PV2,832

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|パペット・マスター3/ナチス大決闘|Puppet Master III: Toulon's Revenge』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

ネタバレあらすじ

トゥーロンはパペットたちを使ってナチスに復讐する。彼は追っ手を逃れるために盲目ホームレスに化けて町を歩いたり、最後はナチス兵の制服を奪ったりして、彼のコスプレ好きな一面が明かされた。わーわーとアクションがあって、最後には親玉わるもんのクラウス少佐をやっつける。善良少年のペーターくんを連れてドイツを脱出。スイス行きの列車に乗ってランナウェイ。その後、アメリカに行く予定だそうな。これで『パペット・マスター / Puppet Master (1989)』の冒頭シーンとつながりました。

が!

パペット・マスター / Puppet Master (1989)』ではトゥーロンは1939年にボデガ・ベイ・インで自殺したことになっており、1941年のベルリンでドタバタしていたというのは明らかに矛盾である。『パペットマスター』のシリーズはたくさんの矛盾点があり、ファンとしてはコジツケ理論を編み出しつつなんとか整合性を保ちたいと願うんだが、こればっかりはどう考えても説明がつかないですね。

ところで、ペーターくんの父は、トゥーロンの居所をナチスに教えた挙げ句にナチスに殺されるというサエないオッサンだったが、彼は逮捕されたポーランド人の妻を助けようとしてやったことなので、かわいそうであるともいえます。

さて、このような次第でトゥーロンはナチスから逃げてアメリカに渡ったわけですが、ナチスから逃げた直後の出来事が『Retro Puppet Master (1999)』にて明かされます。

この映画に登場したパペットたち

パペット・マスター - キャラクター図鑑

パペットたちの由来/トリビアなど

ヘス博士はナチスのわるもん科学者だったが、トゥーロンの秘技を知って以来、ナチスなんかどうでもよくなり、科学者としてのトゥーロンを尊敬するようになる。彼がトゥーロンに質問をする場面があった。トゥーロンは緑色の魔法の液体を持ってて、それをパペットたちに注射してたんだが、ヘスもそれを手に入れてやってみたんだけどうまくいかない。結果が安定しないのである。「なぜぼくがやるとだめなのか?」という彼の質問に、トゥーロンはパペットたちの由来を説明し、以下のような回答をした↓

(ジェスターを見つつ)あれはハンス・セイダマン(Hans Seiderman)。彼はジョーク好きな書店主だった。彼はナチスに撃たれて死んだ。(ピンヘッドを見つつ)あれはハーマン・ストラウス(Herman Strauss)。彼はトラック運転手で、ユダヤ人のために食料を密輸していて処刑された。(リーチウーマンを見つつ)あれは私の妻エルサ。彼女が殺されるところをあなたも見たよね。彼らに共通するのは「生きたい」という強い意志があったという点です。これはラボでつくれるものではない。人間の精神なのです。

このシーンの会話全文↓

Toulon: You didn't know your subjects, doctor. When I call these puppets my friend, it is no mere affectation. I knew them in life. Hans Seiderman, the book-keeper. Very funny. Full of tricks and practical jokes. Shot by the Nazis. Herman Strauss, truck driver. Executed for smuggling food to the Jewish ghetto. And Elsa. You were there when they took her from me.
Hess: Yes. But what gives them life?
Toulon: The will to live. I knew each of them before they were cut down by the Nazis, and they all wanted the same thing, the chance to go on fighting. That was the difference, they wanted this life after death.
Hess: They volunteered.

Toulon: Yes. The secret of the new life cannot be duplicated in the laboratory. It is the human spirit.

という点が明かされたんだが、それはわかったんだけど、ナチスのわるもんクラウス少佐をモデルにブレードをつくったという点がわからない。ブレードをつくった時点では、まだクラウス少佐は生きてたわけだし。なんで?と思ったら、Wikipediaには「ブレードはクラウス少佐を元にデザインされ、その精神はヘス博士を受け継いでいる」と書かれてあった(Wikipedia - List of Puppet Master characters)。imdbのBBSにも似たような発言がある(imdb.com - bbs - Who's Blade?)。ヘス博士が死に際に "Keep fighting." と言い残したというのがこの説の根拠であるらしい。私は少し疑問に思うんですけれど。

ところで、元々ブレードのキャラデザインは俳優クラウス・キンスキーに似せたものである。上にリンクしたBBSにも書かれてある通り、実際にはクラウス・キンスキーに似せて人形をつくり、それに似た俳優だからという理由でリチャード・リンチがキャスティングされたんだと思われ。デイヴィッド・シュモーラー(David Schmoeller)のインタビューから引用↓

"Blade is really Klaus Kinski ? see the resemblance?"

the terror trap - David Schmoeller

緑色の液体のレシピは明かされなかった。『パペット・マスター2 / Puppet Master II (1991)』においては、パペットたちが人間の脳を集めてきて魔法ジュースをつくるというのをやってたが、本作では、トゥーロンは善人なので人間を襲ったりするようなシーンはなかった。

トゥーロンはドイツに来る前、パリの大学で教えていた。彼の専門は化学と解剖学だったと明かされた。

goof?

トゥーロンとヘス博士の会話のシーンで「15年前にエジプトで秘術を教わった("It was given to me during a trip I took to Egypt with Elsa 15 years ago.")」という台詞があった。1941年の15年前は1926年だが、『パペット・マスター2 / Puppet Master II (1991)』で出てきたポスターには1912年と書かれてある。この違いはなんなのだ!と不思議なのだが、これもこのシリーズによくあるplot holeのひとつなのだろうか。1926年にしといた方が、トゥーロンを演じた俳優(スティーヴ・ウェルズ)の老け具合が自然である。

この映画の記事に戻る↓