2008/12/1 (Mon) at 6:37 am

映画|座頭市物語

めくらキラー座頭市シリーズの元祖第一弾!勝新太郎万里昌代天知茂。監督 三隅研次。モノクロ映画。1962年。

座頭市物語 DVDDVD画像

唐突ですが、古いチャンバラ映画です。たまにはこういうのもおもしろいよ。

※登場人物のみなさん

座頭市(勝新太郎) ... ご存知勝新!めくらあんまのアンダーカバーで相手を油断させるや、杖に仕込んだ長ドス一本ひらり。敵を瞬殺する居合い斬りの達人キラー。日本各地の鉄火場を歩き回り、サイコロバッタ巻きの渡世家業一匹旅ガラス人生。うそつきインチキ卑怯者がだいきらい。女子供貧乏人にはめっぽう優しいが、彼らをいぢめる乱暴者は許さないのだ。

平手造酒(天知茂) ... ニヒル顔の浪人用心棒。剣の達人。病弱。ゲホゲホと吐血し、死相を漂わせつつも酒をガブ飲みする姿は絶望に満ちているが、そんな彼は市と出会ってその男ぶりに惚れる。達人同士は言葉を超えた熱い友情の酒を酌み交わす。が、運命はふたりを切り裂くのであった。

おたね(万里昌代)... 飯岡宿場町きってのカワイコちゃん美女。地回りやくざの子分の兄を持つが、彼女はやくざものがだいきらい。おとっつあんとふたりでオデン屋をやってるんだけど、そんな彼女は市にひとめ惚れする。「わたしがあなたの杖になるわ!あなたのおよめになるわ!」と熱愛ラブラブ光線を発射する。

飯岡の助五郎(柳永二郎)... 飯岡宿場町の地回りやくざ親分ナンバーワン。市を客人に迎えて喜ぶ。大勢の子分を従えてわっはっはー。

笹川繁造(島田竜三)... 助五郎と敵対するナンバーツーの親分。いつも助五郎にヤラレちゃう非力な一家だったが、最強の用心棒である平手先生を身内に迎えて勢力交替を画策中。いっちょうヤッタレと突き上げムード高まる。てわけで、市と平手はやくざ同士の勢力争いに巻き込まれてしまうのであった。

蓼吉(南道郎)... 助五郎の身内子分のひとりで、おたねの実兄。親分の命令で市の世話係となる。市の前では実直そうな顔で世話を焼いているが、その実、オンナをはらませてポイ捨てするわ、実の妹を兄貴分に差し出すわと卑劣な一面を覗かせる。

お寺の子坊主さん(なんてひと?)... 病弱ゲホゲホ用心棒の平手先生の面倒を見る優しくてかわいい小坊主さん。なかなかの脇役演技ぶり。

その他モロモロのみなさんは、ケンカばくちがだいすきのやくざの子分連中やら、ひぃいと逃げ回る民百姓の方々です。

※市が居合い斬りを披露するところ↓

感想

現在の千葉県、飯岡町の宿場町に市が到着。日光で友達になった地回りやくざの親分、飯岡の助五郎んちに直行する。助五郎は「よーきたよーきた」と優しく出迎えるが、その魂胆は仇敵ライバルである笹川繁造との争いを予見して保険をかけたっちゅうことだった。もしケンカになったら、そのときには市の力を借りたいのである。

市は居候の身でノホホンと遊び暮らすが、ウロウロしてるあいだにも助五郎 vs. 繁造の話がチラホラ耳に入ってくるんだが、彼はケンカがいやである。カネのために殺しをするのは気が進まないし、得意の居合い斬りをやって見せ物のように騒がれるのもいや。ケンカムードが高まるにつれ、親分子分たちは「アテにしてるよ!」と騒ぐが、のらりくらりと逃げ腰ムード。

市は釣りにいって、敵方の用心棒、平手造酒とバッタリ出会う。平手もまた市と同じく、やくざのケンカに興味ゼロであった。「くだらんのう」と諦観ムードのふたりは敵同士ながら意気投合する。男同士の友情がじわーんと育まれる。いっしょに酒を飲んで仲良くなった。

そうこうしてるあいだに、若い女の身投げ事件が起きて、それは市の世話をしている蓼吉がはらませちゃった女だとわかって、あーかわいそうだなぁと思ったら、その事件をきっかけに蓼吉の妹、おたねとも仲良くなる。おたねはやくざな兄がだいきらいで、父親といっしょにオデン屋をやっているが、やくざ兄に押しつけられたやくざ恋人に襲われそうになったところで、市に助けられる。そして市に惚れちゃう!

宿場町きっての美少女ギャルに「あたしをおよめさんにしておくんなさい!」とラブラブ告白された市はめんくらうのであり、デヘへと照れ笑いをしつつ「あっしみてーなめくらのやくざにはもったいねーんでござんす」とハードボイルドな台詞をキメてその申し出を辞退する。おたねはますます「イヤンもう!」と盛り上がる。彼女は市がやくざ同士の抗争に巻き込まれていくんだと大心配し「待ってるからねええ!」とあきらめないのだ。

いよいよ抗争が激化してきた頃になって、平手浪人はついに倒れちゃう。彼は元々病弱の大酒飲みだが、死が近づいていることを本人も知っていたのであろう。助五郎は敵の用心棒が倒れたと聞くや、イヒヒと喜ぶのであり「いまのうちにやっつけちゃえ!」と子分を引き連れて戦争を始める。市はのらりくらりと言い訳をして参戦しなかった。最初は上機嫌で市を迎えた助五郎だったが、煮え切らないその態度に怒りだす。「このごくつぶしめ!」とムカムカだったが、いまや敵の用心棒は死にかけているのであるから、ここはいっちょう市抜きでも勝てると彼は算段した。子分をドバーと引き連れ、市を置いて戦争にいく。

市にとってやくざのケンカなんかどうでもいいが、友達の平手が倒れたというのは一大事である。お見舞いに行かなくちゃとオタオタするが、その頃、平手を雇った繁造のほうは緊急会議のまっさいちゅうであり、彼らは平手先生ナシで最強軍団と勝負しなくちゃいけないし、さらに敵の中にはあんまキラーの市もいるっていうんで「どうしたもんだか!」とわめいている。繁造は最後の手段だとばかりに、鉄砲を出してきた。「いざとなったらコレで市を殺しちゃうんだ」と聞いた平手は「ちょ、ちょっと待っておくんなさい!」と異議を唱える。平手はゲホゲホと血を吐きつつ「鉄砲は卑怯だ!市はオレが殺る」といいだした。彼はこのままくたばるよりも、市に斬られて散っていきたいのである。繁造は平手を担ぎだすために鉄砲を見せたみたいである。その魂胆はうまくいった。

戦争勃発。

ダダーとやくざ同士の斬り合い。瀕死の平手浪人はバッタバッタと敵を斬り殺す。これを見た助五郎はひぃいとチビった。倒れたと思ってた相手が復活してきたと知って逃げだした。子分たちを見捨てて逃げようとしてたところに、遅れて市が到着。これを見た助五郎一派は喜んだ。市の姿を見てヤンヤの大声援〜!

でも市はケンカをしにきたんじゃなく、平手を助けにきたのだ。と思ったんだけど、平手はすでにオノレの死を覚悟しているのであり「おれと勝負しろ」と誘う。その決死の覚悟は市の心にもガガーンと響く。市と平手は真剣勝負をする。結果、平手は市に斬られるが、死に際に「おまえに斬られたかった」といい残して絶命した。市の勝ち。ウゲーと倒れた平手を憂鬱顔で抱きしめる市。

てわけで、市の思惑とはうらはらに彼は結果的に助五郎を助けたことになった。助五郎はわっはっはーと喜び「うれしいじゃねえか!さぁイッパイやってくれえ」と勝利酒を振る舞おうとした。市は怒った!

酒樽をズガンと一斬り。「なにがうれしいんだ!なにがめでてえんだ!おれたちやくざは天下のきらわれもん。てめえはおてんとさまに大きなツラを向けやがって気に入らん。この大ばかやろう!」とタンカを切って、小判を叩きつけた。助五郎はチビリ顔でおののいた。

市はその足でお寺に行く。お世話になった小坊主さんにお金を渡し、平手を手厚く弔うようにお願いした。「1年経ったらお参りにきます」と述べ、さらに自分のドスを渡し「これもいっしょに埋めてくれ」と頼んだ。

市はそのあと丸腰でスタスタ歩いていったが、こっそり後を追う者が1名。蓼吉であった。彼はいくら相手が市でも丸腰なら勝てるとイヒヒと襲ったが、市は蚊でも退治するみたいに難なくこれを撃退。どすんと川に落としてやった。ぶくぶくと死亡。

こちらはおたね。彼女は街道筋にひとりでいる。心配顔で市が来るのを待っているのだ。なんといわれようが駆け落ちしてやると決心してきたんだけど、結局のところ、彼女は市に会えなかった。市は彼女に気づかれぬよう、道を外れて林の中を苦労して歩いていったのである。

おしまい〜。

感想

このブログはホラー専門ですが、たまにちがう分野の映画も取り上げます。友達に勧められて古い座頭市を見始めたら、これがハマるハマる!本日アプしたコレが元祖『座頭市』シリーズの記念すべき第一作で、もう3つめまで見たんだけど、ますますおもしろい。ぜんぶで26作品もあるよ(imdbで数えたんだけどちがうかも)。子供の頃、テレビで見た記憶があるんだけど、ほとんど忘れちゃってますから新鮮なきぶんで見れました。市さんかっこいいよ!

私にコレを薦めたのはアメリカ人ですが、恐らく一般的な日本人が思ってる以上に海外で人気なのですね。imdb.comのbbsを覗くと、熱心なファンのみなさんが英語でichiの魅力をわーわーと論じ合っています。日本人としてなんかうれしいです。

ヒロインのおたねを演じた万里昌代ってきれーなひとですねー。美女ですよ美女。おそれおおいみたいな。そして、市のライバル、平手を演じた天知茂のゲホゲホ演技もよかったですが、天知茂といわれるまでアレが天知茂とわからないですね。私にとって天知茂は明智小五郎のイメージしかないもんで。ずいぶんイメージちがうなーと思いました。明智小五郎のふっくらとした顔つきの紳士顔とは似ても似つかない病弱キャラでした。

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邦題(カタカナ): 『座頭市物語』
制作年: 1962年
制作国: 日本
公開日: 1962年4月18日 (日本)
2010年7月4日 (日本) (Miyazaki Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: Zatôichi monogatari
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