映画|I Didn't Come Here to Die

プロローグ。

警官が路上に惨殺死体を発見する。ひとりで付近を捜索するうち、なにかにウギャーと襲われる。

どっかの田舎。

6人の男女混合ボランティアのみなさんが森にやってくる。こんな辺鄙な場所でなにをやるんだと思ったら、この森を公共キャンプ場にするための力仕事をやれという話であった。木を切ったり、バーベキューコンロをつくったり。この土地は元々とある家族が所有していたが、娘さんがブッ殺されるという不幸な事件があり、家族は土地を寄進したそうな。

6人のメンツはいずれも濃いキャラのみなさん。ソフィーさん（エミー・ロビン）はみんなを束ねる班長女。まじめ + 巨乳。ミランダさん（マディ・ゴフ）は政治の世界にいきたい野心娘。ボランティア活動を通じて指導力を学びたいとかいう。こいつがいちばんおもしろい。やることがいちいちうざい。

クリスさん（ニコ・レッド・スター）はBADASS男。酒と女とタダめしをあてにしてのボランティア参加です。こういうひともいるよね。スティーブさん（Jeremy Scott Vandermause）は恋人ひとすじの普通アンちゃん。ジュリーさん（インディアナ・アダムス）は無気力アーパー眼鏡娘。ダニーさん（カート・コール）は悲しい過去を持つ深刻男。ソフィーさんに惚れてるみたい。

こんな連中がヒデー目に遭うっていういつものヤツなんだが、これがですね、どうも文章に表しにくいんだが、独特の味があるんですよ。おもしろいゴアゴアもあるよ。

トレイラー動画

I Didn't Come Here to Die (2010) trailer

感想

この映画はBDやらFangoriaやらおなじみのホラーサイトが揃ってイチ押しであります↓

• BLOODY DISGUSTING - I Didn't Come Here to Die
• FANGORIA - I Didn't Come Here to Die

Bradley Scott Sullivan's I Didn't Come Here to Die is one of the best horror film debuts since Sam Raimi unleashed The Evil Dead upon the world.

『Evil Dead』以来のベストホラー。

なんて、万歳三唱している。

んで、気になって観たところ「それほどのもんかね」という気もしたけれど、まぁ、おもしろかったです。確かにちょっと変わってるよね。インディーズなりの知恵を絞って新奇なことをやってみたよという気合いが清々しい。

暖色フィルタがかかったようなレトロな色調。VHSテープ風の映像処理。スマートフォンが出てくるから現代のお話なんだが、どことなく70年代風です。ゴアゴアよし。ギャグよし。テンポよし。キャラよし。最後にびっくりtwistがある（これがなかなかおもしろい）。

6人のアーパー連中が山でヒデー目に遭うっていう設定はいつものヤツなんだが、『I Didn't Come Here to Die (2010)』では、キチガイキラーもモンスターも出てこない。だからすごく変わってる。

どうやって死ぬかといえば、どんどん自滅していくのです。振り返ったらめんたまに枝が刺さってウギャー！二日酔いでチェーンソー振り回したら顔に当たってウギャー！こんな調子でアホみたいに自滅していく。基本、お笑いですから。

「こいつらはいったいなんのために生まれてきたのかね」

こんな疑問がしみじみと頭に浮かぶのが不思議です。ふだんホラー映画を観てこんなことを思わないでしょ。彼らのジタバタを眺めていると、珍しい生き物の生態を観察しているみたいなきもちになる。エンディングでマーゴ・ガーヤンのCan You Tellが流れます。これがねえ。またいいよねえ。ははははは。

この映画みたいに人類が絶滅していったら、ものすごく人類らしいのかもしれない。なんて。そんな大げさなもんでもないか。BDさんがいうほど傑作には思えなかったけれども、へんなものを観たというきもちにさせてくれるのはまちがいないですね。

この映画はVODで観ましたから、オマケなどはありません。

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