第九回東京電撃映画祭「メイドin阿佐ヶ谷」+ CALL GIRL上映
チト遅くなったが、おまとめ報告を。
先月、6月20日、第九回東京電撃映画祭「メイドin阿佐ヶ谷」にいった。『CALL GIRL』を急きょ上映してもらえることになったので、ご挨拶にいった。
友松監督以下、関係者のみなさん、ありがとう。
挨拶する私
(CALL GIRL漫画の作者は倉林さんなんですけど)
私と友松監督の間にいるのは鳴瀬聖人監督
photo © SHIN
東京電撃映画祭では『オーディオコメンタリ上映』がなされる。私はこの言葉の意味がよくわからなかったんだが、その場にいって意味がわかった。つまりですね、スクリーンの横に関係者席があって(のどじまんの審査員みたいな)、友松監督以下、関係者数人が映画を見ながら、うだうだとしゃべるのである。だからコメンタリ上映。以下は『まいちゃんの日常』のコメンタリ風景である。
左から、佐藤サド監督、小司あんちゃん
ゼライ直井さん、友松監督
photo © SHIN
彼らがべらべらしゃべっているから、映画を落ち着いて観ていられない。観客の人たちは既にその映画のファンであることが多いから、その方がおもしろいのかもしれないが、初見の人にとっては「おまえら、うるさい!」といいたくなること必至である。しかし、後からその意味を聞いて「ほー」と思った。
「その映画を気に入ってじっくり観たい人にはDVDを買ってもらうんです(友松監督)」
こんな寸止め商法があるのかと驚いた。インディーズの人は色々と考えるもんである。と思いつつ、私も『まいちゃんの日常』のDVDを買った。その場で購入し、監督さんや女優さんにサインをもらえるから、いいおみやげになりますね。アマゾン価格よりも安かった。
『CALL GIRL』上映以後は、不肖、私もこのコメンタリ席によっこらしょうと座り、隣に美人女優さん(里見瑤子さん!おきれいであった!)、もう片方の隣には19歳の新進監督の鳴瀬聖人君(『きんたくん』おもしろいよ)という方々の間に入り、マイクを持って好き勝手なことをしゃべるということをやらかした。ご清聴ありがとうございました。
会場に紅井ユキヒデさんもいらっしゃったと後から知り、「お話をしたかったのに!」と残念に思った。でも、家に帰ってから、twitterでお近づきになれたからよかった。
以下、そのときに観た映画の感想です。
『まいちゃんの日常』を観た!
氏賀Y太先生の漫画『まいちゃんの日常』の映画化。たいへんよかった。これについては、後日、記事をアプします。
追記。その後、アプしました↓
『きんたくん第2話』を観た!
19歳の大阪芸大生、鳴瀬聖人(twitter@kiyotonaruse)監督による『童貞とオッパイ』が主題の短編映画。激安低予算ながら、おもしろいことを考えつくもんだと思った。
彼は『童貞』主題の映画を撮り続けていて、この『きんたくん第2話』はその連作のPART2であり、既に10話まで制作することが決まっているそうである。そして、この『童貞』というワードが、東京電撃映画祭の客層の心をグッと捉え、おじさんたちにウケているんだそうな。
私は彼の作品もさることながら、その人生というものに大きな興味を持った。彼と友松監督との出会い話はおもしろかった。詳しく書き出すと長文ロングになるからやめとくが、こんなスッキリ顔のアンちゃんがわざわざ大阪から東京までやってきて、汚いオッサンたちに突っつき回されるというこの状況を、本人はどのように捉えているのか。
私は彼に訊いてみた↓
「鳴瀬くんはここにくるときは童貞のフリをしているが、大阪に帰ればカワイコちゃんの彼女がいて、わっせわっせとヤッているのだろう。ぼくは関係者じゃないんだから、誰にもいわないから、そこらへんをチョロッと教えてくださいよ」と何度も尋ねたが、彼は頑として「ぼかあ、童貞です。彼女なんかいません」といっていた。ふぅむ。解せない。
確かに『童貞』というのは文学的な主題になり得るが、しかし、それは後から(脱童貞後に)そう思うのであって、童貞の当事者にとって童貞などというものはガラクタ以下であり、それを主題に映画をつくろうなんて、普通は思わないのではないか。なぜあなたはそれを思いついたのであるか。
そこが私の疑問だったんだが、明確な答えは得られなかった。しかし、彼が本気で真摯に童貞を見凝めていこうと考えているのだという点は、作品を見てわかった。彼は『攻める童貞』なのである。
これを読んでいる人の中には「どうせ素人の趣味人の学生のお遊び映画だろう。ケッ」と考える人も多いだろうが、しかし、なんと、彼の映画ではスクリーミング・マッド・ジョージが監修をしているのである。さらに、彼のバックには、『ゆきゆきて、神軍』の原一男がついており、そして、友松監督もいるのだ。
一見すると人当たりのよい、穏やかな顔の、この19歳の男は、うだうだとホラー映画を見ている私には想像もつかないような人々と日々渡り合っているのである。この先、彼がどうなっていくのか見守っていきたい。
『雇われの女 メイドの日記より』を観た!
90年代のピンク映画っていうか、エッチ映画っていうか、そういうの。上映コメンタリの中で、友松監督に、Vシネマ、ピンク映画、etc、といった分類用語の解説をしてもらって、そのときはわかったような気になったが、なんだかよく覚えてない。まぁいいや。
カワイコちゃんのメイドさん(里見瑤子さん)がどっかの金持ちのお屋敷で働きだしたら、ドロドロとした家庭内騒動に巻き込まれてヒーヒーする。テレノベラ風っていうのかね。すべてが懐古路線のエッチ映画だが、みんなとワイワイいって見ているとじつにおもしろい。楽しかった。
演技がいちいち大まじめで、シリアス場面になると、大げさにジャジャーンと音楽が鳴ったりする。いまの低予算映画を見馴れている目には、昔のヤツはていねいにつくられているなと思った。
左から、電撃チャックさん、里見瑤子さん
私、鳴瀬聖人君、友松監督
photo © SHIN
里見瑤子さんはきれいなひとだった。おめめが、お顔が、きらきらーとしているんだよね。まさに『ご尊顔』である。瞬く女優オーラに、ほぇー、と思った。4時過ぎくらいになったらさすがに眠くなったようで、ことんことんとなさっていたのを、私は横で盗み見た(伊集院静風)。どきどきしたー。
彼女目当てのお客さんが大勢いたと後から知り、熱烈ファンのみなさんを差し置いて、私なんぞが隣に座ってすまぬすまぬと思った。でもうれしかった。
『メイドロイド AI高感度センサー搭載』を観た!
『メイドロイド AI高感度センサー搭載』は友松監督の2008年の映画。吉沢明歩演じるメイドはロボメイドで、とある少年の世話をする目的でやってきたが、ある日、メイドさんは動かなくなり、やがて、少年はおじいさん(野上正義)になった。おじいさんはおじいさんになってもメイドが忘れられず、動かないメイドの世話を焼き、気がついたらおじいさんがメイドになっていたのか。という話に、レイプするロボとか、メイドロボをつくるメーカーの陰謀話とか、なんだかんだと賑々しい低予算SF映画である。
友松監督らしく、観ているとコッ恥ずかしくなるほどの切ない場面があり、「これは泣いた!」という人もいた。ひとりで部屋で観ていたらそんな風に思えるのだろうか。そこにノれるかどうかが好みの分かれ目なのだろう。
この映画は最後の上映だったが、これが始まったら、なんとなく静かになり、お客さんもコメンタリ陣も映画を見入るような雰囲気になった。「友松監督に敬意を表して、みんなはちゃんと観てるんだな」と思ったら、お客さんたちは寝ているのであった。まぁ、しょうがないか。
私も睡魔と闘いながら観た。映画の中でレイプロボが女の上に乗っかって腰をフリフリする場面があり、「これを『チャッピー』でやったら、間違いなく修正されるだろう」とホラーブロガー的見解を述べた。
余談だが、『チャッピー』修正騒動の後、iTunesUSで無修正のものを観たが、好きなひとにはすませんが、なにがおもしろいのかよくわからなくて、「なぜこんなもので修正どうこうで揉めていたのだろう」と不思議に感じた。
『CALL GIRL』をアテレコ上映
最後に『CALL GIRL』のことを書く。
『CALL GIRL』の上映は緊急に決まったので、字幕を用意できず、アテレコ上映をやった。ローレンスさんの声は電撃チャックさん。トリスタンさんの声は里見瑤子さん。大変におもしろかった。倉林さんもいてほしかった。電撃チャックさんがそのときの模様をブログに書いてくれた↓
後からこの話をジルさんに伝え↓
When we had screened Call Girl - short film at Tokyo Thunderbolt Film Festival, it was crazy cuz they had to prepare...
Posted by Hiro Fujii on Monday, June 22, 2015
「みんなでCALL GIRLを見ましたよ」つって、集合写真を見せたら、ジルさんは有頂天になった↓
Meet the gang that attended the Tokyo Thunderbolt Film Fest- all holding Call Girl Comic postcards- with Tristan Risk on the screen! 🇯󾓥#BigInJapan
Posted by Jill Gevargizian on Wednesday, June 24, 2015
ジルさんは私にメッセージを寄こして「わたしゃ泣けた」「電撃さんの発言を読んだら泣けた」「里見さんにも泣けた」といい、この集合写真を自分のfacebookのヘッダ画像にしたほどである。以下のpostにもその喜びが書かれてある。彼女の言葉を演歌にして、石川さゆりに歌わせたいと私は思った↓
コメント欄より友松監督のお言葉↓
友松直之「喜んでもらえて何よりですね。気持ちのいいエール交換になりました。短編だろうが長編だろうが、どっちにしてもセックスも暴力も残酷描写も世界的に規制の方向に進む現代。血飛沫も内臓も撮れないなんて、そんな馬鹿な話はありません。我々は不遇な時代に負けずにスクリーンを血とおっぱいで埋め尽くさなければいけないのです。海のそっちとこっちでこれからもお互いに頑張りましょう。新作にも期待します。その時は是非ご一報ください。」
Naoyuki Tomomatsu "I am glad you love what we did. It is great exchange between you and me. Looking at what is happening in real world, whether it was a short film or a feature-length, they say all imaginary/depiction of sex/violence/cruelty are supposed to be hidden from people's eyes. They say we cannot shoot what we want to shoot. WTF!? We want to shoot blood and guts! We want to cover the entire screen by blood and boobs in every inch! in every moment! You and I need to confont this brutal world. So you fight. I fight. I'm looking forward to seeing your next film in the future. Please keep in touch."
ジルさんばかりでなく、彼女の周辺のみなさんからもたくさんメッセージをもらった。ガオー女を演じたトリスタンさんも大喜び↓
I'm big in Japan and banned in Germany. 2015 is turning out okay. #approved
— Tristan Risk (@littlemissrisk) June 25, 2015
Ermahgerd! Hi there, Japan! You guys are giving me some serious pains of love inside! https://t.co/7GK19KgCVO
— Tristan Risk (@littlemissrisk) June 24, 2015
※上のトリスタンさんの「わたしゃドイツでbanされた」というのは、『ABCs Of The Death2』の中の彼女が出演しているヤツ(ソスカ姉妹監督)が、ドイツ版でまるごとカットされた話です。
と、こんな調子で、私はたいへんうれしかったのである。みなさん、ありがとう。
じつは、この後において、さらにびっくりジャパンネタが出てきたんだが、それはまだ秘密にしておく。
第十回東京電撃映画祭 小司あんVS若林美保
そして、早くも次なる第十回東京電撃映画祭の予定が決まっている。相変わらず友松監督の文章はおもしろい↓
次回の目玉は友松監督の新作『恋愛死体(ラブゾンビ)』だが、この日に新作映画が上映されるのではなく、やるのはチラ見せ予告編程度で、なんとこの映画祭において、同新作の撮影をやるんだそうな。うへー。
※上映&トーク終了後、新作「恋愛死体(ラブゾンビ)」の撮影となります。希望者はそのままエキストラ参加していただけます。
なにしろハプニングが売りのイベントなので、いって初めてわかるギョギョギョな企画があると思われ、興味のある方はいってみるといいですよ。
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