!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『怪談 牡丹燈籠 - 鬼火の巻(日本怪談劇場)』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレあらすじ
新三郎さん(田村亮)は、貧乏長屋暮らしのしがない傘ハリ浪人(でも男前)。ヒョンなことから、金持ち旗本の箱入り娘のカワイコちゃん、お露さん(金井由美)と知り合ったら、夜毎、彼女は長屋に通ってくるようになった。
中年女の下女、お米(宮内順子)を従え、牡丹模様の燈籠を手に持ち、夜道を歩いてやってくるのである。可憐なお姫様がこんな汚い長屋にくるのはおそろしく場違いなんだが、彼女は新三郎さんにメロメロなんですな。
新三郎とお露が知り合ったのは、同じ長屋に住む伴蔵(戸浦六宏)と、志丈(名古屋章)というオッサンの引き合わせであった。伴蔵は貧乏暮らしに飽き飽きしている小悪党風情の男で、彼は「このふたりがくっついちまえば、相手は金持ち娘だから、こっちもおこぼれを頂戴できるかなー」なんて、浅知恵を働かせたらしいですな。
新三郎とお露は夜毎のお忍びデートで盛り上がるが、新三郎はすかんぴんの浪人風情であるから、お露の父、平左衛門(近藤準)に結婚を許してもらえるわけもなく「あぁああ、しんざぶろうさまああ」「おつゆどのおおお」なんつって、かなわぬ恋に身を焦がす日々を送りつつ、そうこうやってるうちに、お露はぽっくり死んでしまう。
元々病弱だったことに加え、新三郎との恋に悩んでいたところに、いぢわるな継母、お国(長谷川待子)にねちねちイビられて、ロウソクの火が消えるみたいに死んじゃったらしい。お露と仲良しだった下女のお米も後追い自殺。
したら、お露とお米のオバケが長屋にやってくるようになった。以前と同じ調子で、牡丹燈籠をかざして、ふたりのオバケが歩いてくるのである。生きてた頃からオバケみたいなコンビであったが、こうなるとますます本式のオバケである。
このままでは新三郎の身が危ないと心配したお坊さんの良石(内田朝雄)は一計を案じ、魔除けのお札と霊験新たかな観音如来像(純金製!)を新三郎にくれた。
お札を長屋の外に貼って、観音如来像を肌身離さず持っていれば、オバケは家に入って来れないということで、それは効果絶大だったんだが、ここで小悪党の伴蔵がカネ欲しさにいたずらをやる。
彼はお露のオバケに出会って、びっくり仰天。腰を抜かしつつも「100両くれたら、お札も観音様もなくしてあげますヨ!」なんつったら、ほんとにオバケがお金を持ってくるではないか。伴蔵は妻のおみね(阿部寿美子)といっしょにチョコマカと動き回り、お札をとっぱらったり、観音様をスリ替えたりと妨害工作に精を出し、オバケの恋を応援する。さらに伴蔵自ら手を下し、新三郎を殺害。うげえぇええええ。
伴蔵/おみねの悪党夫婦は、若いふたりの死体を前にナンマンダブツと念仏を唱えたら、100両のカネと金無垢の観音如来像を奪って、アバヨとトンヅラ。
わっはっはー。ふたりは笑いが止まらない。
という話の一方で、お露の継母、お国のサブストーリィも同時進行します。
お露の父、平左衛門の後妻、お国は悪女である。主人に隠れてお露をいぢめたり、若いイケメン男の源次郎(大塚国夫)と浮気をしてイヒヒと遊んでいたんだが、お露が死んだら、かねてより計画していた夫殺害を実行に移す。
彼女は源次郎と結託。夫をブッ殺したが、部屋にあったはずの100両がなくなっていたから「くそォ!」と悔しがる。お露のオバケが持っていったあとだったんですな。お国は100両を諦め、源次郎と共に不義密通逃避行の旅に出る。
こちらも悪女らしく「わっはっはー」と笑って、スリリングなわるもん人生を楽しんでいます。
これにて、前半『鬼火の巻』はおしまいなんだが、上のあらすじでは割愛したんだが、物語の要所要所で、めくらの乞食ババア(加藤欣子)が登場します。彼女はゴゼと呼ばれているんだが、これは名前じゃなく『瞽女』と書いてゴゼと読むんだそうで、めくらの女芸人乞食をこう呼ぶそうな。
ゴゼババアは少女の年頃の娘さん(黒須薫)を連れて、いつもそこらへんを歩いています。とことんみすぼらしい身なりで、貧乏長屋の連中に小銭をめぐんでもらうくらいなので、貧乏のそのまた下の最下層カーストに属する超絶貧乏人。彼女は台詞ゼロなんだが、物語の要所になると常に近くの暗闇に佇み、潰れた目を向けて、ギロリと睨んでいる。ゴゼさんの存在はおそろしく不気味です。
『怪談 牡丹燈籠 - 螢火の巻』に続く。
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