福島原発について、私はこう思うのだ

野生動物に襲われて食われてしまうとか、地割れに呑み込まれて死ぬとか、雷に打たれて死ぬとか、大津波に家ごとさらわれて海のもくずになるとかいうのは、人間として、あきらめがつく死に方ではないかと思う。だれを恨んでもしょうがない。空から巨大な手が降りてきて、ヒョイと捕まって、ヒョイとブッ殺された。そんだけ。人間ってムシケラと変わらないなあという気がする。

が、しかし、原子力発電所のせいでヒデー目に遭ったひとたちは別である。原発のせいで住む家がなくなったひと、死んだひと、家族を失ったひと、今後放射能汚染の危険に心配しながら生きていかねばならないひとの腹立ちというのは、私には想像するしかないのだが、じつにまったく腹が立つだろうなあと思う。だって、そこに原発がなければ、彼らはそんな目に遭わなかったのだから。東京様に電気を送り続けるために犠牲になったひとたちは、時代劇に出てくる水呑み百姓扱いではないか！

世間では、今後の原発行政について議論が交わされているが、いろんなひとたちがいろんなことをしゃべっているが、まず、現在において、可及的速やかに論じなければならないのは、被災したひとたちにどうやって納得してもらえるようにするか、という点ではないか。失われた人間の尊厳をなんとか取り戻して頂けるようにするにはどうすりゃいいのかを考えなければならないのではないか。

しかるに、政府や東京電力の言い草を聞いていると、甚だ頼りないので腹が立つ。

「1000年に一度の未曾有の出来事でありまして、二十三重に措置された安全装置が、今回はだめだったのでございます」

とか、

「被災者のみなさんに補償をするといいましても、その金額は天文学数字になるのでございまして、うーん、どうしたものか、東電だけでは無理なんで、政府のほうにも出してもらってどーのこーの」

ばかやろうめ。なにをいってるんだ、こいつらは。

カネがいくらかかろうが、きちっと補償をしなさいよ。北海道か沖縄かどこでもいいんで、巨大な町を政府がつくるのだ。そこにはきれいなアパートも一戸建ての家もデパートも食品スーパーも映画館もなんでもあるのである。ホラー映画のラインナップをきちっと入れといてほしい。

んで、総理大臣が自ら被災者のみなさんのところにいってこういうのだ。

「住み慣れた土地を離れるのはとてもお辛いでしょうけれども、どうかどうか、私どもの用意した町に移って頂いて、安全な暮らしを取り戻してくださいませ。お怒りはごもっともではございますが、政府として、みなさんにできるのは、これが精一杯なのでございます。本当にごめんなさいでした」

そこに、自衛隊のでっかい輸送機がどどーんと着陸して、みんなを乗せて新しい土地にいくのだ。イケメン自衛隊員がおばあちゃんに手を貸したり、子供をおんぶしたりするのだ。泣けるじゃないか！日本人はえらい！つって、CNNも取材にくるよ。

原発でヒデー目に遭ったひとたちの中には、立派な志を持つひともいるかもしれない。そういうひとはこれをバネに、社会に貢献するような人材に育つのかもしれない。

が、しかし、その逆に、社会に対する恨みを募らせ、あったまにくるぜ、ばっかやろおおおおおおお！と叫んで、シリアルキラーになるヤツも出てくるかもしれない。そういうキチガイを生むことは公共の利益に反する。キチガイを産まないためにも、日本っていい国だなあと思えるようなことを、超超超超超超超超超法規的な措置で行うべきではないか。

そんな巨大な町をつくって、お年寄りから赤ちゃんまですべてのひとたちを面倒見るというのは、ものすごくお金がかかるだろうが、それがいつか立派な町に育って、町として税金を納められるようになれば、長い目で見ればトクではないか。むずかしい経済成長の計算などを私に聞かれても困る。だれか頭のいい学者さんにやってもらいたいです。

それをやった上で、原発をなくすのか、あるいは、もっと安全な原発を開発してこれからも原発を使っていくのか、そういう議論をやってほしい。

と思うのであります。おしまい。

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