2009/2/11 (Wed) at 3:21 pm

映画|江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者|The Watcher In The Attic

大正エロス頽廃肉欲変態倒錯絶佳毒女壊物。ジャパン版グラインドハウスともいうべき猟奇ポルノ by にっかつ。宮下順子石橋蓮司。監督 田中登。原作 江戸川乱歩。1976年。

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 / The Watcher In The Attic DVDDVD画像

Atticつながりということで、次は江戸川乱歩原作の古い名作をレビュー。

SPOILER ALERT!!!!!
最後までネタバレの物語紹介

宮下順子は頽廃エロスな変態貴婦人で、ナカユビ代わりの男を拾ってはオホホ〜乱狂ハレンチにうつつを抜かすのがたまらなく好きという享楽美女だが、彼女の奇行をアシストするのが変態運転手の蛭田で、彼は宮下順子の柔肌に心酔メロメロ、彼女の椅子になれれば幸せであり、椅子の布地を通じて宮下順子の肌に触れさせてやればなんでもいうことを聞く忠実家来ロボットである。

宮下順子は今日もまた熱い肉体をほてらせて秘密のアパートに通う。部屋に入るとギラギラ目のピエロがいて、これの肉体を弄ぶのだ。アパートには変態青年の石橋蓮司がいる。石橋蓮司はアパートの屋根裏をイモムシのように徘徊し、住人たちの私生活を見るのがだいすきだが、彼にとって宮下順子とピエロの情交シーンはたまらないごちそうである。ヨダレを垂らして屋根裏から覗いてイッヒッヒとやってたらば、宮下順子はすぐに覗かれていることに気づくが、怒るどころか、あらすてきだわと目が充血、彼女にとっては覗き屋も興奮剤になる。

そうこうやってる合間に宮下順子の夫も出てくる。山崎拓風の金持ちエロぢぢいはカエルの丸焼きを堪能しつつ、美女妻の肉体を所有しているのはこのおれなのだとうれしくてたまらない。タラバカニを食うように妻にむしゃぶりつくねっとりぐちょぐちょのザッツにっかつ中年好色男。夫は妻の奇行を薄々感づいているが、それがまた彼の本能に火を点けるという相乗効果を持つのであり、変態世界に蠢く人々はそれぞれのパートを演じ続ける。

ある日、宮下順子はいつものようにアパートに出張し、いつものようにピエロを相手に遊戯していたが、屋根裏から放たれる石橋蓮司の視線ビームに我を忘れて最高エクスタシーに達する。その代償にピエロは死亡する。忠実家来の蛭田がサクッと死体を処分する。こんな相手はバイブみたいなもんだから、ドブに捨ててハイサヨナラ。

愛する奥様のために死体を処分した蛭田は、逸脱した行為に及ぶ。「警察が嗅ぎつけるかもしれません」とやんわり脅し文句を述べつつ、その肉体に直接触れようとする。宮下順子は「もうわたしの椅子じゃ気がすまないようね」と女王様台詞を述べ、お仕置きを与える。割れたガラスに手をぐりぐりしてやったら、蛭田はハッと目が覚めた。「お、おくさま。おゆるしください〜」と懺悔をした。

一方、覗き屋の石橋蓮司は、変態貴婦人と視線光線を交わしたせいだろうか、次第に犯罪性がエスカレートする。それは殺人。屋根裏の覗き穴からそろーりと糸を垂らして寝ている人間の口に毒を入れちゃえっていうのを思いつく。んで、じっさいにやってみる。イエス様の教えを説きつつじつは変態という偽善男を思い通りに殺した石橋蓮司は、我が道をゆくといった風情である。

こうなれば、変態貴婦人と変態覗き屋青年が手を握るのは時間の問題であろう。ふたりは結ばれる。その前にいろいろあるんだが、まぁいいや。いくつかの名シーンがあるが、詳しくは映画でどうぞ。ここらへんにくると蛭田やらエロ夫なんかの脇役どもは邪魔くさい。邪魔者たちはまとめてポイ。ふたりはいいきぶん。屋根裏でわっせわっせと倒錯sexしてたら、不意に地面がグラグラー。どっしゃーーーん。がっしゃーーーーん。ナ、ナニゴトですか!

関東大震災であった。

天災はすべてを破壊する。変態も変態じゃないひとも全員死亡。かと思ったら、生き残りが1名のみ。それはノーテンキキャラのノーマル女、アパートの女中であった。灰燼と化した東京。ガレキのまんなかにひとりぼっちの女中さんがたのしくうたを歌いながら汚れた身体を拭いている。ポンプ式の井戸をわんわん押すと水が出てくるんだけど、いつしか、それは真っ赤な血に変わった。

おしまいー。

※あ、つい、ハショってしまいましたが、アパートの住人のなかには女の画家さんもいました。彼女は宮下順子石橋蓮司が結ばれるための儀式を行う役割を果たすんですが、この画家さんはやってることはアブなんだけど、性生活はノーマルだったように見えました。やっぱり芸術家ってのは作品を創作することによって変態本能を昇華できるから、じっさいには思ったよりもノーマルってことかな。

以下、印象的だったシーンの台詞です。映画をご覧になった方は「ああそうそう」と思いだしてください。未見の方はイメージをふくらませてください。

椅子人間の蛭田と宮下順子がアヘアヘやってるところに、山崎拓風夫が入ってくるところ。

「ひるた、いるんでしょ?返事をおし」
「はい、奥様。やわらかでございます。長ーいあいだ、こういう肌にあこがれておりました。はあああ」
「ふぅうう」
「おくさま ... おくさま ... 」
「あ ... あはああああ」
「 ... ?!」
「あ、あなた!」
「どうした?ふしぎなこともあるもんだ。おまえの方から求めるなんて。だんだんおまえはわたしが望む女になっていくなぁ、ひひひ」

宮下順子石橋蓮司と初めて会話するところ。

「あなたの目がいつも屋根裏に潜んでいた。あなたの目がなければわたしはもうだめになってしまった。もうわたしはあなたを離さない。あなたは見ていた。それとも警察に告げる?」
「さぁ」
「告げられないはずよ。ここにいるのはみんな共犯者」

叙情的なメロディが流れる。宮下順子はオナニーを始める。

「ここにきたかいがありました。あなたもぼくと同じ種類の人間のようですね」
「 ... あはん」

宮下順子石橋蓮司が草原で会話するところ。

「あなたね。わたしにはわかるの。死んでいたひとの真上にきっとあなたの目が」
「警察では自殺だと思うでしょう」
「わたしのために?」
「そうかもしれません」
「とうとうわたしはあなたを屋根裏から、退屈なあなたの屋根裏からあなたを誘い出したわね」
「はい、そういえるかもしれません。しかしぼくはいつもあなたを .. ぼくだけのせかいからひろーいせかいだ、うみのそこのようにひろくてしずかだ。そこからぼくはいつもあなたを、それからいろんな犯罪を夢見てきました」
「わたしと同じ立場になってくださったというわけね」

宮下順子が忠実家来だった蛭田を殺してポイするところ。いいですなぁ。

「そのままわたしの椅子におなり。おまえも私の身体に毒を注ぎ込んだひとりなんだから」

以下でトレイラー見れます↓

あと、以下のサイトさんのネタバレがじつに細かくわかりやすく書かれています。日本の映画に詳しい方みたいなので参考になります↓

US版DVDのEXTRAの内容

ところで私が持ってるDVDは、US版の Mondo Macabro (イエーイ!)のヤツですが、これから買ってみようかなという方のためにそちらに収録されているExtraの内容をざっと紹介します。

■ ABOUT THE FILM ----------

にっかつと映画についての英語説明テキスト。ガイジン向け。

■ DOCUMENTARY: THE EROTIC EMPIRE ----------

批評家、女優、映画関係者などが出てきて、戦後日本のポルノグラフィ事情と『NIKKATU』、当時の社会背景などを語る25分程度のドキュメンタリ。『屋根裏の散歩者』の田中登監督や神代辰巳その他の代表的な方々の話に及ぶ。当時を知るひとにはなつかしいでしょうし、若い方には新鮮な内容では。登場するのは以下のみなさん。白川和子(女優)、Jasper Sharp(日本映画の歴史に詳しいジャーナリスト)、鈴木清順(映画監督)、松島利行(映画評論家)、Romain Slocombe(アーティスト兼映画作家だそうで)。日本人がしゃべっるところは日本語そのままですが、英語音声部分の字幕はナシ。

■ INTERVIEW: JASPER SHARP ----------

日本映画に詳しいジャーナリスト、ジャスパー・シャープによる作品解説。英語。字幕ナシ。彼はこんな本を書いているひとです↓

Behind the Pink Curtain:
The Complete History of Japanese Sex Cinema
Behind the Pink Curtain: The Complete History of Japanese Sex Cinema

■ NIKKATSU: TRAILERS ----------

以下のにっかつ5作品の劇場予告編。おもしろいよー。

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 THE WATCHER IN THE ATTIC
昭和おんなみち 裸性門 NAKED RASHOMON
修道女ルシア 陵<けが>す THE SINS OF SISTERS LUCIA
暴行切り裂きジャック ASSAULT! JACK THE RIPPER
女囚・檻 FEMALE PRISONER: GAGED

感想

最後に短く感想をば。天災で幕を閉じるホラー(といってどうかわかんないが)なんて他にありましたけ?スゴイ幕切れですよね。なにもかもがすばらしい。

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原題: Edogawa Ranpo ryôki-kan: Yaneura no sanposha
別題: Watcher in the Attic
Der Voyeur
Edogawa Rampo ryôki-kan: Yaneura no samposha
La casa delle perversioni
La maison des perversités
La maison des perversités: Le promeneur du grenier
O idonovlepsias sti sofita
The Stroller in the Attic
邦題(カタカナ): 『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』
制作年: 1976年
制作国: 日本
公開日: 1976年6月12日 (日本)
1979年10月 (アメリカ) (Chicago International Film Festival)
1990年6月6日 (フランス)
2008年12月21日 (イギリス)
2009年7月23日 (カナダ) (Québec)
imdb.com: imdb.com :: Edogawa Ranpo ryôki-kan: Yaneura no sanposha

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