと思ったら、少し遅れて他の睡眠ポッドのカプセルたちがビョーンビョーンと出てきた。ウハ。なにも知らずに寝ていたひとたちもいたわけですね。

生存者1213名。おしまいー。生存者たちの中にはミュータントも混じってそうですが、いちおうハッピーエンド。清々しい!感動した!

※真相が明かされていくなかで、主人公男が奥さんのことを思いだすところがあって、「なぜ彼女はいないんだろう。どっかにいるのかな。あるいは地球に置いてきたのかな」と彼が悩むシーンがちょくちょく出てくるので、これはやっぱラストで狂人と化した奥さんにヤラレておしまいなんだろうなと思うじゃないですか!そういう展開にはならなくてよかったです。このラストはすごくよかったですね。

あ、ネタバレでは割愛してしまいましたが、途中で出てくるベトナム人のアンちゃんもよかったです。彼は後半バケモノと戦って死ぬんだけど、すごくかわいそうなんだけど、最後の最後まで演出に工夫があってじつにハラハラしましたね。

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