2011/4/19 (Tue) at 12:44 am

映画|ラバー|Rubber - 殺人タイヤ!

タイヤが動いて無差別殺人するホラー映画。スティーヴン・スピネラロキサーヌ・メスキダジャック・プロトニック。監督カンタン・デュピュ。2010年。

ラバー / Rubber - 殺人タイヤ! DVDDVD画像

ここは砂漠の荒野。

シェリフの格好をした男(スティーヴン・スピネラ)が現れ、カメラ目線で長々と口上を述べる。

スピルバーグの『ET』やら、オリバー・ストーンの『JFK』やら、トビー・フーパーの『Chain Saw Massacre』やらを例に出し、「傑作映画には意味がない。人生には意味がない」という要旨の台詞をしゃべる。こんなの↓

「世の傑作映画っちゅうもんはおしなべて意味がないのです。すなわち、人生には意味がないのです。さてさて、これからあなたがご覧になる映画は、意味ナシに捧げるオマージュであり、まさに最上の極致たる様式といえるでしょう」

と、まぁ、わけのわかったようなわからないような話をしゃべり終えると、彼は去った。

※この冒頭の長台詞は下の『Memorial Quotes』のところに書き出してみたんで、興味のある方はそちらをご覧ください。

※ちょと追記。"no reason" を「意味がない」と訳しましたけど、少しちがうんだよなあという気もします。きちんと訳すと「あるものがそうであるべき根拠がない」という意味に近い。でもソレだと長ったらしいんで「意味がない」と書きました。適当に頭の中で変換して読んでください。なんかうまい訳を知っているひとは教えてください。追記以上。

荒野には、観光客たちがわらわらと集まっている。世話役の男(ジャック・プロトニック)がいて、みなさんに双眼鏡を配った。みなさんは双眼鏡で遠くの一点をうれしそうに眺めだす。彼らはいったいなにを目撃するのであるか。

それはタイヤであった。

砂に埋もれた平凡な古タイヤが、ずりずりと動き出す。命を得たタイヤはよろよろと立ち上がると、弱々しく転がり始めた。デコボコにけっつまずいたりしつつ、左右によろめきながら、転がり続ける。

タイヤさんの歩みは弱々しく、生まれたばかりの子鹿を連想させるのであるが、『彼』には、その平凡な外観からは想像もつかない、超タイヤパワーともいうべき、強力な破壊能力が秘められていたという点が、まもなく明かされる。

大地の感触を全身で確かめるようにゆっくりと進むタイヤさんの行く手に障害物が現れた。それは地面に転がるビール瓶であった。生まれて初めてビール瓶に遭遇したタイヤさんはその場に静止する。

全身ゴムの外観からは想像もつかないが、どこかに感覚器官があって、相手を観察しているのだろうか。隠された頭脳で相手の力量を推し量っているのだろうか。

ビール瓶に対峙するタイヤさんは硬直ゴムと化し、しばらく相手をにらみつけたのち、全身から嫌悪の情を発し始める。その体躯はわなわなと震えだす。硬質ゴムの皮膚が波打つように振動する。あたりの空気は濃密になり、一帯はタイヤさんの全身から発せられる不穏な重力場に呑み込まれたかのようであった。

がたがたがたがた。ぶるぶるぶる。

タイヤの超念力が頂点に達すると、目に見えない重力光線が、ビール瓶を一閃。瓶は砕け散った。あっぱれ。である。

これはただのタイヤではなく、スキャナーズばりのサイキック能力を秘めた超タイヤだったのだ。

障害物を己の力で排除することに成功したタイヤさんは満足げであり、夕陽を浴びて大地を進む。やがて日が暮れる。人生の初日を終えたタイヤさんはコテンと倒れて眠る。

朝になって目が覚めると、またまたころころ転がりだして、こんどは生き物を狙ってみた。ウサギ、鳥、といった小動物をパコーンと粉砕する。なかなかのもんである。

しばらく荒野で経験値稼ぎをしたのち、道路に出て、未知の世界へと足を踏み入れる。その先にはモーテルがあった。

人間に出会ったタイヤさんは無差別殺人を開始。タイヤはそこらじゅうの人間をブッ殺しまくる。死体の山がゴロゴロできて、だれも『彼』の悪行を止められない。

トレイラー動画

Rubber (2010) trailer

感想

よかったところ↓

  • 独創的である。
  • 極めて独創的である。
  • ほんとに。
  • 動くタイヤの特殊効果はよくできている。
  • タイヤさんの感情を豊かに表現している。
  • 迷ったり、怒ったり。とかさ。
  • タイヤが生き物みたいに動き回っているように見える。
  • タイヤがテレビを見てたりするよ。

わるかったところ↓

  • つまらない。
  • boring.............zzzzzzzz

これの評価はひとによってわかれるところでしょうが、私はだめでした。トレイラーで期待しすぎちゃったのかもしれない。tired tireなんて、誰もが思いつくベタなシャレをいいたくなった。

全体的にすごくよくできているのですね。それがまた、なんちゅうの、こぎれいすぎて、プロっぽく見えすぎちゃって、ほれほれ、おもしろいだろ、こんな映画観たことないだろ、おれってなかなかやるだろ、といわれているみたいないやらしさをかんじる。

いかにも一部のマニア層が好むシュールな笑いですよ、という雰囲気がして、私、こういうのいや。イラッとする。いやー、好きなひとにはすみません。こういうのは理屈じゃないんで、うまくいえませんが、とにかく合わないの。

でもネタとしておもしろいという点は明らかです。その点は認めざるを得ない。これが15分程度のショートフィルムなら、あまり深く考えずに「ハハハ」と笑って見ていられたのかもしれない。full lengthをこのノリでやられると、文句をいいたくなってくる。

ま、なんにしても、ずいぶん変わってて、独創的な視点の映画だという点はまちがいないですな。好き嫌いはおいといて。

だから、好みには合わなかったけど、見て損したという風にはおもいませんでした。いや、それどころかすげーなあとおもいました。でもつまらないの。我ながら矛盾したことを書いてますが、うまくいえないんですよ。

時間を置いて再見したら、また印象がちがうのかもしれない。そういうことはよくありますから。

ちょっと思い出したから、あとから追記。

この映画の始まりは絵本の『ビッグ・オーとの出会い』みたいでしたよ。オープニングの期待させる感はとってもよかったですね。その後がアレなんですが。。

Memorable Quotes

In the Steven Spielberg movie, "ET", why is the alien brown? No reason. In love story, why did the two characters fall madly in love each other? No reason. And in Oliver Stone's "JFK", why is the President suddenly assassinated by some stranger? No reason. And in excellent "Chain Saw Massacre" by Tobe Hooper, why don't we have a see the characters go to the bathroom? or wash their hands, like people do in real life? Absolutely no reason. Worse, in "The Pianist" by Polanski how come the guy has to hide and live like a bum when he plays the piano so well? Once again the answer is no reason. I could go on for hours for more examples. The list is endless. You probably never gave a thought. But all great films, without exception, contain an important element of no reason. And you know why? Becase life itself is filled with no reason. Why can't we see the air all around us? No reason. Why are we all thinking? No reason. Why do some people love sausages while another people hate sausages. No fucking reason. Ladies, gentlemen, the film you're about to see today is an homage to the no reason. Utmost powerful element of style.

DVDのオマケ

  • Interview with Quentin Dupieux
  • Interview with Stephen Spinella
  • Interview with Jack Plotnick
  • Interview with Roxane Mesquida
  • First camera tests
  • Trailer

この映画のDVDは字幕ナシです。

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原題: Rubber
別題: Rubber
Gumi
Lastiho
Opona
Rubber - Pneu
邦題(カタカナ): 『ラバー』
制作年: 2010年
制作国: フランス/アンゴラ
公開日: 2010年5月15日 (フランス) (Cannes Film Festival)
2010年7月9日 (カナダ) (Fantasia International Film Festival)
2010年7月24日 (オーストラリア) (Melbourne International Film Festival)
2010年8月20日 (カナダ) (Toronto After Dark Film Festival)
2010年8月25日 (ドイツ) (Hamburg Fantasy Filmfest)
2010年8月25日 (ドイツ) (Berlin Fantasy Filmfest)
2010年9月 (アメリカ) (Fantastic Fest)
2010年9月11日 (フランス) (L'Étrange Festival)
2010年9月18日 (フランス) (Strasbourg European Fantastic Film Festival)
2010年10月8日 (スペイン) (Sitges International Fantastic Film Festival)
2010年10月10日 (フランス) (Cinessonne Film Festival)
2010年10月27日 (フランス) (Fantastique Semaine du Cinéma)
2010年11月10日 (フランス)
2011年2月25日 (アメリカ) (Video On Demand)
2011年2月26日 (イギリス) (Glasgow Film Festival)
2011年3月21日 (香港) (Hong Kong International Film Festival)
2011年4月8日 (カナダ) (Toronto)
2011年4月17日 (カナダ) (Calgary Underground Film Festival)
2012年1月21日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Rubber
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞
  • ラバー/殺人タイヤ、あらわる。 - 映画感想 * FRAGILE

    ラバーRubber/監督:カンタン・デュピュ/2010年/フランス、アンゴラ タイヤちゃんの豊かな表情をお楽しみください。 恐怖の殺人タイヤちゃんが人を殺しまくるという映画です。洋盤ブルーレイで鑑賞。この映画、ホラー映画だとは思うのですが、怖いかというとまったく怖くはないですよ。だいぶん淡々としていますが、 ...

    2012/1/23, 12:51 PM

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