2015/7/5 (Sun) at 11:59 am

映画『まいちゃんの日常』MAI-CHAN's Daily Life:THE MOVIE

不死メイドの残虐インディーズ痛痛痛痛痛ゴアゴア変態ホラー映画。小司あん/赤根京/浪漫そあこ/丸山正吾。監督 佐藤サド。特殊メイク ゼライ直井。原作 氏賀Y太。2014年。

映画『まいちゃんの日常』MAI-CHAN"s Daily Life:THE MOVIE DVDDVD画像

どっかのお屋敷。

メイドに憧れるカワイコちゃんのミヤコさん(赤根京)が、メイド募集の広告を見て、メイド就職したらば、世にも稀な不死身メイドのまいちゃん(小司あん)と出会っておののく。

まいちゃんは優しい性格のドジ娘だが、ただのドジ娘にあらず。彼女は殺しても死なない特殊体質であり、めんたまをくりぬこうが、手足をチョン切ろうが、何をやっても死なないし、傷は残らない。時間が経つと肉体は完全に元に戻る。

こんなメイドは、残虐嗜好の変態愛好家にとって、唯一無比のお宝玩具であろう。死なない彼女は、無制限血塗れプレイのために飼われる運命を受け入れている。来る日も来る日も、まいちゃんは痛めつけられる。

死なないならなにをされてもいいじゃないか。と思うかもしれないが、それはちょっと違う。まいちゃんが不死身であるというのは事実だが、常に『痛い』という点がこの映画の味なのだ。魔人ブウみたいにホイと復活するのとは様子が異なる。

ヒデーことをされる度、まいちゃんは死ぬ苦しみを味わう。かわいいお顔は苦痛に歪む。いたいです。ご主人様。いたいです。やめてくださいー。

そんなに嫌なら逃げ出せばいいじゃないか。と思うかもしれないが、まいちゃんはどんなにひどい目に遭わされても、ずっとそこに居続ける。フリークス小屋のせむし男がそうであるように、自分の居場所はここしかない、と信じているようだ。トッド・ブラウニング風味の娘さんである。

お屋敷には女王様風情のメイド長の楓さん(浪漫そあこ)がいて、彼女はいわばプレイコーディネーターである。変態紳士たるご主人様(丸山正吾)の嗜好を知悉する彼女は、ありとあらゆるプレイを勘案し、めくるめく夜を演出する。ご主人様は、大喜びで、責められまいちゃんを見物する。変態の金持ちってのは、自分は手を出さず、見物をするのがキメなのだ。

こんな変態屋敷に足を踏み入れたカワイコちゃんメイドのミヤコさんは、「えれーところにきちゃったわたしどうしましょう」と心底ビビるが、死の淵から甦るまいちゃんを見るうち、彼女の内奥で、閉ざされた天岩戸が開き、甘美な変態レズビアン願望が覚醒する。

「もしかしてわたしは夢を見ているのかしら」

「わたしね、かわいそうなまいちゃんをみていると、すごくかわいいっておもえるの」

まいちゃんを食べたい。まいちゃんをぐちゃぐちゃにいためつけたい。まいちゃんの苦痛顔をずっと見ていたい。

ミヤコに痛めつけられるまいちゃん。チェーンソーでギタギタに切り裂かれるまいちゃん。ミヤコはそんなまいちゃんが愛おしくてたまらない。血塗れになってヒョエーと歓喜する美少女。内蔵を引きずり出して愛を囁く美少女。こんなコンビのあられない姿を見物することこそが変態ご主人様の夢であり、楓の真の意図であった。

血塗れレズビアンカップルは今日もわっせわっせと血と愛液を流し、まいちゃんは苦痛に悶絶する。ミヤコは快感に震える。プレイは永遠に続く。やめてくださいー。いたいですー。

トレイラー動画

MAI-CHAN's Daily Life:THE MOVIE

『第九回東京電撃映画祭』で『まいちゃんの日常』を観た!

先月、第九回東京電撃映画祭にいった。そのときの模様はこちら↓

そこで『まいちゃんの日常』を見て気に入り、その場でDVDを買った。まいちゃんを演じた小司あんちゃん + 佐藤サド監督 + 特殊メイクのゼライ直井さんと、直にお話ができてとてもよかった。

感想

イベント終了後、家に帰ってから、氏賀Y太原作の漫画も買って読み、もういちどちゃんとDVDを観た。あらためていうが、たいへんよかった。

映画と漫画では少し違う部分があって、映画なりの脚色がなされている。不死身であるゆえに、肉人形メイドの運命を与えられたまいちゃん。という設定は同じだが、いぢめ役の『ミヤコ』というキャラは佐藤監督が考えついた映画のキャラである。漫画では、ミヤコはいない代わりに、さゆりん(まいちゃんのペット。四肢切断女)、きずな(まいちゃんと同じく不死体質の坊や)てのが出てきて、まいちゃんが妊娠したりする。これがまたヒデー。

脚色されているが、原作漫画に通底する雰囲気が映画にもある。まいちゃんは痛苦を味わうためだけに存在する肉人形メイド。死の安息は与えられず、ひたすらに肉体損壊される。ところが、どんな傷を受けようが、時間が経つとケロリと復活。そこに現れるのはおきらくなドジ娘であり、「いたーい」とかいう。いったいどうなっているんだこの娘は。

まいちゃんはマゾ体質であるようには見えない。それならなぜ彼女は逃げないんだ。という疑問が湧くが、上に書いたように、彼女は自分のことをフリークス小屋のせむし男のように思っていて、自分の居場所はここ以外には考えられないと信じているみたいだ。

搾取される者は、搾取され続けているうち、搾取者を自分の保護者であるように勘違いする。そんな被搾取者の心理は我々一般人には(少なくとも私には)馴れ親しんだものだが、一般的な話、私たちは搾取されていたとしても、いつか搾取側に回れるかもしれない、という希望を持つことができる。しかし、まいちゃんにはそんな希望はない。残酷である。

東京電撃映画祭で見終わった直後は、ゴアゴアばかりに目がいき、佐藤監督に「あの白目はいいですねー」「あの内臓フィストファックは『ムカデ人間3』の腎臓レイプよりもいいです!」とかいってたんだが、家に帰ってDVDを見直したら、「この映画はとにかく痛い!」という点に気づいた。映画全編に渡り、痛みへのこだわりが強く感じられる。

ここでいう『痛み』とは、SMプレイのそれとは違う。まいちゃんが日々味わわされる責め苦は、肉体的にも精神的にもレイプそのものだから。彼女は四方から蹂躙され、切り裂かれ、見物される。痛いものは痛いのだ。快感になどなり得ない。

この映画のゴアゴアは気合いが入っている(特殊メイク by ゼライ直井)。ミヤコはまいちゃんのおなかを切って内臓を取り出し、グジュグジュやって、傷口にげんこつを出し入れする。まいちゃんはギャーギャーわめいて、のたうち回る。まいちゃんが最後の最後まで気絶しないのは、ミヤコという女が天性の拷問者であり、気絶させないコツを飲み込んでいるからだろうか。

まいちゃんの日常に、『ミヤコ』という触媒が混ざることにより、まいちゃんの目前に第三の世界がうっすらと見えてくる。これって愛なのかしら。こんなきもちになったのは生まれて初めて。しかし、愛だろうがなんだろうが、やっぱり痛い。やめてぇえ。

まいちゃんは『傷が治る』といっても、すぐには治らないというのがじつに痛い。めんたまをくりぬかれたら、数日のあいだは白目になっていたりする。本当に痛そうである。

全身バラバラになったら、さすがに回復に時間がかかるが、やがて復活してくるんだが、まだおなかに傷が残っている。そこにミヤコが「治ったらまたやろうね」といいつつ、彼女は我慢ができなくて、おめめうるうるとなり、まいちゃんの癒えない傷に指を差し入れてしまうのだ。まいちゃんはかわいいロリ声で「みやこちゃん、いたい」とかいう。あのなー。

人間には『馴れる』という技能があるが、こと痛みに関して『馴れる』ことはないように、個人的に思う。私は過去に大怪我をし、数ヶ月に渡り、痛い注射をいやっちゅうほどに何度も射たれたことがある。そんなやられたら馴れるだろうと思ったら大間違いで、逆に注射がこわくなる。だからまいちゃんもたいへんだろうと思った。彼女の痛みはどんどん倍加していくに違いないと思った。

東京電撃映画祭のコメンタリで小司あんちゃんが、次のように述べていたと記憶する。うろ覚えなので言葉はちがうかもしれないが、たしかこんなようなことをいっていた↓

小司あん「痛い演技をするにおいて、わたしはすごく迷った。それはむずかしかった。まいちゃんが痛いのはSMプレイ的な快感でなく、本式に痛いのである。そこをよく考えて演技をした」

いまDVDを見て、そのときの彼女の言葉を思い出し、なるほどー、と思った。

ハンブルグの映画祭で上映された

まいちゃんの日常』はハンブルク映画祭(JFFH)というドイツの映画祭で上映されたそうで、その模様はこちらに書かれてある↓

こちらはFacebook↓

監督さんのtwitter↓

『まいちゃんの日常』DVD発売中

アングラ風味のインディーズ映画ながらアマゾンでも売ってます。ランタイムは85分と書いてあるが、これは特典も含めた時間で、映画だけだと56分くらい。特典はインタビューやらメイキングやら色々と楽しいが、これのいちばんの見どころは、メイド服姿の氏賀Y太先生が出てくるところです。はははははは。

漫画『まいちゃんの日常』by 氏賀Y太

そしてこちらは原作の漫画。私も買った↓

この漫画が出たのはアマゾンの表記によれば2004年だが、じつは、映画リリース後に氏賀Y太先生が『ミヤコ』という映画だけのキャラが登場する漫画を描いたと監督さんに教わったんだが、私はそっちは読んでない。探したけどなかった。このページを見つけたが↓

上のページに行くと年齢認証の画面が出る。OKをクリックすると商品説明が出てきて、たぶんこれだなー、というかんじなんだが、残念ながら『注文不可』となって買えないのである。残念だー。

その後追記。

読みたいなーといってたら、監督さんが送ってくれた!感謝です。

さっそく読みましたところ、これはうってかわって、やってることはあいかわらずゲスいけれども、お笑いノリで進行するかんじでおもしろかったです。

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