映画|ドッグ・パウンド|Dog Pound

3人の少年がそろって、少年院に入ってくる。ヤク所持で捕まったヘラヘラ16歳（シェーン・キッペル）。クルマ泥棒で捕まった15歳（マテオ・モラレス）。他の施設で看守をボコボコにした17歳（アダム・ブッチャー）。という3人は、特に接点はないんだが、同じ日に入った者同士でなんとなく仲間になる。

彼らが少年院でうだうだ過ごして、こわいギャングの連中にとっつかまってヒデー目に遭ったり、仕返ししたりとなんだかんだとイベントがあって、最後の最後は、やりきれない憤怒を溜め込んだ思春期クソガキどもが大爆発。暴動事件に発展する。くそったれええええええええ！

トレイラー動画

感想

この映画、あらすじみたいなもんはあまりないのですね。少年院の中で起きる陰惨な出来事を描いて、だれかがいぢめられたり、だれかが死んだりして、んでもって、最後にドッカーン！というだけの話なんだが、なかなかよかったですよ。

特にブッチくんを演じたアダム・ブッチャーがよかった。彼はパッと見、ものわかりよさそうな少年なんだが、理不尽な扱いをされるとキレちゃう。道理としてはわかるんだが、どう考えてもやり過ぎむちゃくちゃ。過剰防衛でお縄になるタイプ。正義感がへんな向きになっちゃってるといえるかもしれない。

ぎらりと怒ったときの目つきが、それはそれはおっかなくて、暴力演技をするときのビートたけし風。こえー。あんな子供が目の前に立っていたら、私、敬語を使うとおもいます。

少年院てことなんだが、バイオレンスものの刑務所映画の雰囲気に近い。大人のヤツに比べると少し規則が緩やかなのかな。多少の違いはあるようだが、刑務所映画の定番キャラ、ギャング男とかいぢわる看守といった連中が出てくる。

少年たちは3種類にランクわけされていて、問題児はオレンジの服、普通の子たちは黒い服、模範的な子たちはポロシャツ、という具合です。

だから、ポロシャツの少年たちは優しい先輩たちなのかなと思ったら、ぜんぜんちがうの。こいつらは看守をだまくらかして、裏ではヤクを取引したり、弱いものいぢめをしたりしている。

『Enola Vale Youth Correctional Facility』ていうのが施設の名称なんだが、『矯正施設』というより『犯罪者養成所』みたいなところですなあ。こわいですなあ。怒りと欲求不満を溜め込んだ少年たちがゾロゾロいるなんて、下手すると大人の刑務所よりもヤバいかもしれない。

Anger Managementをやるシーンがおもしろかった。女の先生が出てきて「はい、みなさん、今日は人間の怒りについて学びましょう。自らの怒りを抑える方法があるのですよ」つって、集団セッションをやるのです。

先生が「さて、あなたはさいきんなにかに腹を立てましたか？それをみんなの前で発表してごらん」といわれたガキは「先生とヤレないのが腹立つなあ」なんていうので、それを聞いた他のガキは「こんなババアとヤルなんて、おまえバーカ」とかいって、結局、その先は殴り合いのケンカになるのです。

あんな連中にAnger Managementのセッションをやるなんて、ライオンに「草を食べて大きくなってください」とお願いしているようなものですよね。

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