2009/6/5 (Fri) at 8:38 pm

映画|ブラッディ・ローラ 殺戮の催眠美少女|Parasomnia

眠り続ける奇病に冒された美女と、オカルト能力を持つシリアルキラーと、善良オタクボーイがジタバタする感動ホラー話。ディラン・パーセルシェリリン・ウィルソンジェフリー・コムズティモシー・ボトムズ。監督ウィリアム・マローン。2008年。

ブラッディ・ローラ 殺戮の催眠美少女 / Parasomnia DVDDVD画像

ディラン・パーセル演じるダニーくんは古いレコード集めが趣味という愛すべきオタクボーイで、彼は親友ビリーをお見舞いにいった病院で、運命の美女に遭遇。コテンと恋に落ちる。シェリリン・ウィルソン演じるローラはひたすらに眠り続けてウン十年という奇病に冒されており、ベッドでしんしんと眠る姿はしらゆきひめのよう。そのカワイイ外観を見たダニーはわくわくする。ダニーは何度も病室を訪れてその顔に見とれてしまう。ローラの医者はティモシー・ボトムズ演じる優しいおじさんというかんじのひとで、ほんとは部外者が病室に入ってきちゃいけないんだけど、まぁいいかと許してくれている。

ところで、ローラが眠る病室の隣には、世にも凶悪なシリアルキラーが監禁されている。パトリック・キルパトリック演じるバイロン・ヴォルプという殺人者は元古書店経営者の読書マニアで、催眠術を操れるという特技を持ち、それを使って自分の妻やたくさんのひとたちを殺したそうである。死んだひとたちは自殺あるいは事故死ということになってて、催眠術で殺したなんて罪を立証できないもんで、刑務所入りを逃れ、危険な狂人として扱われている。オカルト能力を持つハンニバル・レクターってかんじの凶悪人物と白雪姫美女が病院内で隣人同士というのはとてもありえない設定だが、そういうことをいいだしたらホラー映画なんか見れなくなってしまうからこれでいいのだ。

ダニーはローラに会いたくて何度も病室を訪ねてわくわくするが、そのうちに彼女がどっかのべつのクリニックに移送される予定であると知り、焦る。彼女に会えなくなってしまうし、それに移送される予定の病院のことを調べたら、そこはじつに非人間的なキチガイ実験をやってる冷血科学者がいるらしいとわかってしまった。王子様になった気分で救出作戦を実行。まんまと彼女を連れ出して自分のアパートに連れてきちゃう。

ローラは人生の大半を眠ってきたという生い立ちなので、社会性ゼロである。目が覚めたと思ったら、すぐにコテンと眠ってしまうし、起きてるあいだは落ちてるものを拾って食べちゃうし、言葉もたどたどしくしかしゃべれないというアマラとカマラのような気の毒女性なんだが、ダニーは優しく彼女のめんどうを見て幸せをかみしめる。

が、消えたローラを追ってくる連中がワンサカ現れて、後半はホラー血ミドロの惨劇になる。ローラを追うのは、ジェフリー・コムズ演じるハードボイルド風の刑事と、催眠術を操るキラーである。キラーは自由を奪われて監禁されているが、そのオカルト能力を使い、ローラの夢のなかにしょっちゅう現れて彼女を苦しめるのだ。どうやらこっちも眠れる美女に惚れている模様。彼が催眠術をやるところはドラキュラ伯爵みたい。さーて、優しいオタクのダニーくんは彼女を助けてあげられるんでしょうか。ラストはキラーとの闘いに突入〜。

あとから追記。あれれ、白雪姫と書いちゃったのですが、アレって『眠れる森の美女』?ちがう話?子供の頃絵本を読んだと思うんですけど、記憶があいまいで。あとから違ってたかなと心配になってきました。あとでちゃんとわかったら直すかもです。いいかげんですません。とにかく純真な心を持ったカワイコちゃんなんです。

Parasomnia trailer

※感想

題名の『パラソムニア』ってのが眠り病の病名で、故阿佐田哲也先生が患っていたナルコレプシーが有名ですが、あれと似たようなもんですかね。ダニーがローラをさらってきてめしを食わせてやったりするシーンは『アルジャーノンに花束を』のような心温まる恋愛ムードで進行するのですが、後半はホラー映画らしくズズズガガガーとスプラッターな展開に突入していくのでこれからご覧になる方もご安心下さい。ラストはせつなくエンド。おもしろいじゃないかこれ。私は「感動してくださいヨ」なホラー映画がどうも苦手なんですが、これはツボでした。よかったです。

脚本が私の好みかも。おもしろい台詞がたくさんあったし、後半出てきたホラーっぽい人形の造型がかわいかったし、クラシック音楽を随所に取り入れたりであるとか、独創的な工夫が多々見れてよかったのではないかとおもいました。よかった台詞を以下に抜粋します。

Billy: You saw the crazy eyes?
Danny: Yeah, just a second, but, you know, if he's so crazy, how come he's not in prison?
Billy: Yeah, some kind of conflicting psych evaluations, legal wranglings. They say he's some kind of genius.
Danny: Well, if he's such a genius, how come he's locked up?
Billy: He's too smart. Stupid people have it made.
Danny: Stupid people?
Billy: Stupid people and ugly people.
Danny: Ugly people?
Billy: Yes. Too smart or too beautiful, you draw too much attention to yourself. However, if you're a little thick and your face looks like it was kissed by a Mack truck, you can just sit backand enjoy life going by, like a tennis match. It's beautiful. Speaking of which, did you see "Sleeping Beauty"?
Danny: What do you mean?
Billy: That hot little "cream puff" in the room next to "Ted Bundy".
Danny: You went in there?
Billy: Yeah, I went in there and apparently you did, too. Good looking girl, huh? Weird about her though, don't you think? Being asleep all the time. Gotta be the perfect girl, though,don't you think? I mean, women, they're mostly decorative anyway and the one's that aren't... they're too much trouble. I would like to see what she'd have to say for herself if she woke her up.
Danny: Just stay away from her, okay?
Billy: Hey, Danny. What have you gotten yourself into?
Danny: It's just... you know, it's nothing. It's just... they say you have to be careful how you talk to her.
Billy: Well... I won't corrupt her. She's all yours. I like my women a little more lively. She's all yours for the next couple days.
Danny: What do you mean?
Billy: I heard some shrinks talking. They're gonna move her to some lab. gonna make some kind of experiment out of her... like Frankenstein.

doctor: He just seemed like a good kid.
detective: I think that's a quote from Hitler's mom.

detective: Who Squeaky Fromme?

※Squeaky Frommeはマンソンファミリーの一員で、フォード大統領を暗殺しようしたひと。だそうです↓

Billy: Jesus, they think you're the next fuckin' "Zodiac" or something.

Killer: Welcome. I see the clock is running down, the ticking is about to stop. A willing partner for our Danse Macabre. The Clouded Man approaches, with weapon in hand. Which is really much less Shakespearean and Hugh B. Cave, don't you think? We really must elevate your reading habits. Have you ever read "Great Expectations"? A wonderful book. I think you should really should think of me more like Magwitch... the old benefactor. You're to save the Sleeping Beauty. My dear "Pip", a kiss isn't going to do it. She's an orphan, with an orphan's disease. She's not going to be fixed. She's mine only... and I've have had her many times in those dark dreams we share. A bit of advice for the future... never assume.

SPOILER ALERT!!!!!
以下ネタバレ!

ダニーはローラを自分の部屋に連れてきてかくまっていたが、催眠術キラーは彼女の夢の中に現れてふたりの恋路を邪魔する。ローラにドハデな殺人を行わせて、ふたりを引き離すことに成功。ダニーは血ミドロの惨劇におののいて逃げちゃったが、やっぱりローラを助けなくちゃと単身でキラーと対決にいくが、逆にヤラレてキラーはまんまと逃亡。ダニーはズタボロでこれを追う。キラーはローラを手に入れ、事件を追ってきた刑事とダニーをつかまえて大満足のわっはっはー。ついでにさらってきたバイオリニストとチェロ奏者の女性ふたりを従え、ゴシックムードな人形たちを踊らせ、なんだか邪悪な儀式というかんじで、ローラを目覚めさせる。

ラスト。

ドタバタ活劇の末に、キラーはローラにヤラレて死亡。両目にドライバーをブッ刺されちゃったもんで、これじゃ得意の催眠術は使えない。ふたりは手を取り合って逃げるのだ。と思ったら、ハードボイルド刑事のジェフリー・コムズは催眠術にコテンと引っかかって拳銃自殺させられていたが、これがさいごにガオーと襲ってきて、ダニーは死んじゃう。ローラ、泣く!「ふたりでゆめを見るのよ」と手を握る。

ほんとにラスト。

その後のふたりのようすが、ティモシー・ボトムズ医師から語られる。ふたりは共に昏睡状態となり、液体タンクの中で永遠に眠り続けている。ふたりきりで夢の世界にいっちゃって、これはこれで幸せなんじゃないか。という切ないオチを聞かされたのはダニーが出入りしていたレコード店のオヤジである。彼はダニーと約束した通り、彼が欲しがっていたレコードを持ってきて、眠るふたりに聞かせてやった。感動したー。

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原題: Parasomnia
別題: Paraszomnia
邦題(カタカナ): 『ブラッディ・ローラ 殺戮の催眠美少女』
制作年: 2008年
制作国: アメリカ
公開日: 2008年10月17日 (アメリカ) (Screamfest Film Festival)
2008年11月7日 (アメリカ) (American Film Market)
2009年2月10日 (ドイツ) (European Film Market)
2009年9月7日 (イギリス) (DVD)
2009年11月25日 (イタリア) (DVD)
2010年2月19日 (日本) (DVD)
2010年7月13日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Parasomnia
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
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