2011/3/16 (Wed) at 4:43 pm

映画|ドリーム・ホーム|Dream Home

高級アパート購入資金を必死で貯める不幸女が、みんなをブッ殺すゴアスラッシャーなホラー映画。香港。原題『維多利亞壹號』。ジョシー・ホー。監督パン・ホーチョン。2010年。

ドリーム・ホーム / Dream Home DVDDVD画像

映画の冒頭で字幕が出る。

香港てのは貧乏人ばかりで、おまけに住宅費がおそろしく高いのです。もうかんにんして。という内容の統計データが紹介される。

そして次のお言葉↓

「こんなキチガイシティに住んでたら、キチガイはキチガイになるしかありませんよ」

ジャジャーン。はじまりはじまり。

どっかの高級アパートに女が侵入する。警備員をブッ殺したあと、住居エリアに侵入し、妊婦やら、オッサンやら、アンチャンやら、ネーチャンやら、手当り次第にブッ殺す。このキチガイ娘はナニモノであるか。

シーンは変わって、カワイコちゃん(ジョシー・ホー)が登場。とってもきれいな顔だちをしてるが、じつのところ、この娘は不幸ナンバーワン。

こんなきれいなネーチャンなら、てきとうにOL仕事をやって、金持ちイケメン男とデートして、人生楽しくやっていればいいではないかと思うんだが、彼女は不幸女なので、その生活はおそろしく不幸である。

彼女は、ハーバービューに面した高級アパートを所有したい!いや、いかなる犠牲を払ってでも所有しなくてはならぬ!という欲望にとり憑かれている。

本業であるテレアポ仕事 + 複数バイトをかけもちし、得られる収入はすべて貯金。倹約貯金倹約貯金倹約貯金倹約貯金倹約貯金の毎日である。髪の毛一本、指のツメ、吐く息、それらすべてが不動産購入のために捧げられているといっても過言ではない。まさに骨の髄までガンディー女。人生 = 貯金。

こんな女にもいちおう男がいるんだが、これがドケチの妻子持ちで、sexしか頭にない醜男である。これほど生活を切り詰めてがんばっている彼女が、なぜこんな男とうだうだやってるのか不思議であるが、映画的にの話、彼女の悲惨さというもんを強調する必要があるのだろう。

さて、こんな調子で、日本に出稼ぎにきているネパール人でさえ真似できないほどの、非常なる、永遠の、倹約労働辛酸辛苦に耐え忍んできた彼女であるが、ついにその希望が叶う日が訪れる。おぉ。

や、やっとこさ、千載一遇、夢が叶う日がやってきましたよ。わたしも不動産オーナーですよ。この日のためにわたしはすべてを犠牲にしてきたんだ!もうだれも文句はいわせないぞ!わたしはやったんだ!つ、つ、ついに!やったんだあああああぁ!うれしいいいぞおおお!わっはっはー!

と思ったら、不幸な出来事が起きて、彼女の夢は全損クラッシュ。不幸女がさらに不幸になったら、こんどは狂女になってみんなをブッ殺し始めたよという話。

この娘はなぜこれほどまでに不動産を所有したいのか、また、なぜハーバービューじゃないとだめなのか、そしてさらに、なぜ彼女の夢は砕かれてしまったのか。

といった数々の謎がフラッシュバックで明かされつつ、夢破れた狂女がわっせわっせとみんなをブッ殺します。ハァハァ。

トレイラー動画

Dream Home (2010) trailer

日本公開デーは5月28日

邦題『ドリーム・ホーム』にて、2011年5月28日、シアターN渋谷ほか全国順次ロードショーだそうです。

公式Twitterを見ると、監督さんが最近日本に来てたそうで、インタビューしたとかいろいろ載ってて興味深い。

感想

凝縮感のある傑作ホラーでした。ブラボー!

『逆噴射家族』狂女ゴアゴア版ですな。

ゴアな特殊効果がよいことに加え、演出と俳優さんの演技がとてもよかった。ヤられるみなさんの、めんたまぎょろぎょろひぃぇええと怯えるところが真に迫っていて、見ているこっちもヒキツリ顔になってくるよ。

ジョシー・ホー演じるカワイコちゃんキラーがこれまたいい。彼女は常に無言で、ためらうことなく、ずがっ、と襲う。MCなしのキラーってのがいいですなあ。だいたいアメリカ人のキラーとか能書きが多いんですよね。こういう風に無言でガシッといく方がアジアのテイストに合う。

ずがっ、ぐさっ、うげ、ががぎぎ、ごつん、がつん。

肉が潰れ、骨が破壊され、血が散る音が耳に残るよう。北方謙三の暴力小説風。

そんな重量感のあるゴア描写をやりつつ、ホラー的なお遊び要素もある。飛び出た目玉が床に落ちてグシャと踏みつぶされるとか、ネーチャンの頭を○○にガンガン打ちつけたら○○の方が粉砕してしまうとか、悪趣味な笑いをまぜこぜにして攻めてくるなんて、じつに高度なワザではないか。板がバタバタもよかった(見たひとはわかる)。

アイデアを捻って、あーでもないこーでもないと考えながら、丁寧につくっていったんだろうなあと想像され、見ている方も楽しくなってきます。とてもすばらしい。こういう丁寧さというものに私は感動する!

こういうノリって、三池崇史監督や深作欣二監督に似ている気がする。多少は影響を受けているのかもしれない。あるいは、これがアジア道というものなのかもしれない。

あー、えらく褒めちぎってしまいましたが、コレを読んだら、最初から最初までゴアゴアですか、そりゃすごいですなあ、と思われそうなので、いちおう補足を書いておくけれども、うだうだもあるんですよ。

フラッシュバックのシーンが多くて、お涙頂戴とかタルいぶぶんもあった。そこらへんはアレなんだが、良い点が目立つので、多少のアラは許す!と思えてしまうのですね。

エンディングもいい。あんな絶体絶命のピンチでどうするんだろと思ったら(かなり強引なんだが)ヒョイと切り抜けてしまうなんて。そしてさらに、経済ニュースが最後のオチになるホラー映画なんて珍しいですねえ。

ぱちぱちぱち。

キラーを演じたジョシー・ホーはプロデューサーでもある

ドリーム・ホーム (2010)』は、主演女優であるジョシー・ホー、その夫、コンロイ・チャン、彼女のマネージャー、アンドリュー・オーイの3名が共同で設立した制作会社『852 Films』の初作品だそうな。ゆえにジョシー・ホーさんは、よりいっそうの気合いで演じたのですね。これからもエキサイティングな香港映画(ホラーを忘れないで!)をジャンジャカ出してほしいですなあ。

彼女のインタビュー↓

あとから追記。その後、852 Films製作の第2弾の映画も見ましたよ↓

特殊メイクを手がけたのはアンドリュー・リン

ドリーム・ホーム (2010)』の特殊メイク担当はアンドリュー・リンというんだが、このひとって俳優でもある。てか、たぶん俳優の方が有名ですね。この映画では出演ナシで裏方のみ。

アンドリューさんのブログに詳しく書いてあってメイキングの写真もあるよ↓

俳優と特殊メイクを兼業するというのは珍しい。上のブログを読むと「友達のコンロイ・チャン(プロデューサー。ジョシー・ホーの夫)に頼まれたもんで、メイクの仕事をやってきましたよ」なんつって書いてあるんだが、ずいぶん多才なんですなあ。

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原題: Wai dor lei ah yut ho
別題: Dream Home
Álomotthon
Hayalimdeki ev
Weiduoliya yi hao
邦題(カタカナ): 『ドリーム・ホーム』
制作年: 2010年
制作国: 香港
公開日: 2010年4月23日 (イタリア) (Far East Film Festival)
2010年4月25日 (アメリカ) (Tribeca Film Festival)
2010年5月13日 (香港)
2010年6月11日 (アメリカ) (Seattle International Film Festival)
2010年7月 (カナダ) (Fantasia International Film Festival)
2010年7月30日 (オーストラリア) (Melbourne International Film Festival)
2010年9月8日 (フランス) (L'Étrange Festival)
2010年10月11日 (スペイン) (Sitges International Fantastic Film Festival)
2010年11月19日 (イギリス)
2011年1月27日 (フランス) (Gérardmer Film Festival)
2011年2月9日 (アメリカ) (Video On Demand)
2011年2月25日 (日本) (Yubari International Fantastic Film Festival)
2011年5月28日 (日本) (Tokyo)
2011年8月9日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Wai dor lei ah yut ho
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
  • ドリーム・ホーム(Dream Home)/夢の高級マンションを手に入れろ! - 映画感想 * FRAGILE

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    2013/8/3, 11:34 PM

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