2012/12/20 (Thu) at 10:50 pm

映画|Wound

心の傷オンパレード。恥辱虐待狂情SM悪夢ゴア濃縮還元EXTREME人間トラウマ苦しめ苦しめ苦しめ鬱屈ニュージーランドのホラー映画。ケイト・オルークTe Kaea Beriキャンベル・クーリー。監督デヴィッド・ブライス。2010年。

Wound DVDDVD画像

スーザンなる中年女(ケイト・オルーク)の家に初老の男が訪ねてくる。男は彼女の父親であった。この父娘はながらく疎遠だったらしいが、父は娘が思いのほかほがらかに迎えてくれたので、喜ばしく思う。

ところが、スーザンは彼を家に招き入れるなり、金属バットでバッコーン。泣きわめく父をブッ殺し、チンコをチョッキン。うへー。

その後、スーザンは死体を庭に埋めたが、アルミホイルで包んだなにかをおまじないのようにいっしょに埋めた。焼き芋でもつくるのかと思ったら、あとのシーンでそれは彼女のウンコだったと明かされる。この女は自分のウンコを後生大事にいちいちホイルに包んで冷蔵庫に保管しているのである。いったいなにを考えているんでしょうか。

ここから先は、時間軸がグニャグニャになり、夢か現か幻かという調子で進行する。映像の中の出来事が過去に起きたことなのか、あるいは悪夢なのか、よくわからない。この女はジョン様(Master John)なる男(キャンベル・クーリー)にSM調教され、服従あるのみの人形人生を送っています。

スーザンの異常な生活が描かれつつ、サブストーリィが同時に進行する。こちらはタニャ(Te Kaea Beri)という若い娘で、どこかにいるはずの母親を捜しているんだが、この母ってのが前述のスーザンなのです。でも、スーザンの方は自分に娘がいたなんて知らず、死産の記録があるのみ。

観客はしばしば置いてきぼりを食わされる。母娘が出会うと、ますます勝手に盛りあがり、めくるめく悪夢フェチ世界が拡がるばかり。エロくてグロい刹那の映像が連続する。壊れ女の脳を切り裂いて、プラグを差し込んで、ディスプレイに映したらこんなかんじ。みたいな映画。

“Little Susan torched her mother in a fire of desire, before she was through she cut her daddy in two.”
- Master John

トレイラー動画

Wound (2010) trailer

感想

これはくるなあ。ズズズガガガーと揺さぶられるかんじ。強烈にdisturbing。青臭いオナニー映画ではないかと警戒したが、最後までテンションが持続し、わけわかんねーヨといいつつ、ササーと見れてしまった自分が不思議であります。なんだか知らないが、うまくつくってあるのだろう。

娘ってほんとにいたんですかね。あれはスーザンの悪夢の一部なのかなと思って眺めていたら、ときおり出てくる監視カメラの映像に、娘の姿も映っているんですね。だからやっぱりいたのかな。とも思えるんだが、最後の方で、娘がガガーと男たちをブッ殺すところではオバケだったのかなって気もする。

上に書いたように、スーザンは自分のウンコを溜め込んでいるんだが、娘が冷蔵庫から出てくる場面がある。そこだけ見ると『娘 = 排泄物』という意味合いなのかなとも思われる。

ある場面では実在しているように見え、ある場面ではスーザンの妄想であるように見え、ある場面ではオバケみたいに見えるのは、私がそう感じるだけかなと思っていたんだが、こちらの感想を読ませてもらったら、ヒントを得られた気がする↓

上にリンクしたひとは「娘は若い頃のスーザンだったんじゃないか」的なセオリを書いているが、おもしろくてわかりやすいです。一部引用させて頂きます↓

It's Blyth's way of showing a broken person exorcising personal demons. Maybe the visual manifestation of trauma is a hulking pig-masked monstrosity. Maybe it's something worse. What's clear is that this film is about real pain and Blyth wants you to experience every bit of it.

訳してみた↓

壊れた人間が内奥の悪魔と対峙する姿が、ブライス監督なりの手法で描かれている。心傷の兆候として現れたのが、わめく奇怪なブタ仮面男であろうか。あるいはそれよりもっと悪いなにかだろうか。明らかにいえるのは、この映画は真の責め苦を描くものであり、監督は観客にそれを味わわせたがっているという点である。

んー。こわいですねえ。

スーザンのママってのが出てくるが、これが堕落sexクラブのオーナーらしい。娘が実在したかどうかはさておき、三世代に渡る女たちが出てくるわけで、こいつらを並べて見物してると、もうね、どうしようもなく『責め苦の3乗』。

この映画は、救済されない人間の姿をいやっちゅうほどにネチネチと描いた映画だったんですかね。そんなもん見てなにが楽しいんだといわれそうですが。そうですね。そういうあなたは正しいです。こんなもん見ててすません。ひー。

映画の中で度々出てきた以下のフレーズですが↓

Be not afeard, the isle is full of noises...

シェイクスピアの有名な文句だそうですが、私はそっちはさっぱりなんだが、日本語で解説して下さっているページがあった。以下のページにはこのフレーズの訳文もあります↓

DVDのオマケ

この映画は2012年3月にDVDが出たんだが↓

私は、11月に出たBOXSETを買いました。パケが素敵↓

amazon.com - Vicious Circle Films Extreme Horror Collection Vol. 1

次の3作品が収録されています。安くてお得↓

El monstro del mar! (2010)』のUK版を買った後でしたから、ダブッちゃいました。余談ですが『El monstro del mar! (2010)』のUK版にはブックレットが入っていましたが、US版はナシでした。だからこれ単体で欲しいひとはUK版を買った方がいいでしょう。

The Gruesome Death of Tommy Pistol』てのはまだ観てないので、どんなヤツだかわかりません。いつかレビューを書くからまた読んで下さい。

本作『Wound (2010)』のオマケはこれだけ↓

  • Short Film: Damn Laser Vampires
  • Short Film: Circadian Rythmns
  • Photo Gallery
  • Music Video: Knot Nite
  • Wound Trailer
  • Bleaking Glass Trailer

ショートフィルム2本入ってます。『Damn Laser Vampires』は音楽PVみたいな雰囲気のヴァンパイア映画。『Circadian Rythmns』は実験的なモノクロ映画。『エロチックな松本俊夫』てかんじ。

画像

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原題: Wound
別題: Wound - Beware the Beast
制作年: 2010年
制作国: ニュージーランド
公開日: 2010年7月26日 (カナダ) (Fantasia International Film Festival)
2010年8月27日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2011年4月2日 (フランス) (Nantes)
imdb.com: imdb.com :: Wound
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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