2008/11/16 (Sun) at 4:06 pm

映画|THE CLASH ザ・クラッシュ|Stuck

最低不幸な人生に転落したホームレス男がクルマにドカン。ドライバーはフロントガラスに重傷男の上半身を突っ込んだままで深夜の町を狂走。ミーナ・スヴァーリスティーヴン・レイ。監督スチュアート・ゴードン。2007年。

THE CLASH ザ・クラッシュ / Stuck DVDDVD画像

落ち目の中年男がアパートを追い出され、どこにも行くアテのない彼は公園デビューするしかなかった。ガラガラとカートを押す姿はみじめであり、今日こうなったばかりだというのに、すでにホームレス道ウン十年の年季を感じさせるショボくれた風貌になった。じつにまったく "stuck" な人生だが、その後、さらに悲惨な運命に突入する。深夜、悲哀なオーラを全身から発してカートを押して歩いていたらば、交差点でドカンとクルマに轢かれた。

彼を轢いたドライバーっちゅうのは、カワイイ顔したナース嬢である。パーティ帰りのラリッてるところにオッサンを轢いちゃった彼女はひぃいいとパニクり、フロントガラスに男の死体が刺さったままで町を高速ドライブ。どうしていいのかわかんなくなって、そのまま自宅のガレージに帰ってしまった。死体持ち逃げ轢き逃げ犯である。

ところが、家に帰って男をよく見たらば、彼は虫の息で生きていた。「た、たすけてくださいよおおお」と弱々しく懇願する彼を見た彼女はアワワと動転するのであり、なんとかせねば!と焦りつつも、結局、なにもしない。人の命を助けるナースにあるまじきビッチぶり!重傷男を放置プレイ。上半身がガラスにドカンと突き刺さったままでガレージに閉じこめられた彼はピンチ脱出できるんでしょうか。トレイラーをどぞ↓

※感想

ナース嬢は最初のシーンではお年寄りのウンコをニコニコスマイルで片付けるというナイチンゲールのような慈愛に満ちた善人キャラとして登場し、事故の当日は上司に呼び出されてうれしい昇進話を聞かされたばかりだった。それで浮かれてこうなっちゃったのだが、その後、彼女のカレシっちゅうのがヤクの売人でウッヒャーと浮かれて夜遊びしてるトコなんかが出てくるので、善人だか悪人だかわからんな!と思いつつ見てたらば、事故を起こしたとたんに彼女の現実逃避癖が露になり「わたしはわるくないもん」とブツブツ呟きながら悪夢を見てるような顔になってくる。

"stuck" という単語は、不幸男がフロントガラスにハマっちゃったみたいに、狭い場所から抜けられない状態を意味するが『仕事や勉強などがうまくいかない』『にっちもさっちもいかない』『もうイヤー』みたいな精神的な意味でも使える。余談ですが、私が仕事でお世話になってるウェブサーバの技術担当者の名刺には "Whenever you get stuck, just call me!" と印刷してある。なかなか頼れるヤツです。

不幸男の人生すべて "stuck" そのもの。物語は単純である。stuckな状況を打開すべく全身ズタボロの必死顔でジタバタをする不幸男と、責任回避オンナが闘う話。スチュアート・ゴードンというビッグネームからすれば少々小粒な内容だけど、スティーヴン・レイの必死演技がかなりよかったのでおもしろかったです。

SPOILER ALERT!!!!!
ネタバレ!

重傷男をガレージに隠蔽したのち、にっちもさっちもいかなくなってきたんで(つまり彼女のほうも "stuck")、ヤクバイをやってるチンピラのカレシに助けを求めた。どきんちゃんがばいきんまんにヨゴレ仕事を頼むような調子である。ところがそのカレシっちゅうのが「人間ひとり隠すなんてどーってことない」とワルぶりを強調していたが、じつは気弱キャラのアンちゃんだった。いざ殺すとなったらあわわとパニクり、馴れない手つきで銃をゴニョゴニョやってたところに、不幸男の必死の反撃が始まる。ボールペンをめんたまにズブリ。カレシは死んじゃった。

ひとりでどうにもならなくなったビッチは家に火をつけてクルマも死体もぜんぶ燃やしてしまえという絶望の攻撃をする。証拠隠滅なんてかなりムリっぽいが、すでに判断力を失っているのであろう。不幸男はここでもファイトイッパツ。女を制圧した。ビッチは「おねがいタスケテ」と涙目で懇願し、そのスキを突いて銃を撃ったところが自分に引火。ウギャーと火だるまになって死亡。最後までビッチとして死んでいった。炎の中から自力脱出をした不幸男は、隣人の丸顔の親切ラティーノ坊やに助けてもらえました。

おしまいー。

※ビッチの友達のターニャちゃんのこの一言がウケました↓

Deer can crawl?

ホラーだけど随所に笑えるネタもある。

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原題: Stuck
別題: Çikis yok
Em Rota de Colisão
Halálra ítélve
Stuck
Stuck - Instinct de survie
Sygrousi thanatou
邦題(カタカナ): 『THE CLASH ザ・クラッシュ』
制作年: 2007年
制作国: カナダ/アメリカ/イギリス/ドイツ
公開日: 2007年5月21日 (フランス) (Cannes Film Market)
2007年8月1日 (ドイツ) (Fantasy Film Festival premiere)
2007年9月10日 (カナダ) (Toronto International Film Festival premiere)
2007年9月15日 (カナダ) (Atlantic Film Festival)
2007年9月29日 (カナダ) (Edmonton International Film Festival)
2007年10月 (アメリカ) (Chicago International Film Festival)
2007年10月11日 (スペイン) (Sitges International Festival of Fantastic and Horror Cinema)
2008年1月23日 (フランス) (Gérardmer Film Festival)
2008年2月9日 (アメリカ) (San Francisco Independent Film Festival)
2008年4月5日 (アメリカ) (Wisconsin Film Festival)
2008年4月5日 (アメリカ) (Philadelphia International Film Festival)
2008年4月25日 (アメリカ) (RiverRun International Film Festival)
2008年4月27日 (イギリス) (Dead by Dawn, Scotland's International Horror Film Festival)
2008年5月30日 (アメリカ) (limited)
2008年7月15日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2008年7月19日 (韓国) (PiFan Puchon Film Festival)
2008年11月30日 (オーストラリア) (Possible Worlds Film Festival)
2009年1月9日 (イギリス)
2009年2月19日 (ドイツ) (DVD)
2009年8月21日 (日本) (DVD)
2011年6月1日 (フランス) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Stuck
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup

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