2011/4/21 (Thu) at 10:16 am

映画|JIGSAW ソリッド・ゲーム|The Unforgiving

拉致監禁残虐拷問低予算ゴア。南アフリカの注目新人監督によるスラッシャーなホラー映画。Ryan Macquetクレール・オペルマンマイケル・トンプソン。監督アラスター・オア。2010年。

JIGSAW ソリッド・ゲーム / The Unforgiving DVDDVD画像

南アフリカ。ヨハネスブルグ。

毒ガスマスクのキチガイキラーが出現。犯人は町外れの廃墟に犠牲者を監禁し、ウケケとブッ殺す。警察はだるまさんのように手が出ないのであるが、最近、ふたりの被害者が救出された。目撃証人は警察にとって大きな手がかりである。

この映画は、奇跡的に保護された男女(Ryan Macquetクレール・オペルマン)が、刑事(マイケル・トンプソン)を相手に、なにが起きたのかをしゃべっている場面から始まる。

刑事はふたりと個別に面談し、冷静な態度で細かい質問をする。ふたりは各自の悪夢体験を沈鬱顔でしゃべる。刑事は彼らの話をパズルを解くようにつなぎ合わせ、手がかりを得ようとする。

彼らは同じ廃墟の周辺で拉致され、監禁され、暴力を振るわれ、ヤクを射たれ、ヒデー目に遭ったということなんだが、お互いのことを知らなかった。話が進行するにつれ、ふたりの話の間にへんなズレが出てくる。どちらかがウソをついているのだろうか。

男はなにか隠しているような雰囲気だし、女の方はヤクのせいで記憶がボケてるらしい。被害者のどちらか(あるいは両方?)はもしかしてわるもんなのだろうか。最後はアッと驚くtwistがあるよ。

トレイラー動画

The Unforgiving (2010) trailer

邦題『JIGSAW ソリッド・ゲーム』

後日、追記。

この映画は邦題『JIGSAW ソリッド・ゲーム』にて、2011年8月3日、日本版DVDリリース予定だそうです。メールくれたひと、ありがとう!

感想

南アフリカの注目若手監督(25歳!)、アラスター・オアの長編映画デビュー話題作ということで興味深く観ましたが、なかなか楽しかったですよ。

拉致された男女 + 刑事に加え、もうひとり(クレイグ・ホークス)登場します。そいつは拉致され殺されちゃった人です。ぜんぶでこの4名しか出てこない。ミニマムなつくりの低予算ホラーです。

コントラストをギューと高めた色合いのブレブレ暴力映像/多用されるクローズアップが特徴的です。取調室のシーンになるとモノトーンになります。

映像処理が凝っているなあと思ったら、この監督さんは音楽アーティストのPVやテレビ番組等のキャリアがあるそうな。詳しいインタビュー記事があった↓

映画は、ふたりの言葉とそれを裏打ちするフラッシュバックが出てきて、なにが起きたのかが徐々に明かされていくんだが、途中からへんな具合になります。「あれれ、なんかへんだな。どういうこと?」と思わせといて「これはもしかして、時系列がグチャグチャになってるな!」という点に気づかされます。その意図は最終まで明かされません。

最後になってようやく、あー、そういうことだったんですか、と意味が分かります。そこまで達すると、それまでフラッシュバックだと思って見ていた映像の一部が、じつはフラッシュフォワードだったんだとわかるシカケになってます。なんだかややこしい。

『ソウ』のエンディングと似ているんだが、ああいう、流れるような、一気にズバーッとタネ明かしをして、ああぁあああ!そうだったんだあああ!なああるほどおおおお!というようなダイナミック感はなかったとおもう。残念ながら。

え、え、えええぇえええええええええ!

ふーん。

よくわかんないけど、そういうことですか。

うぅむ。

もういっぺん観るか。

というかんじでした。

どうなんだろ。私の理解力が足りないせいかもしれないが、ちょっと凝りすぎなんじゃないのかなあ。監督さんは影響された映画監督としてクリストファー・ノーランを挙げている。あー、そういうひとだったんですね。

この映画の撮影は、2009年3月から2009年6月の4か月間の週末に行われ、その合間のウィークデーに編集をやったそうなので、おそらく、撮影を進めながら、あーでもない、こーでもない、と考え考えつくっていったんだと思われます。インディーズならではの手法ですな。

ゴア描写について。低予算らしく、さほど凝ったものは出てこないけれど、ドリルで人間の足を粉砕する場面があって、ソレ用に動物の臓物を使ったそうです。チシブキは盛大に出る。撮影に使ったフェイク血液は15リットル。ここらへんは持てる予算の範囲内でかんばったんだろうなあと推測されます。

撮影地はヨハネスブルグ郊外30キロの地点のVosloorusていう場所で、ホラーな雰囲気のいい廃墟ですね。インタビューによれば、この場所で撮影中にしょっちゅう(俳優さんの)悲鳴が聞こえるからポリスがよくきたそうです。

上にリンクしたふたつの記事はおもしろいから読ませてもらうといいですよ。撮影のようすだとか、キャストのみなさんのことなどをしゃべっています。

製作予算は40,000ランド(= 約$6,000 = 約50万円)。

時系列が入り乱れる手法がわかりにくいとか、カットとクローズアップが多用されるPVみたいな映像処理がやりすぎではないか、とか、荒削りな部分が多いんだが、総じて、気合いがかんじられる一本でした。監督さんはまだお若い方ですし、これが長編デビューですし、この先どんどん良くなるんじゃないですか。今後に期待ですよ。

南アフリカにおいてはこれまでこの種のゴアゴア映画はぜんぜんなかったので、アラスター・オア監督は大注目されているようです。彼は近い将来、イーライ・ロスジェームズ・ワンみたいになるのかななんていう話もあるんだが、それはまだ早いんじゃないかと思うが、いつかそうなるかもしれない。

アラスター・オア監督は、現在ふたつの新作ホラーを準備中。拉致ものホラーとゾンビものだそうな。

DVDのオマケ

  • trailer
  • Behind The Scenes

この映画のDVDは字幕ナシ。

画像

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原題: The Unforgiving
別題: I Want to Die
邦題(カタカナ): 『JIGSAW ソリッド・ゲーム』
制作年: 2010年
制作国: 南アフリカ共和国
公開日: 2010年8月20日 (南アフリカ共和国)
2011年1月27日 (フランス) (Gérardmer Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: The Unforgiving

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