2008/3/14 (Fri) at 4:57 pm

映画|ジョシュア 悪を呼ぶ少年|Joshua

優等生ジョシュアは理想の子供みたいに見えるが、その内面は陰湿&冷血な暗さが支配している。妹が産まれたことをきっかけに歯車が狂いだして家族が崩壊していく心理サスペンス。サム・ロックウェル他。監督ジョージ・ラトリフ。2007年。

ジョシュア 悪を呼ぶ少年 / Joshua DVDDVD画像

ジョシュアは9歳。彼は優等生でピアノが得意である。NYの高級アパートに住んでるリッチな家庭。優しい父母。赤ちゃんが産まれて、妹リリーができた。はたから見れば誰もがうらやむ幸せな4人家族だが、なにかが狂っていく。リリーがいつも泣きやまないので、母は育児ノイローゼとなる。父は家庭を守るためにかけずり回って努力する。この男の涙ぐましい努力は尊敬に値する。仕事をがんばりつつ家に帰れば家族に優しい。愚痴をいわず、妻がヒステリーを起こしたら優しくなだめ、赤ん坊をダッコするのはうまいし、ジョシュアにも優しい。満点パパだな。が、彼の必死の努力はすべてカラ回りに終わる。家庭はどんどん崩壊していく。

※感想

後半かなりよかったけれど、ラストが微妙にアレでした。もう少し突っ込んでさらけだしてほしかったな。文学的なオチだったですね。あのラストをいいと思うかどうかはお好み次第。私はもう少しシロクロはっきりしてほしかったんだけどな。DVDのdeleted sceneにかなり良いシーンが入ってました。なぜアレを加えなかったのか不思議。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
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母は薬物依存症となり入院。赤ちゃんのめんどうを見にきてくれたおばあちゃんは階段から転落死した。このあたりで父親はやっとジョシュアの冷血さに気がついた。ビデオが出てきてリリーが泣いてばかりいたのはジョシュアのいたずらのせいだったと明かされたから。おばあちゃんを殺したのはジョシュアかも。飼い犬を殺したのもジョシュアかも。息子は大嘘つきのサイコパスだったのか。ジョシュアが公園で出会ったホームレスに「5ドルあげるから石をぶつけさせてくれ」と頼むなんていうシーンもあった。この映画の演出はズバリとジョシュアの悪行を見せるのではなく、観る者に判断を仰ぐようなつくりになっているので、実際にジョシュアが殺人をしたのか犬を殺したのかどうかはわからない。でも限りなく怪しいという演出である。

深く傷ついた父はジョシュアを怖れるようになり、リリーに近づけないようにした。妻は入院中だからミルクをあげたりオムツを取り替えたりしなくちゃいけない。涙ぐましい努力である。児童心理のカウンセラーを呼んでジョシュアと話してもらった。カウンセラーはジョシュアに絵を描かせた。そしたらいかにも心が病んでるようなホラーな絵をいっぱい描くので「やっぱりうちの息子はサイコパスなんでしょうか?」と聞いてみた。したらば「この絵は確かに異常だが、この子はサイコパスでない。おかしいのは大人の方である。この子は虐待されてるでしょ!」といわれてしまった。ジョシュアは父親が疑われるように計算してそういう絵を描いたみたいだ。じつにおっかない。

父は息子の恐ろしさを友人にわかってもらおうと努力するがだれにも信じてもらえない。彼のほうがキチガイ扱いされちゃう。ついに父がキレた。公園でみんなの見てる前でジョシュアをブン殴っちゃった。彼はすぐに後悔したが、ジョシュアは父親にだけ聞こえる声の大きさで "Nobody will ever love you."「だれもあなたを愛さないだろう」と悪魔スマイルをした。そして、人々の前で「エーンこわいよー」と泣いた。怖いよこの子供。

ラスト。

ジョシュアとジョシュアの伯父がいっしょにピアノを弾いて、ジョシュアが自分でつくった歌をうたっておしまい。それは愛がテーマのきれいなうた。こんどは伯父さんがダマされちゃうんだろうかという余韻を残して終了。この伯父さんってのは入院妻の兄で、ジョシュア父の良き友人でもある。映画の最初から出てきて、なかなか味わいのある脇役のひとだった。

※感想

映画の後半にかけてジョシュアの悪魔的な所業が明かされていくプロセスはかなりスリリングでおもしろい。この映画はオカルトものではないが『オーメン』でグレゴリー・ペック演じる父がダミアンを悪魔の子と知って子供を殺そうとするんだけど、だれも彼を理解しないというあの切羽詰まった状況に似ていた。ジュシュアはとにかく頭がよくて陰湿。大人をダマすのがうまい。怖い。この映画いいじゃん!と思ったんだけど、ラストでコテン(と思った)。

ジョシュアが大人たちをダマしていぢわるをし続けた理由は妹リリーへの嫉妬ということらしいが、父母がジョシュアをじゃけんにしたということはなく、両親に落ち度があったように見えないが、強いていうならジョシュアはいっぺんくらいパパに叱ってほしかったのかもしれないな。褒められてばかりなのが不満だったのかも。優等生の子供を持つというのも苦労が多いのかもしれない。

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原題: Joshua
別題: Joshua
Devil's Child
El hijo del mal
Joshua - Der Erstgeborene
Joshua - O Filho do Mal
Joshua: Aku wo yobu shônen
Joshua: El hijo del mal
Joshua: The Devil's Child
Teufelskind Joshua
邦題(カタカナ): 『ジョシュア 悪を呼ぶ少年』
制作年: 2007年
制作国: アメリカ
公開日: 2007年1月 (アメリカ) (Sundance Film Festival)
2007年6月16日 (アメリカ) (Seattle International Film Festival)
2007年6月26日 (アメリカ) (Los Angeles Film Festival)
2007年6月28日 (アメリカ) (Gen Art Film Festival)
2007年7月6日 (アメリカ) (limited)
2007年8月8日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2007年8月9日 (オーストラリア) (Melbourne International Film Festival)
2007年8月25日 (イギリス) (London FrightFest Film Festival)
2007年10月26日 (スペイン)
2007年11月22日 (オーストラリア)
2008年1月17日 (ドイツ)
2008年1月25日 (フランス) (Gérardmer Film Festival)
2008年4月3日 (ロシア) (DVD)
2008年4月30日 (フランス)
2008年5月2日 (日本) (DVD)
2008年7月11日 (イタリア)
imdb.com: imdb.com :: Joshua
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup
謝辞

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