フェチフェスアンダーグラウンド映像祭にいってきました
おもしろかったよ。
先週末、佐藤サド監督が主催するフェチフェスアンダーグラウンド映像祭にいってきた。ゲストというかなんというかちょっとそういうかんじで。
佐藤監督が「ホラーSHOX賞をつくるのだ!あなたが好きなのを一本選びなさい!」といって、事前にすべての作品を見せてもらっていたのだが、イベントにいって作品をもう一度見たら、また印象が変わるなあという新鮮な経験をした。
『どっきんはっち』という珍妙なタイトルの作品がまさにそのパターンで、最初見たときには「かわいい歌だなあ」と思っただけなんだけど、もう一度見たら、すごくぐっとくるではないか。
「ねぇ もういいでしょう ここまできたらー」というせつない歌声をえんえん聞かされつつ、寂しげな森林の映像の合間に、全身ラバーの人がベッドでぐわぐわともがいているのである。なんだか知らないが、ものすごくせつない雰囲気を発している。なるほどなー。
その場にいた他の人の意見を聞くのもおもしろかった。『ひつじちゃんは人間』という作品は人形好きな頭のおかしい女がそこらへんをうろつく話なんだが、正直なところ、あまり私の好みではなく、2度見してもそれは変わらなかったけれども、一緒にいったShinさん(東京電撃映画祭の人)はえらく褒めていて、「あれはせつない!泣けた!」とかいうので呆れてしまった。
その少し後に、ぜんぜん別の人と友達になり、その人は友松監督のファンだといって、「友松さんは筋が通っています!」なんておっしゃるので、おもしろくなってよもやま話をし、「ところでどれがよかったですか」と訊いてみたら、彼女も『ひつじちゃんは人間』を挙げた。えぇええええ。
じつに興味深い。あの作品は友松好きな人々に作用するマイナスイオンを発しているのだろうか。いや。私が友松さんの映画を好きじゃないという意味ではないけど。
他、記憶に残る作品をいくつか挙げよう。
『Etrange Partie』は全身ラバーの人たちが集まるパーティのようすを写した作品で、映像と音楽が粋であった。最初の方で全身ラバーの人たちが立食パーティ風に雑談している場面があるが、あれはなにをしゃべっているのかねと思った。
『あるくすぐりフェチの日常』はくすぐりフェチの女が出てくる。そんなフェチがあるのかなあ。他人にくすぐられるとくすぐったいが、自分で自分をくすぐってもくすぐったくないのはなぜだろう。
『03510』はウェット&メッシーから始まって、いろんなフェチっぽい映像のコラージュみたいなの。深琴ちゃんの座敷わらしがかわいかった。水戸黄門みたいな格好をしてバシバシやってたおじさんは、どこかで会った気がするんだけど気のせいだろうか。家に帰ってからtwitterを見てたら、深琴ちゃんが監督だと知った。えぇえええええ。そうだったんですか。
第2回フェチフェスアングラ映像祭では、3510屋制作、深琴監督作品「0310」を上映します。監督は、エロ屋、ポートレートモデルとして活躍中。多面的な顔を持った逸材です。映像も素敵に過激!予告編はこちら→https://t.co/QZiehIjXqQ pic.twitter.com/NasT88NLVP
— フェチフェス@映像祭11月 (@fetifes2013) November 13, 2016
『取り憑かれた親友 思い出のキス』は女子高生2人が廃墟に行って怖い目に遭うというもんで、レズビアン風味のホラー短編である。上映された作品の中ではいちばんまとまりがかんじられたが、まとまりがあるというのはつまり『平凡』を意味する。私が一番残念に思えたのは、『悪魔憑依』を表現するのに『めんたまが黒くなる』という手法を用いていたという点だ。インディーズ映画らしく、なにかブッ飛んだ映像手法で『悪魔憑依』を表現してほしかった。と、文句を書いているが、じつは、私は、この作品を見たとき、「あれっ?もしかして!?」とある仮説が頭に浮かんだのである。それを制作者の方に直接お尋ねしてみたかったのだが、当日、機会をなくしてしまった。残念。
他にもいろんなのがあって、ズラーリと並んだ短編の中で、グランプリに選ばれたのは『Black Mass Of The Brain - The Confession』という海外から出品された作品であった。これはさすがになかなかのもんで、ゲジゲジマユゲの狂った女がヒーヒーいって、のたうちまわり、十字架をベロベロ舐めたりする。ちょっとサスペリア風。いいよねあれは。
第2回フェチフェスアングラ映像祭では、コスモトロピアドザム監督作品「Black Mass Of The Brain - The Confession」を上映。キリスト像の身体を嘗め回す女のシーンはシュールそのもの!予告編はこちら→https://t.co/5Ne7KaTYq6 pic.twitter.com/cE5VIIblmY
— フェチフェス@映像祭11月 (@fetifes2013) November 13, 2016
んで、最後になったが、私がホラーSHOX賞に選んだのは、三ッ星レストランの残飯さんというへんな名前の人がつくった『びくてぃむ』だった。この方はもう一点出品していて、そちらは『外テ物』という。『外テ物』も別の賞を受賞し、つまりダブル受賞で、インパクトとしてはグランプリ作品と同等だった。会場で拍手が起きて観客にも大ウケだった。
フェチフェス映像祭ありがとうございました!私の作品「びくてぃむ」がホラーSHOX賞、「外テ物」がグランプリ賞いただきました!賞に泥を塗らぬような創作活動をこれからもまい進していきます。これからも宜しくお願い致します!!https://t.co/a7aUKqvPZd pic.twitter.com/jIELzgCDBi
— 三ツ星レストランの残飯 (@Kan_bo_tsu) November 14, 2016
三ッ星レストランの残飯さんの作品の魅力を言葉で説明するのはむずかしいが、とんでもない造型の生き物たちがぐじゅぐじゅ出てきて、画面一杯に動き回り、ピーピーギャーギャーとわめくのである。カラフルなうんこ映像だ。スーパーミルクチャンの中に時折挿入されていたシュールな動画にセンスが似ている。素晴らしい。こんなうんこみたいな生き物たちも一生懸命に生きているんだなと思った。てーのひらにたいようをー♪と口ずさみたくなる作品である。
ホラーSHOX賞に選んだ三ッ星レストランの残飯さんには、この前レビューを書いた『Faim De Mort Trilogy (2015)』のDVDを謹呈した。新品を買う時間がなかったので、失礼ながら私の私物である。
いくつかスッ飛ばした作品もある。すません。でもぜんぶおもしろかったよ。
樹海死体見物トークショー
フェチフェスアンダーグラウンド映像祭Vol.2
— フェチフェス@映像祭11月 (@fetifes2013) November 13, 2016
トークショー始まりました!
11/13(日) FFUG Vol.2
招待上映:リアル樹海死体動画上映&トークショー
ゲスト:
村田らむさん
小平さん
LOVSTARさん
みのりしょこさん
早川瀬里奈さん pic.twitter.com/y1nWxqVI9c
短編映画の上映が終わったら、今度は別の人たちが舞台に出てきて、「樹海の死体を見物しよう」トークショーが始まった。樹海マニアというか、死体マニアの人たちが出てきて、彼らが実際に樹海にいって取材した自殺死体の映像を見ながら、あれこれとしゃべるのである。
いっとくが、私は死体マニアじゃなくてホラーファンである。ホラーファンというのは相当にグロいものを見ている人も含めて、「つくりものを見物するのが楽しい」のだ。本物の死体とか全然興味ない。だからアングラサイトによく落ちているような処刑や事故の映像なんか見ない。興味がないから。ときどき混同している人がいるが、ホラーファンは死体を見たがる人種ではない。私がホラーファンを代表してしゃべるのも変だが、だいたいそういうもんじゃん。
ゆえに、樹海の死体と聞かされても「ゲテモノ趣味だなー」と思っただけだったが、彼らの話を聞き、映像を見ているうちにおもしろく思えてきた。舞台の上にいる人たちの中に、一般人の死体マニアっていう人がいて、まぢに「ウケケー」とかいってるんで、「こんな人がいるんだ」と興味がわいた。
映像の中には実際に自殺者の死体が出てくるが、死体にキスしたり、死体の前でチンコを出してオナニーするなんていうのはなかった。でも、もしかして隠された映像がどっかにあるのかな。と強く感じたので、後から直接訊いてみた。「それはない!」というお返事であった。死体の映像は確かに衝撃だが、こんなextremeな変態さんの情動というものに興味を感じる。
自殺死体の映像を見ていて一番思ったのは、「意外とホラー映画の場面ってリアルに近いんだな」っていう点だった。映画はつくりものなので、いかにもおどろおどろしく演出されていけれど、実際は違うのだろうとずっと思っていたのである。しかし、死体の写真を見ると、そのポーズや表情が驚くほど映画っぽいのだ。そこが意外だった。腐乱ガイコツにウジムシが湧いているのは樹海フルチってかんじだった。本物なんだけど。
アングラなひとたち
フェチフェスアンダーグラウンド映像祭では、色んな人たちと交流できて楽しかったが、一番のインパクトはこちらのおふたりだった↓
まんなかの方は若い頃の滝川クリステルを彷彿とさせるお顔に、白い服を着て、その装いがプリンセス天功のようにも見え、いったい何者であるかと最初から目を引いた。ロブスターさんという。『ftxという性別不明の中性の人』なのだそうだ。この方が樹海死体をうれしげに語るのだ。倉林さん(『チンコリンピック』のチラシの絵を描いた人)に写真を見せたら、「江戸川乱歩の小林少年っぽい」っていってた。ロブスターさんのプロフィール↓
アシッド系下痢糞マガジンGEVO編集長。世の中の下痢糞を飲み込んでは嘔吐し、雑誌という形に仕上げて皆様の食卓へお届けしています。特に死体は大好物。この度は某イベントでお蔵入りとなった死体探しのアレをお届けします。
いったいなにを考えているのであるか。是非お近づきになりたいと思い、お声をかけさせて頂き、さっそくアシッド系下痢糞マガジンGEVOなるものを購入した。スゲーよこれ。ははははははははははははははははは。
最初に佐藤監督のインタビューを読んだ。うわー。私は『映画『まいちゃんの日常』MAI-CHAN's Daily Life:THE MOVIE』を通じて佐藤監督に知り合ったから、私にとってはホラー監督と思えて、そっち系の(つまり本業の)活動はよく知らないのである。佐藤監督は穏やかな調子で話す優しい雰囲気の人で、よもや、会うなり「昨夜の下痢グソは最高でしたー」とかぜんぜん言わない。だからあんまり意識してなかったけど、この人はすごいんだと改めて感じた。
アシッド系下痢糞マガジンGEVOには『ソドムの市』のレビューも載ってておもしろかった。この本はページ数は少ないが、字がたくさんあって、漫画もあって、読み応えがある。ロブスターさんとしゃべったら、トロマ映画がお好きだというので嬉しかった。ぜひチンコリンピックにきてください。
写真の右隣にいる方は村田らむさんといって、樹海とか廃墟とか西成とかを取材しているアングラライターの人。その筋では知られた人だそうな。取材の話等を直に聞けておもしろかった。んで、この本を買った。スゲー。
この本は写真集という名の通り、写真しか載ってない。こういうのを見たらどんなつもりでやってるのかねと興味がわくじゃん。と思ったら、アシッド系下痢糞マガジンGEVOの中に、村田さんのインタビューがあったからよかった。すごく正しい読み方をしている気がする。
そこに書いてある話によれば、何度も行かないと死体は発見できないそうだ。松茸狩りみたいなものだろうか。
家に帰ってから倉林さんに、ロブスターさんと村田らむさんのことを話したら、「うぉおおお」とものすごい食いつきであり、特に村田さんに対しては、まさに『発情アニマル』というかんじで、「なんだなんだその人は!」といって、30秒後にはアマゾンでkindle本を買っていた↓
村田らむ氏の歌舞伎町路地裏写真館購入。お値段300円だけど、資料として、というか妄想材料としてあまりにも秀逸!ボロボロの壁!絡み合う配線!謎の落書き!! たまらん!みんな買おう! https://t.co/RL4SFQZFOx @rumrumrumrum
— 倉林 DK (@kurabayakurabay) November 14, 2016
倉林さんって本当にへんなおじさんが好きだよね。びっくりするわ。
チンコリンピックのチラシを置いてきた
会場の新宿御苑 Rossoさんではチンコリンピックのチラシを配ってもらい、余ったぶんもお店に置いてくださるというのでありがたいことである。お店にいったらもらってください。カッコイイ!っていろんな人に褒めてもらったよ。ははは。うれしい。
チンコを主題にしたチンコ映画祭『チンコリンピック』は11月26日、阿佐ヶ谷ロフトAで開催されます。フェチフェスアンダーグラウンド映像祭でMCをなさっていた鉄観音サワラさんもサンダーボルトガールズとしていらっしゃいます。
#フェチフェス 映像祭でshinさん(@BATTLEBABES )に撮っていただいたうちの一枚が、とっても生者の顔をしていなかった…!(笑) pic.twitter.com/FTyuZgbaN7
— 鉄観音サワラ(てっかんのん・さわら) (@sawaraph) November 14, 2016
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