2013/3/21 (Thu) at 10:39 am

映画|Murder Party

孤独男がハロウィンのパーティにいったら、芸術家たちに拉致されてびっくりするインディーズのホラー映画。ゴアゴアあるよ。クリス・シャープメーコン・ブレアステイシー・ロック。監督ジェレミー・ソウルニエ。2007年。

Murder Party DVDDVD画像

ここはNY。ハロウィン。

世間はお祭りホリデーだが、内気男のクリスさん(クリス・シャープ)はひとりぼっち。ネコといっしょにホラー映画を見ようと思ったら、道端でパーティの招待券を拾う。

彼はこのパーティに参加してみることにした。段ボールでつくった仮装コスを身につけ、電車に乗っていそいそとおでかけ。うれしそう。路上の場面では、『時計じかけのオレンジ』ネタがあります。黒い帽子のドルーグ(droog)がチラと出るよ。

彼は自前のカボチャケーキを焼き、心づくしのおみやげを用意し、並々ならぬ気合いで挑んだのだが、やっと会場にたどり着いたら、そこにいた5人の男女(メーコン・ブレアステイシー・ロックポール・ゴールドブラットウィリアム・レイシーSkei Saulnier)にとっつかまってしまう。ひー。

この連中は様々な分野のアーティストであった。各自思い思いの仮装をしている。男3名は、ヴァンパイア、ワーウルフに加え、ウォルター・ヒルのカルト映画『ウォリアーズ』のBaseball Furies。んで、女ふたりは、ゾンビチアリーダーと、『ブレードランナー』のダリル・ハンナのコス。

彼らは写真や絵やインスタレーションをやっている芸術家であり、かねてより念願の『殺人芸術』を実行するため、カモをおびきよせたという話だが、まさかほんとにくるとは思わなかったようです。

連中は哀れなクリスさんをイスに縛り「さて、どうすっか」と話し合う。そうこうするうち、アレルギー体質のチアリーダー娘がおみやげのケーキを食ったらレーズンに当たり、「これ、オーガニックじゃないの!?」と文句をいい、コテンと気絶し、頭から流血。あっけなく死亡。あれま。

そこに、あわただしく、金持ち男(アレクス・バーネット)がお抱えのヤクの売人(ビル・タングレイディ)を引き連れてやってくる。この男は大富豪のパトロンであり、若い芸術家を積極的に支援したいという奇特な人物なので、機嫌をそこねたらたいへん。連中は死体を隠しておもてなしをする。

パトロン男を囲んでヤクをやったり、殺人の予定を話し合ったりするんだが、やがて、パトロン男はインチキだったとわかってしまう。わーわーと口論になり、内輪揉めになり、チェーンソーを振り回し流血騒ぎに。クリスさんは目をぱちくりさせて、ドタバタを見物していたが、ドサクサまぎれに脱出成功。スタコラ逃げる。狂った芸術家が追ってくる。きゃー。

Bill: Argh! Everybody's gonna die!

トレイラー動画

Murder Party (2007) trailer

感想

この映画は6年前にDVDが出たんだが、私は未見でした。インディーズ映画好きの間で評判がよかったので観てみました。日本版は出てないようです。訳しにくい台詞が多いから断念したのかもしれない。pun(ダジャレ)なんか訳せないですよね。

期待した風とは少しちがってましたが、おもしろかったです。うだうだが長いんだが、その部分もよかった。インテリぶった芸術家を皮肉るようなギャグがたくさんある。昔、こういうヤツがよくいたなあと懐かしかったです。ちょっと昔話をば。

浅田彰の『逃走論』がバカ売れした時代。

当時、私、サンフランシスコの画廊で、この映画のパトロン男みたいなヤツをよく見ましたよ。派手な格好で画廊に飛び込んできて、作品をバコバコ買いまくって、芸術評論をダダーとしゃべって、「〇〇はクソだ!」みたいなことをいうんだが、とにかく金持ちなので、だれも逆らわない。丁重におもてなしをしてカネを出させるんだが、果たして、ほんとに金持ちなのか、やせがまんなのか、詐欺師なのか、さっぱりわからない。友達に「あれはすごいね」つったら、「NYにいけばもっとへんなひとたちがたくさんいるよ」といっていました。

日本にも詐欺師臭いヤツがよくいました。事務所にいくと、でっかいモニタに松本俊夫やナム・ジュン・パイクのビデオが流れてて、机の上に柄谷行人の本が置いてあったりする。私は翻訳の仕事をもらっていたので、仕事上の付き合いは避けられませんでした。打ち合わせの前に、山口昌男の新刊書について意見を求めると、きげんがよくなり、ギャラがよくなるんだよね。山口昌男先生様様でした。ご冥福をお祈りします。

私、ああいうナヨナヨしたヤツラがしたり顔で評論するのがかったるくてですね、『いつかブッ殺すリスト』に入れていたんですが、この映画ではそういう連中がドカドカと死んでいくからきもちいいです。

あ、いや、柄谷行人や山口昌男や松本俊夫に文句をいっているわけではありませんよ。そんな大それたことは考えていません。ただ、あの時代には、そのようなアイテムを使って自分を賢く見せようとする連中がウヨウヨいたなあという点を思い出したというわけなので、誤解なきようよろしくお願いします。てか、私もそういうヤツラに寄生してたクチなので、結局、同類だったんだなあ。あー、恥ずかしい。

とまァ、そんな調子のギャグ場面がうだうだとあって、後半になるとガガーとアクションが始まります。最後はギャラリーに乱入して、関係ないひとたちも巻き込んで血塗れgorefest。ゴアゴアは多くはないが丁寧です。特に、チェーンソーを顔にグリグリする場面はよくできていました。クリスさんがつくった段ボールコスみたいな、手づくり感のあるホラー映画です。

DVDのオマケ

ジェレミー・ソウルニエ監督
ジェレミー・ソウルニエ / Jeremy Saulnier 画像

Murder Party (2007)』は、孤独男クリスを演じたクリス・シャープ、俳優のメーコン・ブレア、監督のジェレミー・ソウルニエの幼なじみトリオのプロダクション『The Lab of Madness』がつくったインディーズ映画です。メイキングの中でいろいろしゃべってるから、興味のあるひとは見たらいいですよ。監督さんのお言葉↓

"Murder Party is Breakfast Club with chainsaw and hard drugs."

オマケいろいろある。楽しいよ↓

  • Extreme Truth: The Making of Murder Party
  • Filmmaker Commentary featuring The Lab of Madness
  • Outtakes and Bloopers
  • How to Make Your Own Brown Knight Costume
  • Pumpkin Bread Recipe
  • Valediction in Black: Lexi's Art Intallation Video

このDVDはCCつきです↓

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原題: Murder Party
別題: Gyilkos mulatság
Party dolofonon
制作年: 2007年
制作国: アメリカ
公開日: 2007年1月 (アメリカ) (Slamdance Film Festival)
2007年3月12日 (アメリカ) (South by Southwest Film Festival)
2007年7月21日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2007年10月12日 (アメリカ) (limited)
2007年10月25日 (カナダ) (Toronto After Dark Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: Murder Party
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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