2007/12/11 (Tue) at 12:40 am

映画|パーフェクト・クリーチャー|Perfect Creature

人間と共存するヴァンパイアを描いた独創的な世界観。暗黒ムードの架空SFワールドがかっこいいよ。ダグレイ・スコットサフロン・バロウズレオ・グレゴリー他。監督グレン・スタンドリング。2006年。

パーフェクト・クリーチャー / Perfect Creature DVDDVD画像

この映画は従来のヴァンパイア映画とはまったく違う。冒頭15分で以下のような設定説明がなされる↓

  • ヴァンパイアは突然変異によって産まれた奇跡の新種である。
  • ヴァンパイアは男しか産まれない。
  • ヴァンパイアはひとを襲わない。
  • 人類とヴァンパイアは共存している。

【時代背景と物語】

300年前、ひとりのイタリア人錬金術師(つまり当時の科学者か)ジョセぺ・ディアンジェロ(Giuseppe D'Angelo)が遺伝子工学の礎を築いた。彼は人間の遺伝子DNAに潜む暗号を解読し、ヴァンパイアは人類の優勢種であることを証明した。以来、歴史は一変し、ヴァンパイアは戒律を重んじる宗教者集団となった。彼らはモンスターじゃないのだ。ヴァンパイアは人々から『ブラザーフッド』と呼ばれ、尊敬と畏怖の対象である。人々は彼らに対して血液を『寄付』する。ヴァンパイアたちは施しによって糧を得ており、決してひとを襲わないのであり、じぶんたちの使命は『人類に奉仕すること』であると認めている。というのがこの映画の世界観なのだ。

それはよい一面だが、バイオ工学の発展は弊害ももたらした。ジョセぺの研究を知った他の錬金術師たちの中には結果を顧みずに無茶なバイオ実験をする者たちがたくさんいて、そのせいで伝染病が流行ったりした。現在この世界に蔓延するインフルエンザもそのひとつである。両者の均衡は永らく保たれていたが、インフルエンザの流行によって人類の人口が激減。そこで何百年ぶりにヴァンパイアが人間を襲ってカミカミする事件が起こった。こりゃまた世論を揺るがす一大事である。『ブラザーフッド』は最初のうちは秘密裏に犯人を捕まえて事件を解決しようとしたが失敗。しょうがないので、人間とヴァンパイアがタッグを組んで悪いヴァンパイアを捕まえる作戦に出たのであった。

【感想】

独創的でおもしろい。映画の舞台となるのはジェイムズタウンという架空のスラム都市だが、古いヨーロッパの雰囲気を基調にしつつのSF異世界である。古式なヴィクトリア調時代のように見える古い建物。第一次世界大戦下のドイツみたいな雰囲気もある。架空なんだけど架空じゃないみたいな、もうひとつの地球がそこにあるみたいな不思議な舞台装置である。

物語はサイラスとエドガーっていう兄弟ヴァンパイアの戦いに、リリーっていう女性刑事がヒロイン役である。ヴァンパイアの赤ちゃんっていうのが物語のキモになるんだけど、ベイビーにかわいいキバがはえてるのがおもしろかった。子猫みたいでかわいい。私の理解力が足りないせいかもしれないんだけど、ちょとワケワカメなぶぶんもあったのだが、なかなかおもしろかったのでパート2に期待。最後は露骨にクリフハンガーだった。

Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレオッケーな方のみこの下をスクロールしてご覧下さい↓

【ネタバレです】

人々を襲っている悪いヴァンパイアはエドガーという。それを追う善良なヴァンパイアはサイラスという。ふたりは兄弟である。この世界では、奇跡の赤ちゃんが産まれると、すなわちヴァンパイアが産まれると、強制的に母親から引き離されて『ブラザーフッド』に引き取られるというのが掟である。「ヴァンパイアは人間に奉仕しなくちゃいかん」というブラザー思想を叩き込まれるのだ。そんな戒律生活はアホくさいと思ってるのがエドガーで、彼はひとりで戦いを始めたというわけなのだった。

エドガーは単にひとを襲ってるワケではなくて、壮大な計画に基づいた上での行動だったというのが後半にて明かされる。じつは『ブラザーフッド』は何十年もまえから秘密のバイオ計画を進めていた。「ヴァンパイアは男しか産まれない」というのが彼らにとって不満であり、この奇跡の優勢種をもっと効率的に繁殖させたいと彼らは願い、科学の力で女性ヴァンパイアをバイオエンジニアリングしちゃおうと考えた。そしてそのためのウィルスをつくった。エドガーはそのウィルスキャリアである。よって彼は自分の血液をそこらじゅうの人間にバラまけばヴァンパイアの天下になると考えて過激な攻撃行動に出たということなのだった。世界を変えちゃおうとしたのだ。以下エドガーの台詞↓

"Everything flows from me. My blood will change the world."

ヒロイン役の女性刑事がさらわれたり、いろいろイベントがあって、最後はアクションドッカーンとあって、わるもんエドガーはやっつけられておしまい。わるもんは滅んだが、彼の血液を飲まされた女性から産まれた世界初の女性ヴァンパイアベイビーが発見され、リリーがママ役になって彼女を育てるのだ。てわけで続きはどうなるんでしょう。

【チョイ疑問が残った】

最後のほうで出てきてリリーを助けた善良ブラザーはナニモノ?いきなりあの登場は唐突すぎない??前にどっかで出てきたかなぁ。もうひとつ疑問が。エドガーが女性を襲ってからベイビーが産まれるまでの時間が早ワザすぎないか?彼はそんなに長く潜伏してたのかな。てかんじでチョイ理解できないぶぶんもあったがおもしろかったからまぁいいか。私、どっかで、なにかを聞き漏らしたかもしれません。この映画は宗教的なむずかしい英語の表現がたくさん出てきて、わからないぶぶんがあったので。

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原題: Perfect Creature
別題: Criatura Perfeita
Criaturas perfectas
La criatura perfecta
La fraternité
Tökéletes teremtmény
邦題(カタカナ): 『パーフェクト・クリーチャー』
制作年: 2006年
制作国: ニュージーランド/イギリス
公開日: 2005年5月 (フランス) (Cannes Film Market)
2007年7月5日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2007年7月5日 (アメリカ) (Fantasia Film Festival)
2007年7月17日 (アメリカ) (DVD)
2007年7月28日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2007年7月28日 (ニュージーランド) (Dunedin International Film Festival)
2007年8月16日 (ドイツ)
2007年10月5日 (日本) (DVD)
2007年10月18日 (ニュージーランド) (final release version)
2007年10月22日 (イギリス) (DVD)
2007年11月22日 (ロシア)
2008年1月18日 (スペイン)
2008年7月4日 (イタリア)
imdb.com: imdb.com :: Perfect Creature
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
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