2012/12/11 (Tue) at 10:53 am

映画|悪魔のサンタクロース/惨殺の斧|Silent Night, Deadly Night

サンタがみんなをブッ殺すホラー映画。ロバート・ブライアン・ウィルソンリリアン・ショーヴァントニー・ネロ。監督チャールズ・E・セリアー・Jr。1984年。

悪魔のサンタクロース/惨殺の斧 / Silent Night, Deadly Night DVDDVD画像

1971年。クリスマスイブ。

ビリー坊や(ジョナサン・ベスト)は、家族といっしょに精神病院に入院中のおじいちゃん(ウィル・ヘア)のお見舞いにいく。

が、せっかく顔を見にきたのに、おじいちゃんは口も聞けず、耳も聞こえない。息子やヨメが呼びかけても返答しない。あー、かわいそう。

と思ったら、なんとこのジジイは孫とふたりきりになると、ニタリ顔でベラベラしゃべり始めるではないか。

「おまえはサンタがくるのを喜んでいるのかえ?アホだなあ。サンタはわるい子を懲らしめるんじゃよ。おまえはなにひとつわるさをしなかったのかえ?ぜったいに自信があるのかえ?フォフォフォ」

こんなことをいわれたビリーはキモを潰してこわがる。帰りの車の中でもこわくてたまらない。そこに、なんと、サンタコスの強盗(チャールズ・ディアコップ)が出てきて、襲われる。サンタ強盗はパパ(ジェフ・ハンセン)をブッ殺し、ママ(タラ・バックマン)をレイプしようとしたが、抵抗されたら頭にきてママもブッ殺した。

ビリーは一部始終を目撃した。幼い子供がこんな目に遭ったら、おじいちゃんの言葉「サンタが懲らしめにやってくる」を信じてしまうのも無理はないだろう。

3年後。

ビリー(ダニー・ワグナー)と弟リッキーは孤児院にいる。子供たちのめんどうを見るのは尼さんたち。ビリーはクリスマスになると憂鬱になる。眠れぬ夜を過ごし、サンタに恐怖し「罰はいやだ罰はいやだ」と悪夢を見、奇行を繰り返して尼さんたちをてこずらせる。

彼の過去を思えば、トラウマになってしまうのは当たり前だが、尼さんの長であるババア(リリアン・ショーヴァン)は厳格な懲罰主義者で、同情なんかしてくれない。

「わるいこはこらしめますよぜったいゆるしませんよ」てなことをいって、お尻をばんばん叩くのである。尼さんマーガレット(ギルマー・マコーミック)だけはビリーに優しくしてくれたが、彼女もババアのいうことには逆らえない。誰も彼を助けてくれない。

大人のエッチを偶然に目撃したというのも不運であった。強盗サンタに襲われたママの悲鳴とエッチな情景が頭の中で混濁し、いつしかこんな図式を脳内にこしらえてしまう↓

『sex → 罪悪 → 懲罰 → サンタがやってくる』

ビリーは誰にも悩みを打ち明けず、子供時代を過ごした。

そして10年後。

ビリーは18歳になった(ロバート・ブライアン・ウィルソン)。なかなかの男前である。不遇な幼少期を経たというのに、素直で優しい若者に成長した。彼は孤児院の紹介により、オモチャ屋さんで働きだす。

社長さん(ブリット・リーチ)は彼のまじめな仕事ぶりを気に入り、よくしてくれる。ビリーはようやく安らぎを得る。彼は職場の人気者。タコ社長と諏訪博みたいである。

ところが、クリスマス商戦の時期になったら、なんと「サンタコスを着て、子供たちをおもてなしせよ」という社長命令を受けてしまう。サンタがこわくて仕方がない男にサンタコスをさせるなんて拷問であるが、まさか社長はそんなこと知らないから「やってくれる?」と頼むのだ。なんという不運。

気の優しいビリーは、社長に恩返ししようとがんばるんだが、もうね、限界なの、だめなの、サンタだけはだめなの、おねがいかんにんして。冷や汗ダラダラしつつ、それでもなんとか、非常なる自制心を以て仕事をやり終えた。

映画を観ている私らは「よくがんばったよ、えらいよ」と褒めたくなるであろう。ところが、夜になり、職場のカワイコちゃん(トニー・ネロ)が同僚男(ランディ・スタンプ)に襲われるのを目撃したら、もう抑えられない。どっかーーーーん。

ついにビリーは狂っちまって、みんなをブッ殺し始める。彼はサンタコスの格好で闇をうろつき、オノをズダーンと振りおろす。リネア・クイグリーが殺されネーチャン役で出てくるよ。

トレイラー動画

Silent Night, Deadly Night (1984) trailer

感想

リメイク版の前にオリジナルからおさらいです。今見てもおもしろいですよ。ビリーくんがほんとにかわいそうなの。あんなヒデー目に遭ったら狂って当然だよね。

『ビリーの幼少時代 → 子供時代 → 青年時代』と成長過程が描かれますが、どの時代においても彼はなんにも悪くないのです。自分の心の闇を抑えて必死でがんばる。抑圧ポンプをギューッと押して押して押して、最後の最後でドッカーン!という流れがうまく描かれていたと思います。

冒頭のおじいちゃんがスゲー。ボケててなんにもわかんないんだと思わせといて、孫とふたりきりになったらいきなりしゃべりだすの。それだけでもギョッとするのに、さらに、しゃべる内容ってのが、サンタのこわい話なんて邪悪すぎ。パパママが戻ってくると、プイと知らん顔してボケ演技を続けるんですよ。ヒデー。こえー。

ビリー坊やはコレで完全にキンタマ抜かれちゃってオロオロ。そして、その晩、サンタ強盗に襲われたってわけです。運悪すぎ。あのジジイはホラー大賞ものだなと思っていたら、こんなのにランキングされていました↓

この映画は「サンタがみんなをブッ殺す」という愉快な設定ゆえ、PTAのオバちゃんを怒らせてアメリカでは非難囂々だったそうですが、当時大学生だった私は海の向こうの事情などつゆ知らず「サンタってオノが似合うよねー」つって友達といっしょに見た覚えがあります。

このシリーズはPART5まである。一挙観しようと思う。がんばるぞ。いえー。

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邦題(カタカナ): 『悪魔のサンタクロース/惨殺の斧』
制作年: 1984年
制作国: アメリカ
公開日: 1984年11月9日 (アメリカ)
1986年12月10日 (日本)
2009年11月23日 (イギリス) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Silent Night, Deadly Night
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脚本/原案
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プロデュース
シネマトグラフィ
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