!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|ムカデ人間2|The Human Centipede II (Full Sequence)』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレ結末
ムカデ人間マニアの孤独男、マーティンは、駐車場にくる連中やら、同じアパートに住む騒音男(リー・ニコラス・ハリス)やら、手当たり次第に襲う。大きな倉庫を借りて犠牲者たちを拉致監禁。
彼のやり方はとても単純。まずは銃で重傷を負わせる。痛がる相手をバールで殴る。ガムテで縛る。バンに押し込む。おしまい。バールを振り上げる場面を見ていると、ブッ殺してるだろ、というくらい派手に殴りつけているが、手加減をしているようである。相手にすればチビのキモ男が寄ってきたと思ったらいきなりズドンである。これは逃げられません。
マーティンは母親(Vivien Bridson)とふたり暮らし。友達はペットのムカデのみ。かつてマーティンは父親に虐待されていたそうな。母親はマーティンに愛想を尽かしており、息子を殺して自分も死にたいと思っている。彼女は、ある日、彼がだいじにしているアルバムを発見するや、頭にきてビリビリ破いてしまう。怒ったマーティンは彼女をブッ殺した。
また、母親が連れてきた医者(Bill Hutchens)も殺した。こいつは口では善人ぶっているんだが、じつは変態の偽善者である。だから殺したんだけれども、マーティンの行動パターン(殺すかどうかの判断基準)が私にはやや不思議に思える。「憎いヤツは殺さずにムカデ人間にしてやる!」という発想はないみたいですな。
こんなシーンの合間に、例の、あれだ、紙ヤスリオナニーもある。チンコに紙ヤスリを巻きつけてガシガシズリズリやるのである。オカズは人間ムカデ。この痛みがたまんないらしいです。いったいなにを考えているんでしょうか。偶然これを目撃しておったまげたネーチャンたちも拉致された。
そうこうしつつ、マーティンは前作『ムカデ人間 (2009)』の俳優3名のエージェントとやりとりし「タランティーノ映画のオーディションがロンドンで行われる」と嘘をつき、彼らをおびき寄せようとする。彼は積年の夢を叶えるにおいて、この3人がどうしても必要であると考えたのであろう。結果、北村昭博とアシュリー・C・ウィリアムズはだめだったが、アシュリン・イェニーはワナにはまってしまう。
彼女はセレブ気取りでロンドンに到着。マーティンは運転手を装い、彼女を倉庫に連れてくる。タランティーノのオーディションがあると信じてやってきたイェニー嬢はわくわくで、マーティン相手にぺちゃくちゃしゃべる↓
「『ムカデ人間』観た?あれね、医学的にほんとにできちゃうんですって!もしあなたがお医者なら、あんなことほんとにできちゃうの!こわいわよね。ンー、もう!ちょっと、傘、ないの?雨でヘアがくずれちゃうわん、うっふん!」
てな調子で舞い上がっているので、まったく異変に気づかない。ホイと捕まっちゃう。天国から地獄である。事務所の責任問題が気になります。
総勢12名の実験台を確保することに成功したマーティンは次なる行動に移る。その日は近いぞ。
幾度も映画を観てきたマーティンであるからして、ムカデ人間制作の手順は完全に熟知している(つもり)であるが、それでも彼は慎重にDVDを見直し、ハイター博士のスケッチを真似して描いてみたりする。さてさて、いきますか。
自信満々で取り組んだが、思ったようにいかない。歯をトンカチでばんばん折ったり、膝を切って、軟骨(みたいなの)をニューと引き出し、ハサミでチョッキン、くらいまではなんとかできたが、肝心の口とお尻をつなぐのがぜんぜんだめ。
かつてハイター博士は人間同士を合体させるため、特別の人工物を考案し、複雑な外科手術を行ったが、マーティンにそんなワザを真似できるわけもなく、へたくそをやって2名を死亡させてしまう。悲しみに暮れるマーティンさん。
もうしょうがねぇか、と取り出したのは大型のステープル。大工さんが使う大型のホチキスみたいな道具である。これを使って、パチパチやれば簡単です。ホイホイと口とお尻を連結させていく。倉庫内に犠牲者たちの絶叫が響き渡るが、マーティンにとっては祝福のファンファーレである。かくして10人連結の長蛇人間ムカデは完成。おぉおおお。ついにやったぞ。夢を叶えて感涙にむせぶマーティンさん。
至福のひととき。万里の長城を建設した始皇帝もこんなきもちだったのだろうか。ハイター博士がやったように、ムカデ人間に鏡を見せてご満悦。先端トップの位置を占めるのはイェニー嬢である。彼女は深く後悔するが、もう遅いのです。
マーティンは彼女の顔の前にボウルを置き、缶詰を開けて、食えと命じる。イェニー嬢は怒ってボウルをぶん投げる。怒ったマーティンは大きな漏斗を持ってきて、その管を彼女の口にグイグイと押し込み、缶詰スープを流し込むという強制食餌を行う。ギャーギャーわめくイェニー嬢に腹を立て、彼女の舌をペンチで引っこ抜く。そして10人全員に下剤を注射。
そう、マーティンは『ムカデ人間 (2009)』のあの場面、カツローがウンコを漏らしてしまうシーンを再現したいのである。あの場面では、ハイター博士が歓喜極まる声で「ビッチめ!ウンコを食え食え!」と叫んでいたが、あれを自分もやりたいのである。
10名の不幸なみなさんはマーティンの意図を知り、深く絶望する。各人は多大なる忍耐を払い、襲ってくる便意と闘う。こんな悲劇的な状況においてさえ、自分のお尻に連結された後続者を見舞うであろう不幸を回避したいと願うなんて、人間とはいかに慈悲深い動物であるか。だが、いかに地球的な博愛をもってしても、生理的な便意はいかんともしがたいのである。
ブリッ。ブ、ブ、ブ、ブ、ブ、ブ。
我慢しきれずチョロッと漏らしてしまうと、もうとまらない。土石流が堤防を決壊させるが如く、である。
ブリブリビビビビブブッ!ブブッ!ブブッ!ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビッ。ブリブリー!
倉庫中に排泄の音が響き渡り、たちまちスカトロの館と化す。10名のうち、先端と後端を除く8名は「他人のウンコを口に押し込まれながら、他人の口に排泄する」という、世にもまれな、前後恥辱プレイにまみれているのである。まさにスカトロ・ハードコア。よだれとウンコの混合物に汚れ、悲鳴をあげる自由さえ与えられない。
モノクロ映像にウンコだけが茶色く着色されているという憎い演出に、あなたの胸は締めつけられます。
マーティンは大喜びで10人連結ムカデがのたうつさまを見物していたが、充満する悪臭に耐えきれず、こりゃまたちょっとやりすぎちゃったかな、てな具合にゲロを吐く。
でもまだ終わらない。
稀代のムカデ人間愛好者であり、稀代の自虐オナニストでもあるマーティンは、ムカデ人間の最後尾に立つ。そしてチンコを取り出す。こんどはエッチするんだ。と思ったら、なにやら準備を始めるではないか。
彼が手に持つのは鉄条網。針金がトゲトゲになってるあれである。それをチンコに巻きつけ、最後尾ネーチャンのバックから挿入したのであった。ギョェエエエオオ!
いわば、あれだ、ヤクザが好む真珠埋め込みチンコの針金トゲトゲ版です。
汗だくマーティンは恍惚の表情でぐわんぐわんと腰を振る。すると10人連結ムカデ人間は、日本海の荒波にもまれるが如く、ゆらゆらと揺れる。信じられない光景。
最後尾の女はもがき、暴れ、死に物狂いであるが、逃げられない。他の9名はこのときいったいどんな心境だったのか。ただならぬ気配から察し、一番後ろのネーチャンがレイプされているんだな、と気づく者は多かっただろう。しかし、それが鉄条網巻きつけチンコであると誰が知り得たであろうか。このときマーティンはもしかしたらアナルを選んだのかもしれない。映像ではわからなかったが、十分その可能性はある。
レイプ映像はえんえんと続く。
あー、かわいそう。
と思ったところで、倉庫のはじっこで意外な動きが。
死んだと思われていた女が息を吹き返したのである。おぉおお。彼女は妊婦で、おなかの赤ちゃんと共に死亡したと思われていたが、ギリギリ生きてたんですな。急に産気づいたものだから意識が戻った模様。よたよたと歩き出して、逃げ道を探す。母の生存本能とはかくも偉大である。
隙をついて倉庫の外へ出ることに成功。が、すぐにマーティンが追ってくる。彼女は倉庫の前に止めてあった車に逃げ込んでドアをロック。マーティンは子供のように泣きわめいて窓ガラスを叩く。女は運転席で絶叫する。陣痛が始まったみたい。こわいわ、いたいわ、もうたいへん。必死でキーを回す。
彼女は車内で出産しちゃう。赤ちゃんがべろんと出てきて足下に転がるが、彼女にとっては『逃げる』ことが先決である。逃げる。とにかく逃げたい。安全な場所にいきたい。アクセルペダルを思い切り踏んづける。したら、産まれたばかりの胎児をペシャンコに踏んづけてしまう。彼女はそんな大ミスに気づくことなく、車を出してようやく脱出。ハァハァ。
残されたマーティンはしばし呆然。チンコを出しっ放しだったことに気づいてパンツにしまう。外は大雨。
このとき、倉庫内でも反乱が起きていた。ムカデ人間たちは思い思いにのたうち回り、ついに連結が一カ所外れる。2つに分裂したムカデ人間はざわざわと動き回り、こちらも逃げ道を探す。そこにマーティンが戻ってくる。
もはやこれまで。マーティンはひとりづつ殺害するのであるが、先端のイェニー嬢だけは「もったいないなあ」という顔で逡巡する。
イェニーさんはファイトイッパァアアアアツ!後続者たちをひきずって反撃開始!決死のキンタマ潰しだ!
いたーい!と倒れるマーティンのケツに漏斗をブチ込む。そして、彼のペットであるムカデを肛門に入れてやった。すごい荒技。これはたまらない。まさに『ムカデをもってムカデを制す』である。
しかしマーティンも負けておらず、くそったれ、と立ち上がると、イェニー嬢の首のあたりをナイフで一閃。反撃の反撃である。彼女はついに倒れる。
倉庫には連結ムカデ人間の無惨な死体が横たわっている。もしその場にいたら、血とウンコが混じり合う悪臭はすさまじいであろう。その臭気だけで花は枯れ、人は発狂するであろう。
肛門からムカデを注入されたマーティンは強烈な腹痛を覚える。悶絶し、おなかを押さえつつ、よたよたと歩く。カメラの前から消える。倉庫から出ていった模様。
最後のシーン。
マーティンはいつもの駐車場の警備室にいて、ムカデ人間のDVDを観ている。てことは、彼はどうやってか生き残ったんだな。
おしまい。
※イェニーさんは限りなく死亡のかんじだが、ぴくぴくと動いていたような。
※マーティンがムカデ人間を完成させたところで、再びアメリカのエージェントから連絡があり「北村昭博とアシュリー・C・ウィリアムズはムリと知らせたが、予定が変わった。ぜひオーディションに参加させてください」というメッセージが流れた。マーティンはこれを無視したようだが、もしかしたら次回作パート3に続く伏線になるかもしれない。
※唯一逃げのびた妊婦さんは車内で出産し、胎児を踏みつぶしたが、彼女にはもうひとり赤ちゃんがいた。マーティンはあの赤ちゃんをだっこしてあやして車に置き去りにしてきただけだったが、その後どうなったんでしょう。最後のシーンで赤ん坊の泣き声が聞こえていたが、あれがそうなのかな。
※マーティンは変態のキチガイですけど、赤ちゃんには優しいんですかね。ムカデの目にも涙?
※マーティンの宝物『ムカデ人間アルバム』はローレンス・R・ハーヴィーが自分でつくったそうです。コメンタリより。ああいうものを自分でつくって、役づくりに没頭するわけですな。
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