2011/4/18 (Mon) at 12:49 pm

映画|ダーク・フィールズ|Dark Fields

飢饉になって雨乞いをやったら、町が呪われてこわいことが起きるホラー映画。デヴィッド・キャラダインサーシャ・ヒギンズリチャード・リンチディー・ウォーレス。監督ダグラス・シュルツ。2009年。

ダーク・フィールズ / Dark Fields DVDDVD画像

パーセヴェランス(Perseverance)ていう田舎の町。子々孫々、呪われ続けたこの町の歴史が明かされます。

1800年代。

飢饉。雨が降らなくて、大地はカラカラ。家畜が死んで、町の人々は食べるものがなく、死を待つのみ。という大ピンチのさなか、呪術師に「子供を生け贄に差し出せば、雨を降らせてあげるよ」と聞かされた町の人々は、嫌々ながら従うしかないと結論する。

くじびきをやって、どこの家の子供を犠牲にするかを決めて、さてさて、ふたりの幼い子供(デレク・ブランドンKristen Jarzembowski)を差し出せといわれた農夫(デヴィッド・キャラダイン)はいったんは同意するも、逡巡し、苦悩する。そうこうやってるうちに、子供たちが悪魔的なものに襲われる。

1950年代。

農夫(Tiren Jhames)が農場でシルクハット(大昔、くじびきに使われたもの)を発見する。したら、彼は呪われてバケモノじみたミイラ男みたいになり、狂っちまって、自分の娘たちを生け贄に捧げようとする。農夫の妻(ディー・ウォーレス)はやめさせようと苦労するんだが、かわいそうな娘たちは優しかったパパに追いかけ回され、ヒデー目に遭う。

現在。

パーセヴェランス出身のカワイコちゃん(サーシャ・ヒギンズ)が登場。彼女は生まれ故郷を離れて、大学生活をやっていたところ、原因不明の奇病に罹る。

痛みに苦しんでいたらば、父親(リチャード・リンチ)から電話がかかってきて、病気のことを話したら、父はぜんぶお見通しであるという調子で「家に帰ってくれば、治してあげる」という。娘はいわれた通り家に帰る。父は娘に「雨にうたれれば治る」といって、その通りにしたら本当に治った。すっごーい。ありがとう、パパ。

娘は大喜びで感謝をしたんだが、その後に続く話を聞いて絶望した。父親は次のような告白話をした。

パーセヴェランスは呪われた町である。世代が変わる度に、3人の子供たちを生け贄に捧げなければ、町の人たちは生きていけない。彼女が罹ったのと同じ奇病に冒される。町は全滅する。町の大人たちは協議の末、公平にくじびきを行い、犠牲になる子供を選ぶことにした。選ばれた子供の親は、自分の子供を殺さなければならない。おまえも将来子供を持ったら、同じことをやるのだ。

という話であった。彼女には3人の弟がいたんだが、そのうち、ふたりは殺されたばかりだった。残るひとりの弟をおまえが殺すのだといわれた彼女は泣く泣く親に逆らい、弟を連れてスタコラ逃げる。こんな忌まわしい呪いは私たちの世代で断ち切るのだと決心してがんばるのです。

トレイラー動画

Dark Fields (The Rain) (2009) trailer

感想

『The Rain』というタイトルだったのが、DVDが出たら『Dark Fields』に変わりました。

この映画の構造は少し変わっていて、3つの時代の異なるファミリーの悲劇話が同時に進行します。フラッシュバックのような扱いでなく、過去の物語も現在の物語と等価に扱われるという点が、じつに特徴的です。

それだと混乱するんじゃないかと思われるかもしれませんが、そうでもなかったですよ。わかりやすいように、うまいことつくってある。

どの時代においても、親が泣く泣く子供を殺す選択を迫られるという点が同じで、3つの事例を見学していると、毎度毎度同じ間違いをやっているんだなあと思わせるのがうまいところ。

映画の最初の方で、メインキャラのカワイコちゃんが歴史の勉強をしているところで流れるナレーション↓

Philosopher and poet George Santayana was quoted as saying that those who fail to learn from history are doomed to repeat it. These words imply that society is destined to travel down the same self-destructive road until it's willing to accept the wrongs of its past. And quite often, this burden of acceptance gets passed down to our children. It's the children who pay the price for our indiscreations.

ハショリ気味の意訳↓

哲学者であり詩人であるGeorge Santayanaはかつてこのように述べた。歴史から学ぶことをできないヤツはバカである。何度も同じ間違いを繰り返す。親たちがへたくそをやると常に子供の世代にツケが回される。子供たちは親のせいで苦労させられる。

この言葉が身につまされるような映画です。なかなかおもしろかったですよ。

なぜ生け贄が子供でなければならないのかという疑問が湧きますが、その点について、次のような台詞で説明されていました↓

The shaman was a father. The white man like you killed his children. His heart is now dark. The same darkness in now on you.

呪術師は父であった。あなたたちのような白人が彼の子供たちを殺した。彼の心は絶望に満ちた。同じ絶望をあなたたちが味わうのである。

てわけなので、そもそもの話、この呪いというのは、飢饉に苦しんだ時代の、そのまた昔に起きた、先住民と白人との間の確執に起因しているのですね。だから根が深いのです。

デヴィッド・キャラダインさんは、いくつかの大作を除き、特に晩年においては「どーしようもねえな、このオッサンは」といいたくなるようなバカ映画ばかり出ていましたが、それが彼のよさでもあったわけですが、この映画はじつによかったとおもいますよ。低予算映画ながらシネマトグラフィが秀逸で、じめじめくらーい雰囲気が良く表現されていたとおもいます。赤い服を着た少女の場面などは耽美的でさえあった。

キャラダインさんはすごくかっこよかったよ。もう彼を見れないなんて本当に悲しいです。

DVDのオマケ

  • Dark Fields Trailer
  • Behind-The-Scenes Footage
  • Deleted Scenes
  • Animated Storyboard
  • Audio Commentary With Director Doug Schulze

Deleted Scenesには「ママが息子を溺れさせる」という、ギョッとする映像が入っていました。Behind-The-Scenesではキャストのインタビューがないのでチト残念でした。この映画のDVDは英語字幕つき。

監督さんのインタビュー

ダグラス・シュルツ監督のインタビュー記事があったよ↓

これによれば、この映画はシャーリー・ジャクスン(Shirley Jackson)の短編小説『くじ(The Lottery)』にインスパイアされたそうで、私は未読なんですが、読んでみたいなと思って探したら、ここに詳しく書いてあった↓

上にリンクしたページの情報によれば、その小説は以下のみっつの書籍に収録されている。

早川のヤツは絶版だそうなので、一番上の光文社文庫のヤツが入手しやすいです。宮部みゆきはそう好きじゃないんですが、そうもいってられない。

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原題: The Rain
別題: Doug Schulze's Dark Fields
The Rain Chronicles
制作年: 2009年
制作国: アメリカ
公開日: 2009年10月25日 (アメリカ) (Hollywood Film Festival)
2011年3月22日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: The Rain
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
衣装デザイン
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Makeup

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