!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|アフターライフ|After.Life』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ここからネタバレですよ。
結局のところ、彼女は死んでなかった。葬儀屋の「死者の声が聞ける」オカルト能力はじつはインチキで、彼は『死を偽装できる薬物』てのを使って検死の目をだまくらかしていたということであった。それを注射するとあたかも死んだようになり、心臓も止まってしまうのである。この薬物は持続時間が限られており、時間が経つとアナは目が覚めてしゃべりだす。オッサンは適当に話し相手になるんだが、バレそうになるとプスリと注射をする。痛みを感じないみたいだが、それも薬物のせいであろう。注射をすると彼女はまた死んだようになる。
アナは何度も目を覚まして「わたしは生きてるじゃないか」とジタバタし逃げようとするんだが、最後には説得されてほんとに死んだきもちになり、生きることをあきらめる。と、書いてしまうと簡単だが、彼女が死を受け入れるようになるまでいくつかのイベントがある。くわしくは映画でどうぞ。ヒヨコのお話とか、兄弟が死んだ警官が葬儀屋にやってきてバレそうになるところとか、いくつかおもしろいシーンがあった。
そこらへんはよかったんだが、私が好きじゃないのは、恋人であるジャスティン・ロングが葬儀屋の地下に突入するところである。彼は家族じゃないので「葬式までは彼女に会えません」といわれて(法律ではそう決まってる)、むかむかしてたのだが、アナの教え子に「窓から先生を見た」と聞いて「葬儀屋は嘘つきなんじゃないか」と疑うようになり、ガガガーと突入していったのです。
制止を振り切って地下に突入し、扉の前までやってきて「カギを開けろ!」と押し問答をする。そのとき、彼女はドアの向こうにカレシが来てるのを知ってるんだが、もう自分は死んでると思ってるので、悲しくうなだれて黙っているのです。そんなのありえない!自分が死んだなんて信じられないと私は思うんですけど。。。結局、彼はあきらめて帰ってしまう。私、あのシーンで脱力してしまいました。
やがて葬儀の日になり、彼女は生き埋めにされる。カレシは最後の最後にやっぱり疑いを捨てきれなくて彼女の墓を掘り起こそうとするんだが、その途中で事故に遭う。彼もアナと同じ運命をたどる。アナを慕っていた子供は葬儀屋のオッサンの弟子になりました。
おしまい。
優しい恋人ジャスティン・ロングは『スペル / Drag Me to Hell (2009)』では、愛する恋人がジプシーの呪いにかけられるという目に遭いましたが、こちらでは恋人が生き埋めにされるという。。。そういう役どころが似合うなあ。
DVDのExtraに入ってた監督さんのインタビュー
映画のエンディングは微妙に夢心地の演出で、結局のところ、アナは生き埋めにされたのかよくわからないという気もしましたが、DVDのExtraに入ってた監督さんのインタビューによれば、やっぱオッサンはインチキでしたということでした。以下、監督さんのお言葉より。
- 死んだフリになる薬物『Hydronium Bromide』てのは架空のもんである(似たような薬物はあるそうな)。
- アナが事故に遭うシーンで白いバンが出てくるが、これは後のシーンで出てくる葬儀屋のバンと同じクルマである。
- ラストでジャスティン・ロングが事故するときにも白いバンがチラと出てくる。
- アナが鏡を見るシーンが2回ある。息で鏡が曇るという点からして、アナが生きていたのは明瞭である。1度目は彼女は目を閉じていたので気がつかなかった。2度目は気づいたけどプスリと注射されてしまった。
- アナ以外の死者たちの写真がダーと出てくる場面があるが、ある者は目を閉じており、またある者は目を開けている。目を開けているひとたちは、アナと同じように死を偽装されて生き埋めにされたひとたちである。
鏡の演出は私もわかりましたけど、白いバンてのは気づかなかったですね。いわれてああそうかとおもいました。監督さんのインタビューを見ないとすっきりしない映画なんてちょっとだめね、と私は思うのですが、どっちかよくわからないというのはきもちわるいのですっきりしてよかったです。
TRIVIAかな
お墓のシーンで以下の墓碑銘が見えました。なんでしょ。よくわからないんだけど、メモ。
Peter V. Remsen
1795 - 1866
Jake C. Remsen
1864-1880
結局つまり
プロポーズってのは、単刀直入にやらないとえらい悲劇に発展してしまうというレッスンだったのですね!これから「いっちょうキメてやるぜ」と思って準備しているひとは前置き話を長々とやって、思わぬ誤解をされないように気をつけよう。
余談ですが
ところで余談ですが、生き埋めテーマのホラーはいろいろありますが、江戸川乱歩の小説にちょっと変わったヤツがあります。これは『生き埋めにされたんだが、奇跡的に墓から出てきて生き返った男』のフリをして、別人になりすますというもんです。生き埋めにされる話じゃないんです。生き埋めにされたひとになったフリをするという意味です。へんでしょ?『パノラマ島奇談』という小説です。ちょっとおもしろいですから、未読の方はぜひどうぞ。死体を掘り起こすところの描写がきもちわるいです。
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