2008/3/3 (Mon) at 3:52 am

映画|マン フロム アース|The Man from Earth

石器時代から生きてる男の独白話。デイヴィッド・リー・スミス、ジョン・ビリングスリー、リチャード・リール他。監督リチャード・シェンクマン。原作ジェローム・ビクスビー。2007年。

マン フロム アース / The Man from Earth DVDDVD画像

ATTENTION!!!

2009年5月5日に追記。

後半ネタバレぶぶんにまちがいがありましたので、加筆修正しました。なんといちばんだいじなオチを間違えていました。これは重度にヤバかった。ごめんなさい。いいわけになりますが、私、「コレか!」と思い込むと突き進むクセがありまして、そうなっちゃうとまったく気づかなくなるときがあるのです。我ながら進歩がないなと反省。1年以上も放置しちゃってやばかった。メールくれたひとありがとう。

We're imperfect! He had to work to make us understand.

という台詞がこの映画の中でありました。複雑な思いでありました。

ジョン・オールドマン。石器時代に生まれ、現代まで生き続けてきた男の独白物語。ケイブマンだった彼は古代の歴史を経験し、ハムラビに出会い、ブッダに影響を受け、イエス様の時代に生き、コロンブスにも出会ったし、近代になってからはゴッホの友達だったという壮大ストーリィ。

男の話を聞くのは、人類学者/考古学者/心理学者/生物学者/聖書研究家/医者という専門家たちである。「SF話だよ」という前置きから始まった物語に、やがて彼らは魅了され、その内容を疑い、アホかとセセラ笑い、とっぴさにあきれてしまう。彼らは専門家なので黙って聞いてるわけではない。いちいち鋭いツッコミをするんだが、男はその疑問のひとつひとつにていねいに答えて、まるで見てきたように話し続ける。これって妄想 ... ?!

※感想

SFということになっているが、宇宙船もエイリアンもモンスターも出てこない。特殊効果は一切ナシ。部屋の中の会話だけという超ジミジミ映画だがおもしろい。脚本と俳優の演技だけを純粋に楽しめる。ある者は「うそがうまいなー」とあきれるし、ある者は「大した知識だなー」と感心するが、みんな結局同じことをいうのだ↓

「んで、次にどうなった?」

疑ったり驚いたり怒ったり呆れたりという人々の心理描写が秀逸である。脚本がコギミよく演技がじょうず。ラストのオチもなかなかいい。『SF映画』といってよいのかよくわかんないが、こりゃおもしろかった。大人向けのベッドタイムストーリィだな。

インディーズのプロダクションがつくった低予算映画で、ヒョンな事件からimdbで有名になったが、その経緯だけを見るといかにも低予算B級SFかと思ってしまうがそれは誤解である。プロダクションはインディーズだが、出てくる俳優は実力派がズラリ。DVDを買う価値はある。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレオッケーな方のみこの下をスクロールしてご覧下さい↓

石器時代。不死の男だからという理由で、人々に崇められて指導者になった。でもその後、年月が経ったら逆に忌み嫌われるようになった。彼が人の命を吸いとっていると思われたから。「ヴァンパイア伝説の発祥起源だね」と学者のひとりが指摘した。男は迫害されて教訓を学んだ。定期的に『移動する』ことを覚えたのである。彼はひとつの場所に永遠にとどまっていられない。あやしまれないうちにどんどん移動して、その度に身分や名前を変えて別人になりすまして、1万4千年をこっそり生き続けてきたというのである。

ある時代にはヴァン・ゴッホと友達だったといって、みんなに絵を見せた。この時期には、農家でブタを飼育してたそうである。「そんなにしょっちゅう引っ越ししたなら、たまには昔の友達の前にひょっこり現れて挨拶したりしないの?」と聞いてみた。彼は何度かソレをやったことがあるそうだ。でもトラブルになって19世紀にはベルギーで投獄されたという。1890年にゴッホが死んだ後、彼はアメリカにきた。

聞き手のひとたちの印象がだんだん変わってくる。「おもしろいけどキチガイだな」という顔つきになってきた。妄想を抱く精神病者が天才的な記憶力でつくり話をするというのはよくある話である。でもここはセラピストの診療室ではなくて暖炉のある部屋であり、みんなは酒のサカナを欲しがっていたから「それからどうなった?」とどんどん質問責めにした。

「洞窟絵を描いたことはある?」と聞いたら、レゼジーの洞窟絵を描いた人物を見たと語った。古代の話。彼は温暖な気候を求めて、どんどん東に移動した。太陽が昇る方角である。あらゆる場所であらゆる言語を習得し、いろんな神話や宗教が立ち起こるのを目撃した。2000年前にはソマリア人だった。バビロニアのハムラビにも会った。偉大なひとだった。フェニキア人だったこともある。その頃には文明が起こってきたから、あやしまれないように特に注意を払う必要があった。自分の死を偽装したこともあった。どんどん東に移動。ブッダに出会った。その出会いはすばらしかった。ブッダからたくさんの知識を学んだ。彼が死ぬまでいっしょにいたという。彼はブッダに自分の秘密を教えなかったけれど、相手は彼が特別だと感じていたようだった。

途中からリチャード・リール演じる老医師が聞き手に加わった。この老医師は男の話に大きな興味を覚えて、質問をたくさんした。その内容は「愛するひとたちが死ぬのを見てどう思った?」とか「自分だけが生き残って罪悪感を覚えたか?」なんていうテーマに絞られるのだが、なぜか老医師は昂奮して、しまいには銃を出した。老医師は男を殺したくなった。会話だけが続く単調な映画の中で唯一緊迫するシーンだが、結局のところ、彼はなだめられて帰っていった。後になって、彼が妻を亡くしたばかりだと明かされた。だからあんなに怒ったのかとわたしたちもわかった。このシーンの会話はとてもよかった。

さて、老医師が去った後も独白物語は続きます。「聖書の中に登場するだれかに会ったことはある?」と聞いたら、男は初めて回答を拒否した。「その質問は却下」という。みんなはええええええと悔しがる。いったいだれだオシエテオシエテと粘って、あれこれと聞き出したらやっと白状した。彼はなんとイエス様だったというのである。ははははは。

ローマ帝国に捕まったが、彼はブッダに仮死状態になる方法を学んでいたから、それを使って死んだフリをして復活した。手首に傷がないのは縄で縛られたからである。クギで十字架にはりつけにされたというのは宗教画家の演出である。イエス様がじつはケイブマンだったというのはこれまた最高のオチなので、みんなはワーワーと盛り上がる。

男の話を裏付ける証拠はなにもない。ただ話をしてるだけである。彼は説得をしようと思ってるわけじゃないから。ただ告白をしてるだけ。彼らと会うのは今夜が最後だから。すでに『移動する』ことを決めたから。証拠もなく聞き手たちがのめりこむようになっていくのは不思議だけど、それだけ男の話がうまいのだ。演技一本。詳しくは映画を観てください。おもしろいよ。

そしてラスト。

さっき大興奮で銃を出した老医師が戻ってきた。彼は頭を冷やして詫びにきたのだ。彼は話の続きを聞いたあと「いいかげんにうそだと白状しなさいよ」と説得にかかった。みんなはぐったりしていたし、中でも信心深いオバさまは「そんなのうそよ!」とわめくし、ムードがわるくなってきたからだ。

男は考え込んだのちに「ぜんぶうそでした」とネタバレした。このときの聞き手たちの反応は、ありえないくらいの脱力である。怒る者あり、呆れる者あり。その場はシラケムードで、みんなは帰っていく。お別れパーティはお開き。このあと男はひとりで去っていくのだ。

男と男の恋人と老医師の3人だけが残った。恋人女性がニヤニヤ笑って質問した。「石器時代から生きていて、すごくたくさんの偽名を使ったんでしょうねうふふ?」といったら「60年前にハーバードで教えていたときには、ジョン・トーマス・パーティだったよ」と笑っていった。それを聞いた老医師が血相を変えた。「60年前?ボストン?ジョン・トーマス・パーティ!?わ、わしは信じないぞおおおおお!」と仰天タマげた。

老医師は60年前の生徒だったのである。60年前の男にはヒゲがあったから彼は気づかなかったそうであり、男の方は教え子がそこにいたと気づいてなくて、ポロリといっちゃったのである。老医師はありえないものを見ちゃったので、感情がウワーと押し寄せてきちゃって、懐かしいやら信じられないやら心拍数がズガーと上がって、頭に血がのぼって、そのままショック死。リチャード・リールの演技がすばらしいな。

老医師はなんと男の息子だったのである。彼はありえないものを見ちゃったので、感情がウワーと押し寄せてきちゃって、懐かしいやら信じられないやら心拍数がズガーと上がって、頭に血がのぼって、そのままショック死。その場に居合わせた恋人女性は去りゆく男を引き留めようとしていたが、これを見たらば言葉を失った。自分の未来が見えちゃったというかんじでしょうか。

以下によかったquotesをあげときます。

I had a chance to sail with Columbus, Only I'm not the adventurous type. I was pretty sure the earth was round, But at that point, I still thought He might fall off an edge someplace...

No matter how long a man lives, He can't be in advance of his times. He can't know more than the best of the race knows, If that... I mean, when the world learned it was round, You learned it.

Living 14,000 years didn't make me a genius. I just had time.

Dr. Will: As one grows older, the days, weeks, months go by more quickly. What does a day or a year or a century mean to you? The birth-death cycle?
John: Turbulence. I meet someone, Learn their name, say a word, they're gone. Others come like waves. Rise, fall. Ripples in a wheat field, blown by the wind.
Dr. Will: Do you ever get tired of it all?
John: I get bored now and then. They keep making the same stupid mistakes over and over.
Dr. Will: Hey. Then you see yourself as separate from the rest of humanity.
John: I didn't mean it that way. But of course... I am.
Dr. Will: Are you comfortable knowing that you have lived while everyone you knew, everyone you knew, john!, has died?
John: I've regretted losing people... often.
Dr. Will: Have you ever felt guilt about that? Something akin to survivor's guilt?
John: In the strict psychological sense? I suppose i have. Yeah. But what can i do about it?
Dr. Will: Indeed.

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原題: The Man from Earth
別題: Az őslakó
Covek sa Zemlje
Jerome Bixby's The Man from Earth
L'uomo che venne dalla Terra
The Man from Earth
制作年: 2007年
制作国: アメリカ
公開日: 2007年6月10日 (アメリカ) (Another Hole in the Head Genre Film Festival)
2007年7月28日 (アメリカ) (Comic-Con International Independent Film Festival)
2007年8月11日 (アメリカ) (Rhode Island International Film Festival)
2007年11月13日 (アメリカ)
2008年10月5日 (アメリカ) (International Horror & Sci-Fi Film Festival)
2009年2月12日 (ドイツ) (DVD)
2011年7月5日 (フランス) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: The Man from Earth
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
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謝辞

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