映画|ビー・デビル|Bedevilled
不幸女がガガーと狂ってみんなをブッ殺す韓国のホラー映画。ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン、パク・チョンハク。監督チャン・チョルス。2010年。
ソウルの銀行で働く知的美人OLのヘウォンさん(チ・ソンウォン)は、殺伐とした都会生活に疲れてしまったもので、骨休みをしようと、久しぶりに故郷に帰ってきた。
※余談ですが、この映画の冒頭の銀行のシーンは『スペル (2009)』の始まりとよく似ています。ヘウォンさんもあっちのアリソン・ローマンと同じく、銀行の融資係をやってて、かわいそうな老婆に「おねげえしますだ!」と泣きつかれて「だめだめ」と断るのです。その後の展開はぜんぜんちがいますが、ヒデー目に遭うという点は同じ。
さて、ヘウォンさんの故郷は辺境の離れ小島。わずかな島民たちが百姓仕事をやってるだけの、貧乏な過疎島である。
小さな船に乗って着いたら、彼女の顔を覚えているひとたちがなんにんかいた。その中には懐かしい幼なじみのボンナムさん(ソ・ヨンヒ)もいて、大喜びで迎えてくれた。
ひさしぶりに田舎でゆっくりしたいですわ。
という調子で、バカンス気分で滞在するのであるが、そのうちに、この島の異常性があらわになってくる。
幼なじみのボンナムさんはまっくろけの日焼け顔に、陽気な笑顔を絶やさない、まさに『正しい農村のひと』という雰囲気のネーチャンであるが、じつは彼女は、夫(パク・チョンハク)とその兄弟に毎日いぢめられているのである。
この夫婦には小さな娘(Ji-Eun Lee)がいて、ボンナムさんはどんなに虐げられても、娘のためにがんばっているてことらしいんだが、閉鎖的な村社会の常として、虐待されるヨメに同情する者はおらず、村のジジババはみんな暴力亭主の肩を持つのである。あー、かわいそう。
そんなイヤーなムードのところに、なにも知らない都会女のヘウォンさんが闖入してきたという状況なんですね。
島の中で起きる陰惨な出来事が描かれつつ、ヘウォンさん、ボンナムさんという、ふたりの女の子供時代のフラッシュバックがありつつ、やがて大きな事件が起きたら、これまで我慢に我慢を重ねてきたボンナムさんの怒りが炸裂!
ジャジャーーン!うぉおおおりゃあああ!
狂ったボンナムさんはナタを片手に村人たちを襲います。役立たずの年寄りなんか死んじまえぇえ!ズダーーーーーーーン!ぐりぐりぎょおおえええええええ!
Min Jeさんが『ちょっと頭が足りないけど、いいひとキャラの売女役』を演じます。彼女のキャラはなかなかよかったですね。脇役として。
邦題『ビー・デビル』にて3月劇場公開
この映画は『ビー・デビル』という邦題で劇場公開決定。2011年3月26日シアターN渋谷で始まる他、全国各地の劇場で順次公開される。詳しくはこちら↓
トレイラー動画
感想
女同士の友情ってこんなもんですね。
という点がいやらしーく描かれていて、よかったとおもいました。ボンナムさんが狂ってしまったのは、夫やその兄弟にいぢわるをされたからなんだけど、幼なじみの都会女、ヘウォンさんの言動もまた彼女を狂わせた要因になっているのですね。女同士ってややこしいですなあ。ヘウォンさんは悪女ではないんだが、冷淡というか、なんというか、食えないキャラなんですね。純朴なボンナムさんとはぜんぜん違う。女同士の心理ドラマも見どころかなと。
ゴアゴア特殊効果はそれほどではないけどぼちぼちある。指を噛むところがよかったです。噛みつかれる方のアンちゃん(パク・チョンハク)の痛痛痛痛痛痛痛痛!演技が真に迫っていて、観ている私も顔がヒキツリました。あれはすごい熱演だったなあ。よかったなあ。
でもいくつか不満もあります。
私はこの映画を「韓国のレイプリベンジホラー。ハードコアな描写がすごいらしいよ」というような前評判を聞いていたので、最初に出てくる色白知的美人のヘウォンさんがソレなんだなと思って、こんなネーチャンが汚い貧乏島の荒くれ男たちにうりゃうりゃとヤラレてしまうのか!んでもって、ガガーと復讐するのか!と思ったら、ちがっていたよ。
狂っちまうのは、幼なじみのボンナムさんの方でした。彼女は野良仕事で足腰を鍛えていますから、ナタを振り回すところなんかサマになるし、最後の方ではデカハンマーを振り回してうぉおおおおりゃあああああ!とやってましたから、さすが農村の娘はちがうなとおもいました。
それはそれでいいんだが、やっぱりヘウォンさんが狂うところも観たかったなあ。ふたりとも狂っちまえばよかったのに!インテリ都会女と田舎農村女が両方狂って、ジジババをブッ殺す!そういうのも観たかったなあ。
ところで、最近、韓国ホラーといえば『悪魔を見た』という話題作があって、私は未見なのですが、ナマニクさんのレビューがノリノリですごいおもしろかったですよ。みんなも読ませてもらうといいですよ↓
これを読んだら、なんか知らんけどすごそうだ!とびっくりするんだけど、こちらの『ビー・デビル』はまた路線が違うかんじがする。
『ビー・デビル』はドラマ要素が多いので、ホラーとして見ると肩すかし感があるかもしれない。これが普段よく観るアメリカ映画だと、田舎町のダイナーに都会ネーチャンが入ったらおっかない地元住人がゾロゾロいて粘着視線を投げてくる、なんていうのはよくあるんで、ソレだと、またか!と思えてしまうけれど、『韓国の離れ小島』なんて私はよく知らないから、私には珍しいから、興味が持続したのかもしれない。だから期待外れな部分はあったけれど、おもしろかったですよ。
DVDのオマケ
私が持ってるのは先月発売されたUK版DVDですが、オマケはこれだけ↓
- Behind the scenes
- Trailer
- TV spot
韓国版もあるよ↓
画像
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Kim Bok-nam salinsageonui jeonmal | |
Bedevilled Bedevilled - Zeit der Vergeltung Be Devil Blood Island Cinnet Endemoniada | |
『ビー・デビル』 | |
2010年 | |
韓国 | |
2010年5月14日 (フランス) (Cannes Film Festival) 2010年8月19日 (ドイツ) (Berlin Fantasy Filmfest) 2010年9月2日 (韓国) 2010年9月3日 (フランス) (L'Étrange Festival) 2011年1月30日 (フランス) (Gérardmer Film Festival) 2011年2月25日 (日本) (Yubari International Fantastic Film Festival) 2011年2月28日 (イギリス) (DVD) 2011年3月26日 (日本) 2011年4月21日 (フランス) (Lyon Festival Hallucinations Collectives) 2011年5月3日 (フランス) (DVD) 2011年6月26日 (ロシア) (Moscow Film Festival) | |
imdb.com :: Kim Bok-nam salinsageonui jeonmal |
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- Min Je [imdb]
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映画「ビー・デビル」のどかな小島の鮮血ドバッ!の惨劇 - soramove
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2011/5/27, 12:31 AM