2014/5/5 (Mon) at 8:29 pm

映画|プロクシ|Proxy

意外なtwistがおもしろい!妊婦のお腹をレンガで連打!人間のねじくれ心理を描く妊婦ホラー映画。アレクシア・ラスムセンアレクサ・ハヴィンスクリスティーナ・クリーブジョー・スワンバーグ。監督ザック・パーカー。2013年。

プロクシ / Proxy DVDDVD画像

ここはインディアナのリッチモンド。

美人の妊婦さん(アレクシア・ラスムセン)がチンピラに襲われる。キャーと倒れたところで、大きなお腹をレンガで連打。ずどんずどん。うへー。

かわいそうなママはぐぇーとブッ倒れて血塗れになったが、瀕死寸前、救急車に救われた。でも赤ちゃんは死んでしまった。あー。

この女はエスターさんというのだが、徐々に明かされる話によれば、彼女は天涯孤独の身の上である。刑事やら医者やらいろんな人が病室にやってきて事情を尋ねるが、「自分には家族も友達もいない」「友達は金魚だけ」なんていうから、ソーシャルワーカーのオバちゃんなどは困ってしまう。

「赤ちゃんのパパは?」と訊いたら、精子バンクなんだそうな。なんだか知らないが、ワケアリぽい。みためは普通の美人で、変人ぢみているわけでもないから、友達ゼロっていうのは意外である。いったいどういうひとなんですかね。

彼女はやがて退院。迎えにくる家族はおらず、退院祝いをやってくれるひともおらず、ひとりぼっちで家に帰ったら金魚は水槽で死んでいた。あー。

肉体の傷は治ったが、赤ちゃんをなくした悲しみはいつまで経っても癒えず、放心状態が続いていたが、こんな女にも友達ができた。教会でやってるセラピーにいったら、メラニーさん(アレクサ・ハヴィンス)という未亡人と知り合い、茶飲み友達になった。

メラニーさんは以前は普通の主婦だったが、ある日、夫(ジョー・スワンバーグ)と子供がヨッパライ運転手に轢かれて死んでしまったそうな。ふたりは何度も会い、傷を舐め合うように打ち明け話をし、友達になる。孤独なエスターさんにとっては、貴重な存在になった。

と、まァ、悲しい女の悲しいお話が続くんだが、中盤あたりで、びっくり仰天のtwistがあるんですよ。エスターさんには、じつは、切っても切れない間柄のレズビアン恋人(クリスティーナ・クリーブ)がいたのです。へー。

こちらは暴力スケバン風のタトゥー女で、刑務所とシャバをいったりきたりのヤクザ稼業をやっている。この女はエスターさんを身も心も支配し、「おまえはおれのオンナ!」つって、暴力的に犯し、ひれふさせる。なんだかひどいですね。かわいそうですね。なんてことはないんですよ。エスターさんの方もそんな風に蹂躙されるのが悦びこの上なく、ふたりはメロメロのベストカップルなのです。いやらしい!

悲しみドラマにスケバン女が乱入してきて、エロエロ場面になって、こんな意外な一面がズラズラーと明かされるのはおもしろいが、その先にはもっと意外な打ち明け話が待っている。そもそもの発端である路地で襲われた事件の真相。そしてさらに、親切女のメラニーさんの意外な秘密。意外意外意外意外意外意外。えーっ、えーっ、えーっ!

よくこんな話を考えつくものだなあ。

トレイラー動画

Proxy (2013) trailer

感想

冒頭の暴力シーンは相当に痛々しく、妊婦ホラーを苦手なひとにはトラウマになりそうな描写だが、その後は地味である。ゴアゴアはなくて、サスペンススリラー風になる。でもおもしろいですよ。人間の心の闇を描いているっていうのかね。常人の感覚では理解し切れないねじくれた心理が明かされて意外なtwistに落ちるのはヒッチコック風でもある。どうなんだろうか。「ぜんぜん理解できない!」と感じるひとも多いかもしれないが、私はなんとなくわかりましたよ。こんな昏い心理ってあるかもなーって思った。この台詞はどういう意味なのか、映画を観て確かめてください↓

Esther: I never wanted to be a mother.

私は母親になんかなりたくなかった。

好き嫌いがわかれそうな映画である。ちょっと夢うつつの場面があって、観客はわけがわかんなくて、あっけにとられてしまうだろう。普通の映画ならば、「過去の回想ですよ」とか「脳内妄想ですよ」てのがなんとなくわかるようになってる部分が、この映画では説明が抜け落ちて、観客はしばしば混乱させられる。また、最後のクライマックスで、暴力女が2階の部屋で何を目撃したのか、観客は教えてもらえない。そこは想像しろってことになっている。説明を排した手法は「そもそも現実ってナニ?」という問いかけであるようにも感じられる。

このあたりが評価のわかれ目なのだろうが、常々、私は特にハリウッド映画の過剰な説明演出をうるさく思っているくらいなので、これはいいと思った。近年、話題の新作ホラーでチョイチョイ顔を出すジョー・スワンバーグが出てくるが、彼が絡んでいるヤツはこんな風変わりな演出が多い。この映画ではジョーさんは俳優だけで、演出や脚本なんかはやっていないが、彼の好みが少しばかりは反映されているのではないだろうか。

ジョー・スワンバーグが監督をやった『24 Exposures (2013)』も似たかんじでおもしろい。どちらの映画においても、無茶苦茶なtwistで、パッと見、破綻しているように思えるが、よく考えるとギリギリ均衡が保たれている。観客の心に混乱を植えつけながら、お話が進行しつつ、論理破綻の一歩手前で踏みとどまり、観客の注意を惹き続ける。制作者はその技巧に賭けている(ように思える)。そんな意気込みが感じられて、私は好きだ。

俳優さんはみんないいが、クリスティーナ・クリーブが特におもしろかった。悲しい女たちが出てくるドラマにおいて、彼女が演じた単純暴力女のキャラはインパクトがあった。ロブ・ゾンビの『ハロウィン (2007)』でダニエル・ハリススカウト・テイラー=コンプトンという大物クイーンといっしょに出てきてスターになった彼女はお色気演技が多いが、この映画でもズバーンと脱いでいるが、ぜんぜん色っぽくない。男みたい。でもおもしろい。彼女は以下の新作にも出ていて、こっちもヨサゲなんですよ↓

Memorable Quotes

Melanie: Did you do this?!
Esther: I did it for you.
Melanie: No.
Esther: I would never hurt you. I just came to do the things you couldn't do. Don't you see? So we can be together. Melanie. No more lies. We're the same.

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原題: Proxy
別題: Доверенность
制作年: 2013年
制作国: アメリカ
公開日: 2013年9月10日 (カナダ) (Toronto International Film Festival)
2013年9月14日 (フランス) (Strasbourg European Fantastic Film Festival)
2013年9月19日 (アメリカ) (Austin Fantastic Fest)
2013年10月13日 (スペイン) (Sitges - Festival Internacional De Cinema Fantastic De Catalunya)
2013年10月20日 (カナダ) (DedFest)
2013年10月29日 (アメリカ) (American Cinematheque)
2013年11月4日 (アメリカ) (Lincoln Center Film Society)
2014年2月16日 (アメリカ) (SF IndieFest)
2014年2月19日 (アメリカ) (Nevermore Film Festival)
2014年2月21日 (アメリカ) (Portland International Film Festival)
2014年2月28日 (イギリス) (Glasgow Fright Fest)
2014年3月21日 (アメリカ) (Little Rock Horror Picture Show)
2014年4月8日 (アメリカ) (Minneapolis St Paul International Film Festival)
2014年4月9日 (アメリカ) (International Horror & Sci-Fi Film Festival)
2014年4月18日 (アメリカ) (Nashville Film Festival)
2014年4月18日 (アメリカ) (internet)
2014年4月18日 (アメリカ) (limited)
2014年10月14日 (ドイツ) (Blu-ray & DVD premiere)
imdb.com: imdb.com :: Proxy
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
アートディレクション
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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