2013/1/5 (Sat) at 6:45 am

映画|レプリカ|In Their Skin

別荘にやってきた3人家族がヒデー目に遭う『ファニー・ゲーム』風のスリラー映画。セルマ・ブレアジョシュア・クローズジェームズ・ダーシーレイチェル・マイナー。監督Jeremy Power Regimbal。2012年。

レプリカ / In Their Skin DVDDVD画像

どっかの山。

3人家族が別荘にやってくる。父(ジョシュア・クローズ)、母(セルマ・ブレア)、息子8歳(クイン・ロード)に加え、息子の友達ゴールデンレトリバーもくっついて、山道をドライブしてきたのであるが、なぜかみなさんは陰気顔である。ぜんぜん楽しそうじゃない。

じつは、つい先頃、彼らは娘を事故で亡くしたそうな。悲しみに暮れる家族は都会の喧噪を離れ、山の別荘にきたってことでした。

別荘といってもチンケな山小屋風情ではなく、内装は豪華で中は広い。金持ちなんだなーと思わせる雰囲気だが、後に明かされる話によれば、父は弁護士、母は不動産業だそうです。なんだかさりげなく金持ち風なんだよね。いいよね、金持ち。

翌日の早朝。

へんな訪問者がやってくる。それはお隣さんの家族であった。父母息子(ジェームズ・ダーシーレイチェル・マイナーアレックス・フェリス)というメンツは、こちらと同じような家族構成。お隣さんが挨拶にくるのは不思議ではないが、時間帯がチト迷惑である。

窓の外にそいつらがいるのに気づいた主人が「どちらさん?」とドアを開けたら「あれま。起こしちゃってすません。わたしら、あっちの家に住んでるもんです。ご挨拶がてら、薪を持ってきたんですよ。どうぞ使ってください。握手握手ハローハロー!」という調子で、ものすごい親切押し売り調である。

これがテキサスの農場ならば、オーバーオール着用のオヤジがショットガンをブッ放すところであるが(Get out of my property!!)、ここは金持ち御用達の別荘地である。主人はガウン姿で露骨に嫌な顔をするが、かといって追い返すこともできず、適当に自己紹介などをし、相手のいうままいっしょにめしを食う約束をしてしまう。

午後。

うざい隣人家族が手みやげを持ってやってくる。こんなものは相手にしなければいいではないかというのは貧乏人の考えであり、金持ちというのはしきたりを大事にするもんなのである。というのは貧乏人の想像なんですが。

んで、まァ、いやいやながら、町内会の会合みたいな調子でいっしょにめしを食い、おもてなしをし、子供たちはいっしょに遊び、適当にやるんだが、徐々に相手の異常性が露になってくるのです。なんていうのかね、個人的なことに口を突っ込みすぎるんだよね。じつにうざい。ほんとうざい。

別荘にきてまでこんな付き合いをしなくちゃいけないなんて、金持ちってたいへんだよね。これがテキサスのオヤジなら、あ、さっきもいった。すません。

彼らはこの会合をサッサと切り上げてプライベートな時間を取り戻そうとするんだが、この先とんでもないことが起きて、ヒデー目に遭わされるってわけです。

トレイラー動画

In Their Skin (2012) trailer

感想

「カナダの新人監督がつくった『ファニー・ゲーム』風のスリラーはちょっとおもしろいヨ」と話題になってたので、私も観てみましたよ。そうですね。ほんとにそんなかんじでした。『ファニー・ゲーム』に似てるけど、ちがう部分もあるからパクリのような印象はありません。おもしろかったです。

ゴア描写ナシ。アクション極小。上へ下への大騒ぎで逃げ回るというヤツとは根本的に違うのです。どこがどううまいのか、私はうまく説明できないんだが、リアルな恐怖感がじょうずにつくってあったと思う。俳優さんの演技がたいへんよかった。善人も悪人も。

私、前半のほうが好きです。隣人家族がへんなスマイルで寄ってくるあたりが特に。ああいう、なんていうんだろ、日常風景に異質さが侵入してくる演出てのが、この監督さんの持ち味なんだろうか。クライマックスはいまいちだったなあ。でも、つまらないことはない。まずまずオッケー。

ヤラレる側の主人は金持ち弁護士だから、侵入者を相手に格闘するなんてガラじゃないのです。いちおう非常用の銃を持ってるが、手がぶるぶる震えてしまう。へっぴり腰でわるもんのいいなりになってしまう。

もし現実にこんな目に遭ったら、たいていのひとがこうなっちゃうんじゃないですか。銃を撃つとか、ナイフでズボズボとかさ、そういうのって非日常の娯楽として見てるでしょう?ホラー映画を観ていると「そこでトドメを刺しなさいよ。アホだなあ」なんて思うけど、もし自分がそこにいたら腰が抜けちゃうんじゃないかなあ。そんな現実感があったなあ。

わるもん側の子役(アレックス・フェリス)がこわくてきもちわるかった。あれを見てたらいやな記憶が蘇ってしまった。

以下余談。

私、昔、ネコをいじめている子供を見つけたことがあるのです。小学5年生くらいの男の子だった。「おいこら」つって叱ったの。そしたら、その子供、ものすごい顔で私を睨みつけてから逃げていった。あの睨み顔はゾッとしましたよ。背筋ひんやり。ドスの効いた子供だったよね。

子供が残酷な遊びをやることは当たり前なので、ネコをいぢめるという点には驚かないけれども、問題はその先ですよ。大人に注意されたらやべー顔になるのが普通だと私は思っていたんだが、そのときの子供はものすごい目つきで私を睨みつけたのです。そうくるとは思わなかったからびっくりした。いやなもんを見たとおもった。

相手は子供ですから、肉体的な危害を加えられるかもしれないといった恐怖ではないのです。もっといやらしいかんじ。尾を引くかんじ。私、その経験をしたときには何日かいやなきぶんが続いて、いまでも思いだすときもちわるいんだが、あの子供とイメージがダブッてしまった。あー、こわいこわい。

この映画は珍しくVODで観ました。だからオマケなどはありません。IFCはおもしろい作品をよく拾ってくるよね。これもそのうちDVDが出ると思います。

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原題: In Their Skin
別題: В тяхната кожа
Em Sua Pele
Sentido na Pele
Kleidoses?
Réplicas
Mentes diabólicas
U njihovoj koži
In Their Skin
Replicas
邦題(カタカナ): 『レプリカ』
制作年: 2012年
制作国: カナダ
公開日: 2012年4月21日 (アメリカ) (Tribeca Film Festival)
2012年8月2日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2012年9月16日 (カナダ) (Atlantic Film Festival)
2012年10月25日 (カナダ) (Toronto After Dark Film Festival)
2012年10月26日 (カナダ)
2012年11月9日 (アメリカ)
2012年11月19日 (フランス) (Paris International Fantastic Film Festival)
2013年5月10日 (日本) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: In Their Skin
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