映画|ダブル・ボーン|The Double Born

ソフィーは壊れた中年女である。ひとり息子が失踪して絶望した彼女は妊娠することだけが人生の目標となり、やつれた顔でタバコをスパスパ吸いながら妊娠検査薬とにらめっこする日々であったが、ある日、夫（というのは失踪息子の父ではない。あとから結婚した相手）は種ナシだったと知ってますます絶望する。彼女は子供部屋のペンキ塗りをしたいといいだして、手伝いの少年をふたり雇う。んで、彼らを引っぱり込んでアヘアヘしはじめる。ソフィーの夫と同居する妹は彼女の異常さに感づいてなんとかやめさせようとするが、アンちゃん2名ってのが、これまたソフィーに負けず劣らずの壊れっぷりトラウマ人生をやっており、最後は彼らの秘密が明かされ、ガガーと絶望の結末に落ちる。

トレイラー動画

原作はブラム・ストーカーの短編小説

原作はブラム・ストーカーの『The Dualitists: Or, the Death Doom of the Double Born』という小説です。こちらはパブリックドメインになっているのでネット上でタダで読めます。こことか↓

• Many Books - The Dualitists or, the Death Doom of the Double Born

上のサイト、少しわかりにくいのですが、右側の赤い『DOWNLOAD』ってトコのプルダウンメニューでフォーマット（textとかpdfとか）を選んで、ボタンをクリックするとダウンロードできます。

感想

ソフィーを演じたサミ・デイヴィスはabcの『Homefront』のレギュラーで、ゴールデングローブにノミネートされたこともある実力派ですが、さいきん見てなかったです。彼女の壊れっぷり演技がダークな演出でえんえんと続き、暗いムードを盛り上げる不快SEががんがん鳴っています。彼女がヒステリーを起こしたり、肉欲刹那のsexに走るような場面が続いて「壊れ女のオンステージ！」という調子で進行します。最後にアッと驚くtwistがある。最初から最後まで陰鬱です。

私はそうヒデーもんじゃないと思いましたが、Fangoriaのひとはかなり気に入らなかったようです。アマチュア臭いだの、ディレクションへたくそだの、安っぽいだのと酷評し、最後のシメは「DVDのメイキング40分は長すぎ」といちゃもんつけまくり。ここまでいうってのは、よほど期待が高かったのかなあ↓

• Fangoria - The Double Born (DVD Review)

コメントの一番下にトニー・ランデル監督自身の反論がある。「この映画を好きになれとはいわないが、あんたは評論の仕方ってもんがわかってないヨ」とあり、その次には、監督を擁護するコメントが続きます。「あなたが挙げている欠点は、わたしにはぜんぶよいところであるように思えましたよ」なんて書いてある。んー、擁護コメントは監督の身内かもしれないけど、とりあえず私はいいと思ったし、他のレビューでは褒めてるヤツもあるから、観る人によって評価が極端にわかれる映画ってことかなと。てか、批判をしている人は『Hellbound: Hellraiser II (1988)』が記憶に残り過ぎてるんじゃないですかね。20年も経ったら作風も変わるだろうと思うんですけど。。。

ソフィーのような女はいかにもそこらへんの飲み屋にいそうです。悲しい身の上話に同情して酒をおごったりするとえれー目に遭うので気をつけましょう。てか、こういう相手にズブズブにハマって逃避行の人生に堕ちていくというのも文学的で楽しいかもしれないですが。

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