2007/11/23 (Fri) at 8:26 pm

映画|アメリカン・ギャングスター|American Gangster

70年代に実在した『ハーレム版ゴッドファーザー』フランク・ルーカスの隆盛から凋落していくまでを描いた物語。デンゼル・ワシントンラッセル・クロウ。監督リドリー・スコット。2007年アメリカ。

アメリカン・ギャングスター / American Gangster DVDDVD画像

イタリアンマフィアのボスの急死。それをきっかけに運転手だった黒人男が大出世する。フランク・ルーカスはメキメキと頭角を現し、ハーレムのアンダーグラウンドヘロイン市場を席巻した。当時ベトナム戦争の兵士たちがアジアで出回るヘロインを本国に持ち帰る事例が社会問題となっていた。ソレに目をつけたフランクは自ら単独でベトナムに渡り、地元のボスに話をつけて高純度のヘロインをアメリカ国内にドッカーンと持ち込むことを画策。自分の親戚筋のコネを利用してUGネットワークをつくりあげ、その輸送には軍の飛行機を利用した。かつてない上質のヤクに『ブルー・マジック』というブランド名をつけ、組織の要所には自分の血縁者たちを置いた。「ピュアドラッグをベタープライスで!」が大当たりでウハウハである。ダイエーの中内功みたいだ。キレイな奥さんをもらって、彼自身は常に慎重に行動して派手な表舞台に顔を出すことは極力避けるようにした。黒人マフィアが名をあげるというのは時代的に異例中の異例である。

一方、警察の方では、史上まれに見るバカ正直な刑事がいた。彼は捜査中に100万ドル近い現金を押収したが、それは犯罪者たちが売春やらヤクやらで儲けたカネなのだが、それを一切ポッポに入れず、正しく上司に報告した。彼はいいことをしたのにもかかわらず、警察内で異端視されるようになった。離婚係争中の奥さんからは「あんたバカ?」といわれた。おもしろくない!おれはいいことをしたのに!という背景には、当時の腐敗した警察組織のありようがある。警察官がギャングからお小遣いをもらうのは当たり前の時代だったのだ。雰囲気としてはジェイムズ・エルロイが描いた50年代の暗黒LAの警察組織みたいなかんじか。

てわけで、異例の出世をした黒人マフィアとバカ正直刑事がいて、両者がガチンコ勝負の対決に至る物語。70年代初頭のNYの風景は当時に思い入れがあるひとには懐かしいだろう。モハメド・アリの試合風景やサミー・デイビス・ジュニアのソックリさんがチラリと出てくるシーンがあったし、ラジオのニュースでウディ・アレンとダイアン・キートンがどーのこーのといっていた。他にいろいろ出てたらしいが私はよくわからなかった。ヒュー・ヘフナーとか?

というかんじで、時代の大物ギャングをハリウッド風にアレンジした映画なんだけど、パッとしなかったな。「ハーレム版ゴッドファーザーですか」という視点で見たのが間違いだったのかも。デンゼル・ワシントンは「冷血ビジネスマンである一方、家族想いの黒人ボス」というキャラをがんばって演じていたが、マーロン・ブランドにはまったく及ばない。脇を固める方々もチャチである。ジョー・モートンが親切オヤジの役で出ていて、私は彼を好きなんだけどこの配役は合わないなと思った。ジョー・モートンのキャラは甘すぎる。単に「温厚キャラの黒人俳優」という理由で選んだのかと思ったぞ。

「口ではえらいことをいってても結局は虚飾にまみれたヤクザである」という世界観を、コッポラは『ゴッドファーザー』で美しく切なく描いたけれども、リドリー・スコットの『アメリカン・ギャングスター』は単に犯罪者を賛美してるだけである。ヤクをアジアから輸入して国内でバラ撒いてたという時点で問答無用に重罪だ。家族想いだとかそんなのどーもいいじゃんか!それは彼の個人的な事情であって、部外者が許すべきじゃないだろ。ラストでコテンパンにしておかないと後味が悪いな。

ラッセル・クロウのほうはよかったな。離婚するぞとガーガー文句をいう奥さんはカーラ・グギーノが演じていたが、彼女は相変わらずキレイだったが、こっちの方がマフィアの女に似合ってない?てわけでまったくどーもパッとしなかったなというのが私の印象でした。好きな方、ごめんなさい。

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imdb.com: imdb.com :: American Gangster
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