!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『怪談 牡丹燈籠 - 螢火の巻(日本怪談劇場)』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレあらすじ
『怪談 牡丹燈籠 - 鬼火の巻』の続き。
伴蔵(戸浦六宏)、おみね(阿部寿美子)の夫婦は、新三郎(田村亮)を殺害し、100両なる大金と純金製の観音如来像を盗んだのち、潮来(いたこ。茨城県の地方都市)にやってきた。
ふたりは100両を元手に荒物問屋の関口屋を立ち上げ、大成功。いまじゃ伴蔵はいっぱしの旦那様風情である。貧乏長屋時代の面影はとうにありません。大したもんですなあ。
伴蔵は旦那風を吹かせてブイブイいわせ、船宿で芸者遊びにうつつを抜かすのであるが、ここでお国(長谷川待子)と出会う。ふたりはお互いの過去の因縁を知らない。
さて、お国(長谷川待子)ってのは、元は旗本の奥方後妻であり、『怪談 牡丹燈籠 - 鬼火の巻』にて継子のお露(金井由美)をイビリ殺した悪女である。彼女は愛人である源次郎(大塚国夫)と結託し、夫である平左衛門(近藤準)を殺害したのち、愛の逃避行に走ったが、ふたりはお金がないんで、お国が酌婦をやって稼いでいるらしい。源次郎はヒモ生活。
こんなことなら旗本の奥方様をやってる方がラクなんじゃね、と思うが、本人は悲愴感などまるでなく、その日暮らしの生活を楽しんでいるよう。スリル好きの女なんですな。
そうこうやってるうちに、伴蔵がお国に入れあげるもんで、おみねの機嫌が悪くなって夫婦喧嘩になる。「あの観音様はどこに隠したのさ!」「へっへっへっ」とかいってるんで、伴蔵は例の純金のお宝、観音如来像を誰にも知らないところに隠して、妻おみねにさえ、隠し場所を教えてないらしい。食えない男ですな。
夫婦喧嘩の末に、伴蔵はおみねを殺害。追いはぎに襲われたってことにして、ブッ殺した。邪魔な古女房を処分し、少々ほとぼりを冷ましたのち、お国を女房として迎え入れ、おきらくにやっていこうではないかという心づもりであったが、そう簡単には進まない。
使用人のオバちゃん、おます(三戸部スエ)が狂いだして、伴蔵の秘密をべらべらしゃべりだす。殺したおみねの亡霊が乗り移ってるらしい。こりゃ困ったつって医者を呼んだら、そこにやってきたのは、貧乏長屋時代の古友達の志丈(名古屋章)であった。
志丈は医者をやってるくらいだから切れる男である。ササッと状況を把握するや、あー、おまえがみんなを殺したんだなー、わるいやつだなー、とバレちまって、分け前を要求され、まぁしょうがねえか、と思ってたら、こんどは、もうひとりの使用人、仲助(穂積隆信)までもが伴蔵の秘密を嗅ぎつけ、チョロッとお金をくださいよテヘへ、なんていいやがって、さらに、お国の愛人のヒモ男の源次郎も出てきて、あれはおれの女房なんだぞ、カネ払え、なんつって、もうあっちこっちから請求書の嵐で、伴蔵はひーこらする。
欲の皮の突っ張った連中がワンサカ出てきて、伴蔵は四方からカネくれカネくれカネくれカネくれカネくれとせっつかれ、おまけに殺したおみねのオバケがジャジャーンと出てきて、冷や汗ダラダラのピンチになるが、彼の強みは例の観音如来像である。あれの隠し場所を知ってるのは伴蔵だけだから。
江戸に舞台が移る。
あの貧乏長屋によくばり連中が押し寄せて、純金の観音様を巡って争いが繰り広げられるが、結局、最後は関係者全死亡。伴蔵もぶくぶくと沼に沈んでいった。
わるもんどもが死に絶え、誰もいなくなり、静まり返る長屋の側には、新三郎とお露のオバケが仲良く悲しげに佇んでいました。
おしまい。
※ちょと補足。
めくらの乞食ババアのゴゼさん(加藤欣子)は相変わらず、要所要所でチョロッと顔を出し、よくばり連中が醜い争いをやってるのを、潰れた両目でギロリと睨みつけているのであったが、彼女は志丈に情報を流す役目だったと明かされた。といっても、彼女は志丈に対し、恩や義理があったわけでなく、カネ目的でもなかったと思われる。
わるもんどもが地獄に堕ちていくのを手助けするというか、あの世とこの世の橋渡しをやってるというか、その姿は死神のようであり、はたまた、天使のようでもあり、じつに不思議で奇怪なバアさんであった。
最下層貧民のめくら乞食にそんな役回りを演じさせるというのが、じつに、中川信夫流ですな。と思ったんだが、これは原作のあるお話なので、ゴゼという老婆のキャラ設定は中川監督の創作というわけではないのだろうか。原作の方はよく知らないのです。
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