映画 | ヨンガシ | Deranged

ジェヒョク（キム・ミョンミン）はしがないサラリーマン。製薬会社の営業仕事は激務である。来る日も来る日も、接待接待接待接待接待。

自社の薬を買ってもらうため、医者の家族を遊園地に連れて行ったり、ゴルフにいったり。どんなに虫ケラ扱いされようが、ひたすらヘーコラする。それでも給料は上がらない。

彼には奥さん（ムン･ジョンヒ）と2人の子供がいるんだが、狭い団地暮らしで、自分の家族を楽しませるひまもない。家に帰るとドタンと寝るだけ。

ジェヒョクには弟（キム・ドンワン）がいて、こちらは刑事である。ところが、こいつはダメ刑事で、株に夢中。彼はかつて大きな借金をつくり、兄に迷惑をかけた前科がある。ジェヒョクが嫌な仕事を続けているのは、ダメ弟のせいである。ゆえに兄弟の仲は悪い。

弟には美人医者の恋人（イ・ハニ）がいて、まじめに働けばいいのに、性懲りもなく儲け話を嗅ぎつけ、恋人に「金貸して」と頼んでいる。この弟は悪人ではないが、ばくちで身を滅ぼすタイプなんですな。

こんな主要キャラのみなさんの日常がホームドラマ風に描かれつつ、事件は起きる。

原因不明の変死事件が何度も起きる。昨日まで普通に暮らしていたひとが、突然、水に飛び込んで死ぬのである。犠牲者はどんどん増えて韓国じゅうが大騒ぎになる。川や池に死体がゴロゴロ。新種のウィルスか、バイオテロか。

原因はハリガネムシであった。ハリガネムシてのはニョロニョロ外観の寄生虫であるが、通常はバッタやカマキリ等に寄生する。宿主の内臓にくっついて成長し、繁殖期に達すると、宿主の脳を刺激し、水の中に飛び込ませ、水中にウジャーと出る。用済みとなった宿主は死ぬ。ハリガネムシは水中でワンサカ卵を産む。

ハリガネムシが人間に寄生した例というのはこれまでなかった。ゆえに今回のケースは突然変異のハリガネムシである。これはお国の一大事。韓国政府は事態を収拾すべくいろいろやるんだが、犠牲者は増すばかり。手術はむりだし、虫下しの薬も効かない。致死率100%。

人間が感染すると、初期症状では、異常な食欲に囚われる。寄生虫に栄養を取られているからである。それを越すと、こんどは水を飲みたくなる。ガボガボ水を飲んで、しまいに池や川に飛び込みたくなる。集団自殺するネズミみたい。

安サラリーマン、ジェヒョクの家族も感染した。彼はこれまで家族をないがしろにしてきたが、こうなったら妻と子供を守るために七転八倒右往左往する。

この寄生虫を駆除する特効薬はないとされていたが、あるひとつの薬だけが効くと判明。それはなんとジェヒョクが勤める製薬会社の製品であった。それはずいぶん前に生産中止になった虫下しで、実にマイナーな製品だったが、誰かがたまたまそれを飲んだら効くとわかったのである。このニュースが発表されると、人々が薬局に押し寄せ、売り切れ続出になる。どこにいっても手に入らない。

メーカーは生産を再開すると約束したが、1週間もかかるという。ジェヒョクはその会社の社員であるにも関わらず、ペーペーの営業マンなので手に入れられない。彼は家族を助けることができるんでしょうか。

トレイラー動画

感想

これは大きく期待ハズレであった。

• 韓国産殺人寄生虫モノ『ヨンガシ』、スパイダーマン抜きの大ヒット！！

好き嫌いの好みがあるとはいえ、信じられないなあ。私は別の映画を観たんだろうか。

ホラーファンが期待するような、グニョグニョオエーのシーンはぜんぜんなかったです。CGハリガネムシがチョロッと出るだけ。

医者が死体を解剖する場面もない。政府お抱えの学者先生が出てきて、寄生虫のビデオを政治家に見せながら説明するだけ。この映画に出てくる医者は、しゃべるのが商売みたいです。他のことはなんにもやらない。

政府の指示で感染者を隔離するんだが、体育館に集めて閉じ込めているだけなのです。医者もナースもいない。患者がウガーと苦しみだすと、救急隊員が飛んできて「医者を呼べー」とかいう。なんのために隔離したんですかね。

『寄生虫が人間の脳に刺激を与える』というのがおもしろいトコなんで、これをもっとSF風に描いてもらいたかったです。

DVDスルーの低予算ホラーなら「こんなもんかな」と思うところですが、期待が大きかったぶん、外され感が強いです。私は韓国版DVDを買ったんですが、もしかして大幅にカットされているのではないかと疑い、いろいろ調べたんだが、そのようなことはないみたい。ほんとにこれが韓国で流行ったの？

DVDのオマケ

韓国版DVDのオマケはメイキングのビデオが4本 + トレイラー。映画本編は英語の字幕つき。

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ネタバレです

!!!! SPOILER ALERT !!!!
！ネタバレ注意！

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