2010/12/1 (Wed) at 10:22 pm

映画|ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺|Attack on Darfur

ダルフール紛争地域で「逃げるか、助けるか」の選択を迫られる民間ジャーナリストたちを描いたアクション映画。クリスタナ・ローケンビリー・ゼインエドワード・ファーロング。監督ウーヴェ・ボル。2009年。

ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺 / Attack on Darfur DVDDVD画像

スーダン、ダルフールの民族紛争。

国際ジャーナリスト6名(クリスタナ・ローケンビリー・ゼインエドワード・ファーロングマット・フルーワーデヴィッド・オハラノア・ダンビー)が、AU(= African Union = アフリカ連合)の兵士に護衛されつつ、紛争地域の村にやってくる。

アラブ系の武装集団、ジャンジャウィード(Janjaweed)にレイプされた女とか、家族を殺されたひとたちにインタビューをし、村のようすを撮影した彼らは、数々の悲惨な証言を聞いて悲しく思う。

「みなさんの訴えを世界に伝えます!ありがとうございました」とジャーナリストらしい台詞を述べ、お別れをいって村を去った。

各自「かわいそうだなあ」と重いきもちで車に揺られていたらば、そこに、やにわ、わるもん軍団ジャンジャウィードが入れ替わりに襲来するのを目撃しておったまげる。武器を装備した連中はアフガンゲリラみたい。村人たちに勝ち目はないことは一目瞭然である。

ジャーナリストのみなさんは義侠心に駆られ、どうにかして助けられないだろうかと考え、彼らを護衛するAUの立場はobserverなので紛争に武力介入できないのであるが、なにか手はないものかと思案する。

「わたしらは国際ジャーナリストなんだから、わたしらがそこにいれば、まさかヤツラもそこまでひどいことはしないんじゃないかな。わたしらが村に戻れば、みんなを助けることができるヨ」てなことをいって、ナイジェリア人の護衛隊長(ハキーム・ケイ=カジーム)も同意してくれたんで、一同は村に戻った。

でも、結局のところ、そんな甘っちょろいアイデアはぜんぜんだめであった。村で鉢合わせしたジャンジャウィードのボスは不敵なつらがまえで「おまえらはなんだ?」と訊いた。AUの護衛隊長が代表して説明する。

「AUのもんです。AUは村のみなさんの健康状態に留意し、物資を支援するなどしていますが、わたしらはobserverなので、あなたたちに命令する権利はないのですよ」「それなら立ち去れ。コイツらは死ぬ運命である。死人どもに支援物資は要らん」「あー、ここには国際ジャーナリストのみなさんもいらっしゃることですし、今日のところはひとつ穏便にササーと通り過ぎていってくださいませんかね?」「国際ナントカなんか知るか。おまえら、命令できないんじゃなかったの?」「いや、てか、提案といいますか、お願いといいますか。。」

なんて調子で交渉してみたが、まったくだめである。グズグズと食い下がるジャーナリストにシビレを切らしたわるもんは「ほらよ」つって子供を射殺した。みなさんは腰を抜かし、無力感を噛み締めて立ち去るしかないのであった。

が、いったんあきらめて去りかけたんだが「やっぱりゆるせん!なんとかせねば!」とヒーロー志願する者が3名(デヴィッド・オハラノア・ダンビーハキーム・ケイ=カジーム)現れる。彼らはルールを破って村に戻り、馴れない武器を持って突入する。3人は人々を助けることができるんでしょうか。

トレイラー動画

Attack on Darfur (2009) trailer

次のBehind the Scenesでは、ウーヴェ・ボルが「NATOや国連は大量虐殺(genocide)をやめさせるためダルフールに介入すべきである」と意見を述べています。また、映画に出てくる村人のみなさんは、ダルフールの難民のひとたちが招待され、エキストラを演じたそうな。

Darfur - Behind the Scenes

感想

最近のウーヴェ・ボルはノリノリですが、これもよかった。

私はスーダンの紛争については、普段流れているニュースで知るくらいの知識しかないですが、報道されている通り、ジャンジャウィードが徹頭徹尾にわるもんとして描かれています。宗教的な大義はいちおうあるみたいだが、やってることは悪魔的な虐殺です。

うりゃうりゃガガーと襲ってブッ殺し、女をレイプし、子供もブッ殺し、赤ちゃんを串刺しにしてわっはっはーですよ。ハードコアな虐殺陵辱シーンがたくさんある。いやー、おそろしかったです。

私は社会派みたいな映画が好きじゃないんで、チト懐疑的に見始めたんだけれども、おもしろかった。小さな村が舞台装置になってて、普遍的なテーマがかんじられたせいかもしれない。『暴力 vs 被暴力』の場に部外者が闖入し、逃げるか助けるかの選択を迫られるという、単純な構図があるだけです。見る人はいろんな場所に置き換えて感じとることができると思う。

アクション娯楽映画として成立しているからいいですね。ラストもよかった。テンポよし、キャラよし。画面がグラグラ揺れるのは「またか!」って気もするけど、まぁいいじゃないですか。ドキドキハラハラすったもんだした挙げ句に、悲しい結末に落ちます。

『Attack on Darfur』は脚本ナシの即興演技(improvisation)でつくられたそうで、つまり監督さんが俳優たちにシーンの意味を説明し、俳優さんはその考えを汲み取り、咀嚼し、自分なりの台詞を考えて演技表現するというヤツで、この前レビューをアプした『Stoic (2009)』と同パターンでした。この手法もよかったんじゃないですか。

ウーヴェ・ボル映画の常連俳優さんが多いですが、意外だったのは、クリスタナ・ローケンビリー・ゼインといったアクション俳優たちがアクションをやらないという点です。彼らが民間人ジャーナリストになりきって地味な役柄を演じているというのは、ウーヴェ・ボル流のリアリティを持たせる手法だったのかなと思われ(本人に聞いてみないとわかんないけど)。彼らはアクションをやらないアクション俳優として、それが映画の部品として、機能しているのかなとおもった。

あと、エドワード・ファーロングがよかった。私は「大人以降のエドワード・ファーロング」の出演作をぜんぶ観たわけじゃないけど、『Stoic (2009)』『ファイナル・デッドパーティ (2009)』ときて、今回の『Attack on Darfur』の彼がいちばんよかった。

悪人づらのわりには背が低く、マッチョでもなく、声だけジョン・コナーのまんまというこの男はじつにキャラがつかみきれないヤツだなあ、こういうのはキャスティングディレクター的に見て、ものすごく扱いづらいんじゃないかなあと思ってたんだけど(余計なお世話?)、今回の彼は『くたびれた弱虫キャラ』を演じていて、これがじつにハマっていた。あー、彼にはこういう役が合うんだな!と思った。てか、観てるうちに馴れてきたということもあるのかもしれないけど、いい演技だった。この先も彼の活躍を見たい!

Memorable Quotes

Malin Lausberg: If you could have one positive wish for your country, what would it be?
woman: Positive? There will be positive, no negative.
Malin Lausberg: We will make sure that your story gets told and that people help you and your country. Okay?

woman: The people, they raped me. It's Janjaweed. They go around and rape the women.
Bob Jones: Do you know if they are infected with the AIDS virus? Do you have AIDS?
woman: I don't know if I have the AIDS. Maybe I don't. Maybe I do. If I get sick, then I'll know. If I die, then I'll know.
Bob Jones: Do they make the point of telling the women, or frightening the women, perhaps, letting them think that they are infected when they rape them?
woman: I know other women, they say, when they come to them, they say, "Yeah, we're going to give you AIDS today. You're going to die today."
Bob Jones: The rapists and ethnic cleansers of Darfur continue to operate despite the ceasefire agreement and three UN resolutions. The worlds biggest humanitarian crisis is worsening. I'm really ... sorry, and grateful that you could tell us your story.

That we have not stopped the genocide means we have not learned from history.

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原題: Darfur
別題: Attack on Darfur
Darfur - Der vergessene Krieg
Janjaweed
邦題(カタカナ): 『ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺』
制作年: 2009年
制作国: カナダ/南アフリカ共和国/ドイツ
公開日: 2009年11月6日 (アメリカ) (American Film Market)
2009年11月23日 (アメリカ) (San Diego, California)
2010年4月29日 (ドイツ)
2010年7月8日 (ロシア) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Darfur
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞
  • [映画][戦争]『ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺』 - 法華狼の日記

    ダルフール紛争を題材とした、2009年のドイツ映画。 停戦を監視しているアフリカ連合AUの警備隊に道案内をたのみ、小さな村での取材活動を許されたジャーナリスト6人。その無力感にさいなまれた顛末を描く。 ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺|無料動画 GyaO!|映画 GYAO!で4

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