2008/3/20 (Thu) at 4:39 pm

映画|リストカッターズ: ラブ ストーリィ|Wristcutters: A Love Story

自殺者だけが棲む死後世界。男女3人組がオンボロカーで旅をする。ロードムービー仕立てのファニーなラブコメディ。パトリック・フュジットシャニン・ソサモントム・ウェイツ他。監督ゴラン・デュキック。2006年。

リストカッターズ: ラブ ストーリィ / Wristcutters: A Love Story DVDDVD画像

この映画はホラーでもSFでもなくて、ちょっとブラックなコメディです。ゾンビやシリアルキラーやヴァンパイアばっか見てるひとは、たまにはこういう映画で心を洗浄しましょうw。

ジアは手首を切って自殺したら死後の世界にきたんで、ピザ屋でバイトを始めた。店の名前は『カミカゼピザ』。ここは自殺者だけが棲む死後の世界である。一見すると普通の町だ。人々の顔色が悪い/夜空に星が見えない/花が咲いていない/町の色はどこも灰色っぽくくすんでいるといった細かい相違点を除けば、生きてた頃のリアルライフと変わらない。これじゃ死んだ意味がないな。「もういっぺん自殺するか」とボソボソつぶやいたりするが、結局その世界の住人となった。ジアは元カノを思いだして後悔し始めた。でも戻ることはできない。あーあーと落胆してたら、オデコに銃弾の傷があるバーテンダー(いかりや長介似)に「まぁのめ」といわれた。ロシア人のユージーンていう友達ができたんだが、彼にもバカにされた↓

Eugene: Who? Ophelia?
Zia: Desiree.
Eugene: Whatever. An ex-girlfriend from an ex-life. Listen, tonight when we go out, man, you got to promise...
Zia: No, no, no. Eugene, I'm not going out tonight or any other night.
Eugene: What?
Zia: It just makes me depressed.
Eugene: So what are you going to do? Kill yourself?
Zia: I don't know. Maybe.
Eugene: As if anything would make you happy.

やがてジアは、元カノが彼を追って自殺したと知ってヒャッホーと喜んだ。この世界のどっかにいるに違いない元カノを探す旅に出た。ユージーンといっしょである。ふたりの男がオンボロクルマで旅をしてたら、新メンツが加わった。女である。彼女の名前はミカルという。ミカルは別の目的で旅をしていたんだが、ふたりと仲良くなっていっしょに旅をすることにした。

ミカルの目的は『責任者』を探すことである。この世界のどこかに『白い服を着た責任者』ってのがいて、そいつに頼んで自分の死をチャラにしてもらいたいそうである。「そんなことできるの?」と聞いたら「わたしは自殺してないんだヨ!間違って死んだだけ。だからぜったい説得する!」と言い張るのであった。そんないいわけが通るのかなと思うが彼女はあきらめない。3人の中でジアとミカルは明確な目的を持って旅をしてるが、ユージーンはヒマだからいっしょについてきただけ。彼は毎日ビールが飲めれば幸せというクチなので、ブーブー文句をいいつついっしょについてくる。

自殺者だけが棲む死後の世界を舞台にしたロードムービー仕立てのラブコメディ。ジアとミカルは目的を達することができるのか。後半はズズガガーとナンセンス世界に突き進んで、こ、これどうなっちゃうんだヨと思ったら、泣けるラストまで一直線。あーおもしろかった。パチパチパチ。

※感想

3人の男女がオンボロカーに乗って荒野の道をのそのそと進んでいくところは、ジム・ジャームッシュの昔の映画みたいだなと思ったら(『ダウン・バイ・ロー』とか『ストレンジャー・ザン・パラダイス』とか)途中でトム・ウェイツが出てきた!ヒャッホーである。あのダミ声。トム・ウェイツ演じるネラーはワンコ好きのおっさんで、3人組の運命を握る人物でもある。彼のオーラはいいなー。彼がしゃべってるのを見るだけで私は幸せである。この台詞が似合っていた↓

"Well, I forgive, but I don't forget."

シャニン・ソサモンが演じたミカルちゃんはすごくかわいい。彼女はCBSのドラマの "Moonlight" のレギュラーである。でも私はこのドラマはパイロットしか見てない。パイロットはパッとしないなと思って見るのをヤメたんだが、こんないい女優が出てるんならさっそく見よう。"Moonlight" にはソフィア・マイルズちゃんも出てるし!あーやることが増えた!

パトリック・フュジットが演じたジアは引っ込み思案な性格の愛すべきキャラである。『24のクロエのメアリー・リン・ライスカブが男になったらこんな顔』ってかんじがした。シェイ・ウィガムが演じたユージーンもおもしろかった。彼は家族想いのロシア人で、ジアと出会ったときには父母弟の4人家族でいっしょに暮していた。一家全員が自殺者だったから彼らは死後も仲良くいっしょにいられて幸せ〜というへんなファミリーだった。

DVDのDeleted Sceneもおもしろかった。ジアとユージーンが出会ったバーの名前は『リストカッターズ』とわかった。なぜか本編では店名のネオンが映るところがカットされていた。なぜはずしたのかな。おもしろかったのに。なにかヤバかったのだろうか。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレオッケーな方のみこの下をスクロールしてご覧下さい↓

ジアは元カノが自殺したって聞いたので、大急ぎでユージーンを連れて彼女を探す旅に出た。やるきまんまん。生きる望みが出てきたみたいな。死んでるわけだが。途中ふたりが立ち寄ったクルマの修理工場の親子はかなりおもしろい。そこにいたイラク人のタクシー運転手は顔が見えなかったが、Deleted Sceneの方に彼のコントが入っている。すごくおもしろいので必見。ファニーな小ネタを挟みつつ、オンボロカーで進んでいったら、ヒッチハイク中のミカルと出会った。彼女が旅してる理由は上に書いた通り、どっかにいるに違いない『白い服を着た責任者』を見つけだし、事情を説明して生き返らせてもらうことである。3人は仲良くなって旅を続ける。途中でケンカしたりもするが、なかなか楽しいトリオである。

夜中に道路で寝ているオッサンを轢きそうになってびっくりしたらば、それがトム・ウェイツ演じるネラーだった。彼は飼い犬のフレディがいなくなったので探し続けて疲れて寝ちゃったんだという。彼の家に呼ばれていってみたら、そこはたくさんのひとたちが暮らすコミュニティで、ネラーはそこの親分なのだった。ネラーは人々に説教をした。それは2本の木の話。一本は曲がった木で、もう一本はまっすぐな木である。まっすぐな木は「おまえはグニャグニャ。おれを見ろ。おれを見ろ。おれのほうが背が高くてまっすぐだ」といばってたんだが、森林伐採業者に切られたのはまっすぐな方の木だったという話である。

クルマが壊れちゃったのでしばらくここに滞在してたら、ユージーンに恋人ができた。また、ジアは不思議な奇跡を目撃してびっくりした。ある日、コミュニティの住人のひとりが大騒ぎで駆け込んできて「フレディが見つかった!」と知らせた。「森のむこうにメシアと呼ばれる王様がいた。フレディはそこで飼われている。彼は明日人々の前で奇跡を行う」という話にネラーは大昂奮。「フレディが奇跡を起こすのか?!」「ちがう。メシアの王様が、だよ」「ふぅん。フレディを助けないとな!」「じつはいいにくいんだが、フレディはあっちでステーキを食わせてもらって幸せそうだった。帰りたくないっていってたヨ」「フレディは洗脳されてるんだ!」てわけで、ネラーは怪しいメシアの王様を捜しにいく。ついでにジアとミカルもいっしょにいくことにした。

メシアを目撃した男の案内で山をてくてく歩く。5時間くらい歩けばそこに行けるはずだったんだけど、なかなか着かない。案内男もわからなくなった。「こまったなー。迷ったヨ」といったら、ネラーは「道に迷えばそこに行けるはずだからこれであってる」とわけのわかったようなわからないことをいった。相手は「そうだな」と納得した。おもしれー。

夜になったのでキャンプしてみんなで寝る。ジアとミカルはそっと抜けだして近所を散歩した。そしたら海があったのでびっくりした。近所に海があるなんてだれもいってなかったから、たぶんだれも知らないんじゃないかとふたりは話して、秘密を共有したせいだろうか、いいムードになってキスをした。大変スィートなラブシーンである。朝になってネラーのわめく声で目が覚めた。「おまえらナニやっとんじゃー!」といわれて気づいたら、そこはものすごく汚い海岸で、コンドームと注射器がウジャーと落ちていた。ふたりはヤク中と娼婦の集会所で寝てたんである。

あわてて起き上がってさあ行こうと思ったら、すぐ近くにメシアの砦を発見した。大勢の信者たちがパーティをやっており、踊ってるギャルがワンサカいた。これからメシアの奇跡を見れるそうである。ネラーたちはびっくりした。ナンジャコレ!とつぜん出てきた異様な集団に目をぱちくり。

ジアはここで元カノを発見した!彼女はメシアの助手になっちゃってたのである。メシアちゅうのはなんだかインチキ臭い男なんだが、元カノは彼に心酔しちゃってるのである。彼女はメシアに導かれて自殺したと語った。ジアはやっとこさ旅の目的を達したが、微妙にアレである。昨夜ミカルとナニしちゃったばかりだし、やっと会えた彼女はインチキ男にイッちゃってるから。

一方、ネラーは無事に飼い犬フレディを取り戻して安心した。ここで彼の本当の顔が明かされた。ネラーはミカルが探し求めていた『白い服を着た責任者』のひとりだったのである。メシアが奇跡を行おうとした直前、ネラーがどっかに連絡したら空からハングライダーで白い服の兵士たちが出現。バンがきた。兵士たちがウジャーと出てきて、その場を制圧。集会禁止を宣言した。人々はパニック。

大騒ぎになって、ジアは友達たちとはぐれてしまった。ミカルを必死で探したら、彼女は白い服の男たちのクルマに乗ってどっかに消えた。「ぜったい戻ってくるから待ってて」と彼女はいったので、ジアはその場所でボケーと待つことにした。

ユージーンが恋人とフレディといっしょに迎えにきた。彼はいやがるジアをクルマに乗せ、連れ去った。そしてネラーの秘密を教えた。ネラーの属する組織はPICという。PIC = People In Charge。彼はそこのアンダーカバーだったのであり、それがバレちゃったのでコミュニティは解散。みんなは散り散りになっちゃった。PICってのは死後の世界の秘密警察みたいなもんだろうか。そしてユージーンはミカルのことも話した。彼女がPICに直訴した結果、その主張が認められ、生き返らせてもらえることになったそうである。ジアは複雑である。せっかく仲良くなったのにもう会えないのかーと悲しんだ。

ユージーンは恋人といっしょにどこか落ち着く先を探すみたいで、彼は別れを惜しみつつチンチン電車で去っていった。このお別れシーンのセットはすごくおもしろい。なんだか日本の昭和の時代の居酒屋みたいだった。

ジアは完璧にひとりぼっちになった。ユージーンがクルマを残してくれたので、それに乗って一人旅。のはずだったのだけど、彼はもうどうでもよくなっちゃったのか、孤独に耐えきれなくなったのか、クルマの助手席の下にあったブラックホールに身を投げた。このブラックホールの存在理由は不明だが、ユージーンは「そこにバミューダトライアングルがある」なんて説明していたが、なんでも飲み込んじゃう文字通りのブラックホールがこのクルマには最初っからあったのである。

白い服を着たネラーがどっかの倉庫にいて、書類ファイルをひとつ盗んだ。それはジアのファイル。

ジアは病院のベッドで目を覚ました。ドアが開いてて、廊下で父母が深刻顔で医者としゃべってるのが見えた。手首を切ってから病院に担ぎ込まれてギリギリ助かったみたい。隣のベッドでミカルが寝ていたのでびっくりした。彼女と目が合った。むこうはぼくを覚えているんだろうか。もしかしてぼくのことをぜんぜん知らないんじゃないのかな。と思ったらミカルはにこーと笑った。ジアもにこーと笑った。おしまいー。

※てのがいちおうあらすじですが、ハショっちゃったところがたくさんあります。登場したキャラたちがなんで自殺したかっていう回想シーンがちょくちょく入るんだけどそれもおもしろい。ミカルちゃんがあっちこっちで看板にラクガキする内容もおもしろかった。さりげない会話の中にジアだけが生き返らせてもらえた理由が隠されているように思われます。観るひとそれぞれの解釈で楽しめる映画だったですね。

※じわーんなラストに感激してようやく落ち着いてからふと思ったんだけど、ネラーの飼い犬、フレディは自殺犬だったのだろうかという点が気になってきた。あるいは白い犬だったからPICのアンダーカバーだったのかもしれない。てか、ワンコだから DIC (= Dogs In Charge) ... !?

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2008年3月25日 (アメリカ) (DVD)
2009年3月17日 (イタリア) (DVD)
2010年8月4日 (フランス)
imdb.com: imdb.com :: Wristcutters: A Love Story
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
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