2013/8/13 (Tue) at 7:25 am

映画|ラスト・カインド・ワーズ|Last Kind Words

農場に引っ越したらカワイコちゃんのオバケが出てきてびっくりするホラー映画。ブラッド・ドゥーリフスペンサー・ダニエルズアレクシア・ファスト。監督ケヴィン・バーカー。2012年。

ラスト・カインド・ワーズ / Last Kind Words DVDDVD画像

プロローグ。

少年が父と一緒に森でハンティングしていたところ、首吊りガイコツ死体を発見して腰を抜かし、振り返るとオバケがいた。思わずズドンと撃ったら父を射殺。その後、呆然顔で歩いていったら、少女がいた。ふたりはなんともいえない表情で見凝めあう。

現在。

ケンタッキーのどっかの田舎。

父(クレイ・ウィルコックス)+ 母(マリアンヌ・ヘイガン)+ 息子(スペンサー・ダニエルズ)の3人家族が、町から農場に引っ越してくる。ここは父母の故郷であり、家族は昔の知人である地主さん(ブラッド・ドゥーリフ)の元で、住み込み仕事をやることになった。

父母の表情はあまりよろしくない。特に父は地主を嫌っており、憤懣やるかたないという顔つき。彼は普段は無口だが、ときどき酒を飲んで暴力を振るう。底知れぬ憤怒と焦燥に囚われているよう。母は暴力夫に怯えつつ、それでも彼をいたわるように接している。

地主てのは、農場内の屋敷にひとりで暮らす男で、家の中には先祖から受け継いだ南北戦争時代のアンティーク銃が飾ってある。過去にすがって生きているような人物だが、穏やかで親切な人柄に見える。なぜ父は彼をそんなに嫌うのだろう。

そして息子のイーライ。年の頃は10代後半。親の都合でこんな片田舎に引っ越しさせられるわ、暴力父に張り飛ばされるわ、踏んだり蹴ったりであるが、父に怒鳴り返すこともなく、母に当たり散らすこともなく、ただ悲しい目つきで空を眺めている。このあたりには他の人家はなく、イーライは遊び友達もできないが、地主の飼い犬シェパードを気に入って、ワンコといっしょに森歩きをする。

と、まァ、どいつもこいつも陰気顔の陰気な家族ドラマが進行しつつ、イーライは森で謎のカワイコちゃんに出会う。彼女はアマンダさん(アレクシア・ファスト)といって、ものすごいカワイコちゃん。

イーライは彼女の魅力に吸引される。こんな田舎で、友達もいなくて、親に殴られていたところに美女が出てきたら、ソノ気になるのは当たり前だが、なんとなくわかる通り、この娘はオバケです。イーライは牡丹灯籠さながらに、相手をオバケと知りつつ、溺れるようにハマっていくんだが、そうこうするうち、彼はこの土地の過去を知るようになる。

アマンダがなぜオバケになったのか。彼女は誰なのか。なぜ父は地主を嫌うのか。なぜ地主は過去にこだわっているのか。冒頭プロローグの父を射殺した少年は誰なのか。関係者の過去がズラズラーと明かされ、パズルが解けていくのです。

トレイラー動画

Last Kind Words (2012) trailer

感想

私はふだん感動してください系のオバケ話に感動しない体質なんだが、これは例外的に感動した。陰気なヤツラばかり出てきて、各自それぞれの思いがあるんだが、すべての人たちは過去に縛られ、過去に拘泥し、なにかにすがって生きている。そこが、悲しくて、いいですね。

美女オバケを演じたアレクシア・ファストが大変よかった。ときどきテレビで顔を見てカワイコちゃんだなと思っていたけれど、ここまでやるとは。世の中きれいな女優さんは多いが、この映画の彼女は、ふわりふわりと表情が変化して、悲しげにうつむいたり、軽やかに笑ったりとかですね、表情が多彩。こんなオバケに森で出会ったらひとたまりもないですね。

こんなカワイコちゃんが
アレクシア・ファスト / Alexia Fast 画像

こんな顔にもなるよ
アレクシア・ファスト / Alexia Fast 画像2

この突出感/存在感というのは、彼女自身の魅力ばかりでなく、監督さんの演出やら撮影やらすべての要素がバチッとキマったゆえの結果なのだろう。だからどんな映画に出てきてもこんな風になるとは限らない。

上のあらすじでは割愛したが、イーライが町に住んでいたときの幼なじみの女友達というのもチョロッと出る。サラ・スティールが演じている。彼女はイーライと会えないのが寂しくてわざわざ長距離ドライブをして顔を見にきたっていうんだが、これがサザエさんの花沢さんみたいな娘である。暗いドラマの中でコイツだけが陽気に笑っているんだが、その彼女もまた哀しみの結末に落ちる。

こちらは花沢さん
見ようによってはかわいいといえないこともない
サラ・スティール / Sarah Steele 画像

あの森には代々そこに棲み続けた人たちの過去が凝り固まり、瘴気を放つ霧となって沈殿しているのだろう。そして、やってくる者たちを誘い込むのだろう。こわいこわい。

US版DVDは発売中

US版DVDはオマケなんにもナシでした。ちょと残念。CCはついています↓

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原題: Last Kind Words
別題: Poslednje Lepe Reči
Elbocsátó szép szavak
制作年: 2012年
制作国: アメリカ
公開日: 2012年3月24日 (アメリカ) (Atlanta Film Fest)
2012年6月1日 (アメリカ) (Brooklyn International Film Festival)
2013年5月21日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Last Kind Words
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup

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