2008/11/17 (Mon) at 5:31 pm

映画|トレイター 大国の敵|Traitor

世界を舞台に無差別自爆テロを画策するムスリム過激テログループと、FBIの闘いを描いたクライムアクション。ドン・チードルガイ・ピアースサイード・タグマウイ。監督グレッグ・ビショップ。2008年。

トレイター 大国の敵 / Traitor DVDDVD画像

ドン・チードル演じるサミール・ホーンはスーダン生まれ、シカゴ育ちのアメリカ人。敬虔なムスリム教徒である彼は、アメリカ社会になじめずドロップアウト。軍の経験を活かしてフリーランスの武器商人になった。爆発物が専門である。イエメンで取引をしてたところに、ダダダーとポリスが突入。テロリストの一味と目され、イエメンの刑務所に収監される。FBIがやってきて、協力と引き換えに釈放させてやるとオファしたが、彼はこれをケトばした。

刑務所でムスリムテロ分子であるオマーと仲良くなり、兄弟の契りを交わした。オマーの仲間の協力を得て脱走。オマーはサミールを自分の親分に引き合わせた。てわけで、サミールは晴れて正式にムジャヒディーンとしてデビューした。テロ組織にとって彼の爆発物に関する知識は貴重である。まずは挨拶代わりにニースでアメリカ領事館をドカンしてやったらば、彼は大きな信用を得ることに成功。アメリカ国内で行われる予定の同時多発テロ作戦の首謀者に抜擢される。オマーといっしょにカナダから入国した。

一方、これを追うFBI捜査官のクレイトン(ガイ・ピアース)は宗教者を父に持つという家系の男で、アラブの文化に詳しく、一般的なアメリカ人よりもムスリムに対する理解がある。彼はサミールを執拗に追いかける。世界をまたにかけたテロリストアクション。

※感想

スパイものの小説やドラマの寄せ集めパックというかんじで新味ゼロである。「じつはサミールは善良男だった」というオチにつながっていくのだけれど、そんな彼が運命に引きずられて無実なひとを殺してしまう。敬虔なムスリムである彼は悲しみに暮れるのであり、神様にお祈りをする。悲しい音楽が流れる。というパターンはShowtimeの『スリーパー・セル』そのまんまである。ラストのアレも『スリーパー・セル』のシーズン1のフィナーレとおんなじだ。オマー役のサイード・タグマウイはあっちにもチョイ役で出ていたので、余計にイメージがカブっちゃったのかもしれない。同じ俳優を使わなければいいのに。

スリーパー・セル』の場合はもっと凄みがあったと思うんだけど、この映画はあそこまでの迫力はないし、アクションがすごいかっていうとそうでもないし、なにしろアッチにはファリクっていう超人的なカリスマを誇るわるもんキャラがいたけど、こっちのラスボスはただのオッサンみたいだった。ドン・チードルはいい俳優だと思うけど、この映画に関してはマイケル・イーリーの勝ち。

SPOILER ALERT!!!!!
ネタバレオッケーな方はスクロールしてお読み下さい。

ニースの爆破事件のあと、じつはサミールはアンダーカバーだったと明かされる。つまり冒頭シーンの武器商人をやってたところからして、ニセの身分だったのだろう。ただこの場合、FBIその他政府機関のアンダーカバー捜査官ということではない。彼がハンドラと接触するシーンが出てくるが、その会話からテロ組織をやっつける目的らしいとはわかるんだが、その背後関係、所属等は一切不明である。だから、FBIもサミールを本命の敵と信じて追ってくる。

サミールはハンドラと協力しつつ、敵の正体を探る。彼の真の狙いは組織の頂点にいるラスボスである。ラスボスはえらいさんなのでたまにしか出てこない。彼と接見するには敵の信用を獲得しなければならず、そのためには悪事に手を染めなくちゃいけないってのが辛いところである。死体を偽装したりとか、ジタバタをしたんだけど、結局犠牲者が出ちゃってガビーンと落ち込んだりする。

そして、あーだこーだやってるうちにハンドラが死んじゃう。サミールにとって彼だけが唯一の味方だったわけだから、これは重度のピンチである。そうこうするあいだも全米多発テロ作戦は着々と進行するのであり、彼は悶々とする。

ラスト。

全米各地の50台のバスが同日にドッカーンと自爆テロされる予定だったのが(その後、30台に減ったのだが)、サミールが機転を利かせて、各地に散らばるはずだった実行犯たちはじつは一台のバスに集結させられていたと明かされ、被害は最小に食い止められたのであり、彼は自分が裏切り者だったことを明かして、敵をダダーと殺す。そこにサミールの秘密メールを受けとった仇敵ライバルのFBI捜査官、クレイトンが突入。サミールは重傷を負ったが、助けてもらえました。

シカゴに戻ったサミールは放心状態で町をブラブラ。そこにクレイトン捜査官がやってくる。彼はサミールの犯罪歴をすべてクリーンにしてやったぞといい「いっちょう政府のために働いてくれん?」とスカウトしにきたんだけど、サミールの表情は重い。「削除キーを押せば人間の過去がチャラになると思ってんのか」と彼らしいことをいう。ふたりの会話↓

Samir: You know, the Qur'an says that if you kill an innocent person, it's as if you've killed all mankind?
Clayton: It also says that if you save a life, it's like you've saved all mankind. You're a hero, Samir.
Samir: Look, whatever you want to call me, I'm done.
Clayton: Well, we know how to find each other. As-Salamu Alaykum.
Samir: Wa alaikum assalam. And you should start the conversation with that.

おしまいー。

twitterのご案内

当ブログをお読みくださり、ありがとうございます。twitterやってます。ホラー映画好きな方はフォローしてくださいませ。サイトの更新や新作ホラーの情報を随時流しています↓

Facebookのご案内

ホラー以外の映画』の最近のエントリ

PV27,017
ホラーなブログの方はどうぞ
原題: Traitor
別題: Traidor
Az áruló
Hain
O Traidor
Paihnidi thanatou
Reetur
Trahison
Zrádce
邦題(カタカナ): 『トレイター 大国の敵』
制作年: 2008年
制作国: アメリカ
公開日: 2008年8月21日 (アメリカ) (New York City, New York premiere)
2008年8月27日 (アメリカ)
2008年8月29日 (カナダ)
2008年10月2日 (ロシア)
2008年11月6日 (オーストラリア)
2009年2月4日 (フランス)
2009年2月15日 (イギリス) (Keswick Film Festival)
2009年3月27日 (スペイン)
2009年3月27日 (イギリス)
2009年6月26日 (ドイツ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Traitor
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

ホラーSHOX [呪](『ほらーしょっくすのろい』と読む)は新作ホラー映画のレビュー中心のブログです。たまに古いのやコメディ等もとりあげます。HORROR SHOX is a Japan-based web site, which is all about horror flicks.

 

すべての投稿 (1544)

CALL GIRL COMIC by DAIJU KURABAYSHIEL GIGANTE COMIC COMIC by DAIJU KURABAYSHI
HORROR SHOX - Horror Reviews, News