2008/3/10 (Mon) at 4:31 am

映画|永遠のこどもたち|El Orfanato

古い孤児院にまつわるオカルト物語。スペインの田舎町が舞台。文学的な香り高い。監督フアン・ アントニオ・バヨナ。製作ギイェルモ・デル・トロ。2007年。スペイン映画。

映画|永遠のこどもたち|El OrfanatoDVD画像

舞台はスペインのどっかの海外沿いの田舎町。ラウラは幼い頃を孤児院で過ごしたが、いまは大人になり、結婚して夫と子供がいる。ラウラは優しいので、かつて自分がお世話になった孤児院の建物を買い取り、恩返しとばかりに、こんどは自分が孤児院を運営してかわいそうな子供たちの役に立とうと引っ越してきた。

息子のシモンくんはこの家に来て以来、イマジナリーフレンドと遊び始める。ラウラは気味が悪くて息子を説得しようとしたが、シモンは「宝物さがしをしてるんだ」といって、家の中を探しまわって、そしたらほんとにラウラの見てる前でコインが発見されたりするのでますますきもちわるい。

気持ち悪いだけでは済まなくて、あるときラウラは障害のある子供とその親たちを招いてパーティを催したら、その日を境にシモンがいなくなった。ラウラは「シモンはイマジナリーフレンドにさらわれた」と信じてオカルト世界に足を踏み入れる。霊媒師がやってきた。夫や警察は彼女が狂ったと考えてアテにならないので、彼女は孤独な闘いを強いられる。『母の愛とオカルト』がテーマの感動ホラー。

霊媒師のおばあさんはこんなこといってました↓

When something terrible happens, sometimes it leaves a trace, a wound that acts as a knot between two time lines. It's like an echo. Repeated over and over, waiting to be heard.. Like a scar or a pinch, that begs for caress to relieve it.

You hear but not listen. Seeing is not believing. It's the other way around. Believe, and you will see.

※感想

スペインで爆発ヒットした映画だっちゅうので期待大で見ました。なかなかおもしろかったです。ふだんゲスなアメリカ映画ばっか見てるんで、たまにこういうブンガク的な香りのする大人向けホラーを見ると心が洗われるようです。それにしても最近の映画では男は徹底的に役立たずですね。『母の愛は無限である』テーマを印象的に映像化するにおいて『役立たずの無能男』は必須アイテムなのでしょうか。トレンドかな。

ラウラがオバケを呼び出すのに「だるまさんがころんだ」をやるのがおもしろくてこわかったです。ピーターパンの話が小道具的に出てきました。ピーターパンは『大人になれない大人たち』を現す寓話でもあります。「いつまでもここにいて。ずっといっしょにいてぼくたちのめんどうをみて」という願いはすごく甘美でありつつも、それがまた悪魔の囁きであるかのようにも聞こえます。ピーターパンの中でウェンディというキャラを『自己犠牲のひと』『殉教者』ととらえてみると、この映画のテーマが明瞭になる気がします。いろいろツッコミどころはありますが、そもそもがオバケ自体が説明がつかないんだからいろいろいってもしょうがない。文学的にいって主題はきちんと完結していると思われました。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレオッケーな方のみこの下をスクロールしてご覧下さい↓

この映画においては、霊媒師はヒントをくれるのみである。「霊の存在を信じて心を開け」みたいなことをいって去っていった。"You hear but not listen." ってそういう意味だと思う。ラウラは息子を求めて、一心不乱に謎解きをしていく。かつて孤児院で死んだかわいそうなトーマス少年の存在が明かされる。

トーマスくんはラウラや他の子供たちから隔離されて暮らしていたのだが、ある日、子供たちがいたずらをして彼を死なせてしまった。その母親が数十年の時を経てラウラの前に姿を現したので、そういう事件があったとわかった。そしてトーマスくんとラウラの孤児院時代の友達がシモンのイマジナリーフレンドなのだったとわかった頃には、ラウラは完全に孤独である。なりふり構わず謎解きをやってきたらば、夫も警察も彼女が狂ったと思っちゃったみたいで、だれも信じてくれないのだ。母の愛は無限である。

ラウラはひとりで家にいて霊たちと交信する。息子を返して!という一点のみで突き進むが、隠された地下室があって、そこでシモンのひからびた死体を発見。母は狂った。ノーノーと泣き叫んで、死体をダッコする狂乱母。彼女は迷わず睡眠薬をガポガポ飲む。灯台の明かりが見えて、部屋の中が光に満たされた。シモンは生き返り、目の前に子供たちが現れた。「いつまでもここにいて。ずっといっしょにいてぼくたちのめんどうをみて」という子供の願いを聞いたラウラはなめらかにそれを受け入れた。彼女はピーターパンに出てくるウェンディになったのである(私の解釈)。

ラスト。

ラウラの夫がお墓参り。死んだ妻と息子、そして孤児たちの墓碑にお祈りをして花を捧げる。ラウラが死んだ部屋で彼女のペンダントを見つけた。夫はそこでなにかを見て、安らかな笑顔を浮かべる。おしまい。

※最後のシーンで夫がナニを見たかという点についてはいろんな解釈ができるでしょう。私は、ラウラが子供たちに囲まれて永遠に仲良く暮らすシーンを見たんじゃないのかなと思いました。みなさんはどう思いましたか。

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原題: El Orfanato
別題: The Orphanage
邦題(カタカナ): 『永遠のこどもたち』
制作年: 2007年
公式サイト: "El Orfanato" US Official Site
制作国: メキシコ/スペイン
制作スタジオ: Esta Vivo! Laboratorio de Nuevos Talentos
公開日: 2007年5月20日 (フランス) (Cannes Film Festival)
2007年8月27日 (イギリス) (London FrightFest Film Festival)
2007年9月26日 (アメリカ) (Austin Fantastic Fest)
2007年9月29日 (アメリカ) (New York Film Festival)
2007年12月28日 (アメリカ) (limited)
2008年1月11日 (アメリカ)
2008年3月5日 (フランス)
imdb.com: imdb.com :: El Orfanato
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
特殊効果(Special Effects)
視覚効果(Visual Effects)
謝辞
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