2010/3/30 (Tue) at 1:27 pm

映画|ハート|Hurt

気の毒一家がみなしご少女を引き取ったらヒデー目に遭うという『エスター』みたいなサスペンス映画。ウィリアム・メイポーザー、ソフィア・ヴァジリーヴァ、メローラ・ウォルターズジャクソン・ラスボーン。監督バーバラ・ステパンスキー。2009年。

ハート / Hurt DVDDVD画像

ワケアリの4人家族が家を出て、どっかに引っ越す。この4人は父+母+娘+息子という風に見えるが、ちょっと違う。まずはこの4名の内情をざっと紹介する。ホラーファンは「しちめんどくさい家族関係図など聞かされるのはごめんだ」というだろうが、この映画はこの設定抜きに説明できないのである。ちょっと我慢して聞いてもらいたい!

ヘレンの夫はさいきん事故で死亡したばかりなんだが、ヘレンとダリルの関係が少しややこしい。ヘレンは子供の頃、ダリルの家に養女として入籍し、そこんちの長男(ダリルの兄でもある)のヨメになった。つまり、ダリルの立場からすると、ヘレンは血がつながっていない妹であると同時に、死んだ兄のヨメであるわけです。文章で説明するとややこしくなってしまうんだが、映画はうまくつくってあって、ボケーと観ててもそこらへんちゃんとわかります。

さて、映画は、父親を失って残された母+娘+息子が、諸事情から住む場所がなくなり、一時的な措置として、伯父さんダリルが所有する家に住まわせてもらうというところから始まる。彼らが着いた先は荒野のスクラップ置き場に隣接する住居であった。夜になるとオオカミが出てくるド田舎である。ダリルはここでひがな一日クルマいぢりをし、リストア車をインターネットで売る商売をやるというんだが、どうみてもヒキコモリ体質のオッサンであり、親切ゲではあるがその性格はかんしゃく持ちの気難し屋である。

母ヘレンは死んだ夫が残した財産に関する書類手続きを終えてサッサと新しい家に移りたいと思っている。子供たちも気難しいウィリアム・メイポーザーの態度に嫌気が刺しているので「ママ、はやくしてくれ!」とせっついたりする。

するとそこに、どっかの養子エージェンシーの代理人から連絡がきて「なくなったご主人が養女にしたいといっていた少女があんたらを待っているんですよ」といわれる。母ヘレンはでかけていって、その少女を気に入り、家に連れて帰ってくる。なんだか犬ネコをもらってくるような調子だが、ヘレンは自分も孤児院出身なので、かわいそうな子供を見過ごせない体質であるらしい。娘レノアの冷淡台詞によれば、養子を引き取るのはコレが初めてではないらしい。

もらわれてきた少女はサラという。てか、正式にはまだ養女ではなく、お試し期間である。何日か一緒に暮らしてみてうまくやれそうだったらどうぞということですね。なんだか安直だなーと思うんだが。

てわけで、前置きが長くなったが、このかわいいサラちゃんがじつはヤバいアレだったというヤツですね。

Hurt trailer

感想

『エスター / Orphan (2009)』と似ているので「またか!」と思うひとも多いでしょうが、なぜかDVD発売が無期延期になっている『Case 39 (2009)』もあるし、もっと古い映画でも似たテーマのヤツはあるんで、ripoffにはあたらないと思います。余談ですが、imdbによれば『Case 39 (2009)』と『エスター / Orphan (2009)』の初上映はほぼ同時期です。また、映画が完成したのは『Case 39 (2009)』の方が先だったんじゃないでしょうか。どっかでそのように読んだのですが、urlをなくしました。すません。

ますます余談ですが『Case 39 (2009)』のDVDはいつ出るんでしょうか。imdbによれば、イタリア版だけが出てるみたいですね。せっかくつくったのになんで出さないのだろう。えらいひとの考えることはわからない!

さて、こちらの『Hurt』ですが、この映画はホラーでなく、サスペンスというか、ちょっとこわいシーンのあるホームドラマといってもいいような内容でした。その結末はオカルトではないし、『エスター / Orphan (2009)』みたいにブッとんだヤツでもなかったです。最後に明かされるサラの素性はとてもかわいそうな話でした。上に長々と書いた家族のややこしい血縁関係がひとつのキモになっているんだけど、私的にはいまいちだったです。それなりに「そうだったっかー」的なんだけど、そのオチは少し強引すぎないか、ムリがありすぎだろというかですね。んー。ま、でも『エスター / Orphan (2009)』のオチもありえなさという点では同等だったかもですね。

が、よかった点もあります。

みなしご少女サラを演じたソフィア・ヴァジリーヴァ(Sofia Vassilieva)はとてもよかったです。彼女は少女と大人の中間キャラで、とてもかわいらしいです。子供なんだけどタマーにセクシー顔をする。思春期の女の子特有の得がたい雰囲気がある。こういうひとはロリコン変態オヤジが大暴れするゲスなホラー映画に出てほしいです。彼女がうりゃうりゃといぢめられて絶叫したら、みんな泣くよ。彼女はcbsの『Medium』のレギュラーでもあります。今後注目。

その他のみなさんもよかったです。ウィリアム・メイポーザーは「善人ぶってるけどいかにもなんかありそ」的なキャラを演じるのがうまいです。彼はそういうroleが多いので、ますますそういう人物に見えてしまうという相乗効果がある。また『ドレッド / Dread (2009)』にも出ていたジャクソン・ラスボーンもよかったです。『ドレッド / Dread (2009)』のときも思ったですが、このアンちゃんはいいオーラがある。女性ファンは注目じゃないですか。だらしない格好をしつつ清潔感があり、優しげでありつつちょっと突き放すようなかんじっていうの?男から見てもさりげなくかっこいいですよ。

というわけで、俳優さんの魅力で最後まで飽きずに観れたという調子の映画でした。これらの俳優さんに思い入れがあるひとはそれなりに楽しめるのではないでしょうか。

それにしても『エスター / Orphan (2009)』といい、この映画といい、なんで養子をもらうひとっていうのはああも簡単に即決しちゃうんですかね。それが信じられない!

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原題: Hurt
制作年: 2009年
制作国: アメリカ
公開日: 2009年11月10日 (アメリカ)
imdb.com: imdb.com :: Hurt
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
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