PV1,456

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|ウバルド・テルツァーニ・ホラー・ショー|Ubaldo Terzani Horror Show』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

ネタバレ結末

ウバルド・テルツァーニなる天才ホラー小説家は、じつは背徳の快楽主義者であり、猟期的シリアルキラーだったのでした。彼自身がキラーになることによって文学的な感性を得ていたってわけでした。

これだけ聞くと「なーんだ、よくあるじゃねーか」と思うでしょうが、うん、まぁ、そうなんですよ。でも、そこに至るまでの見せ方がとても上手なの。

アレシオさんは、ウバルド・テルツァーニの存在を知って以来、何度も悪夢を見ていました。彼にとってウバルドなる存在は明らかな異物であり、心的に変調をきたしている、というようなもんかなと私には思われたんだが、それはずっとただの『夢』に過ぎなかった。ところが、ある日、『夢』が『現実』にリンクする瞬間が登場するのです。

ウバルドは純情青年を弄ぶように、アレシオをパーティに連れていく。そこにはテキーラとヤクと美女が待っている。アレシオは甚だめんくらうのであるが、師匠のいうことなので逆らえない。ウバルドはニタニタする。

そうこうするうち、アレシオの悪夢はエスカレートしてくる。彼は「これは夢だ」と自分に言い聞かせて、堪えている。ある朝、またこわい夢を見る。

前の晩にパーティで出会ったモデル女がいつの間にか自分の隣に寝ていて、そいつは血塗れで、片脚が切断されていた、というショック夢なんだが、でもそれは確かに『夢』に過ぎないのであるから、彼は非常なる忍耐で起きあがり、バスルームに入ったら、孔雀の羽でできた装飾品を発見する。

その孔雀の羽は、昨晩出会った女、さっき夢の中で出てきた片脚切断女が身につけていたものであると知って驚く。さらに、その女が行方不明になっているという新聞記事を見てギョッとする。こうなってくると、夢は夢でないのだと混乱し、この家にはなにか秘密がある、と感づくのです。

家の中にあるひとつの扉、そこは鍵がかかっていて入れない。あそこになにがあるのか。気になってたまらないんだが、彼はどうしてよいのかわからない。

そして、次なる章の幕開けへ。

アレシオにはローマで待つ恋人がいると知ったウバルドは「彼女もトリノに呼びなさいよ」と誘う。そのようすは、ジョナサン・ハーカーの婚約者、ルーシーの写真を見たときのドラキュラみたい。

かくしてカワイコちゃんがやってくると、ウバルドは親切なホストぶりで、若いカップルを近所の廃墟に案内してこわい噂話を聞かせたり、ごちそうしたり、ワインを飲ませたり、と世話を焼くんだが、明らかに、このオッサンは若い女の匂いを嗅いで興奮しているんですな。

カワイコちゃんはみるみるウバルドの術にハマり、アレシオさんの心配をよそに、ふたりは急接近する。ウバルドの手腕は、いかにも、若い娘をだまくらかす中年ダンディ男であり、抗しがたい魔力があるのである。この場面で彼女の浮気心を責めるのは酷というものであろう。相手が悪かったというか。

哀れなアレシオさんはワインをしこたま飲んでコテンと寝てしまう。おそらくウバルドはなにか薬を飲ませたのであろう。そういう場面はなかったけど。

ウバルドは大満足である。さてさて最後のシメにいきますか、うれしいなあ、生きててよかったー、とばかりに、カワイコちゃんに飛びかかる。こうなると、ダンディ男どころか、ギタギタねちねちの中年男。あー、やられちゃうんだー。

と思ったら、寝ていたアレシオさんが目を覚ます。目の前の痴態を見たら怒りがメラメラ〜!ドタンバにおいてエッチを邪魔された中年男は頭にきちゃって、カワイコちゃんを殺してしまう。あー。

アクションスタート!

ウバルドは、アレシオの見ている前でカワイコちゃんの死体をバスルームに運び、足をのこぎりでチョン切る。んで、胸を切って心臓を取り出してニタニタする。ばっかやろおおおおおと怒るアレシオさん。

格闘の末、ふたりは秘密の地下室にいく。そこには、行方不明だった孔雀の羽の女のバラバラ死体があって、アレシオさんはついにウバルド・テルツァーニという男の秘密を知る。この男はこうやって人を殺して、切り刻んで、それをネタにホラー小説を書いていたのである。

ドタバタ血塗れの大格闘の末、アレシオは相手のペンを奪い、それをめんたまに突き刺してついに勝利する。ふぅ。

稀代のホラー作家、ウバルド・テルツァーニは次の言葉を残して死亡↓

Ubaldo Terzani: You have to thank me, Alessio... because I gave you the gift of inspiration.

ぼくに感謝してくれよな。君が得たインスピレーションはぼくからの贈り物だよ。

そしてエピローグ。

アレシオさんはついに夢を叶えて、ホラー監督デビューする。彼がクルーを従えて撮影をしているのは、かつてウバルド・テルツァーニに案内された廃墟である。

アレシオさんの活き活きとした仕事ぶりを見ていると、なにやら一皮むけたようであり、かつての純真青年の面影を残しているものの、大きな自信が備わったように見える。

おしまい。

ウバルドの絶命台詞を上のように訳してみましたがどうですかね。この台詞は映画の序盤の台詞「恐怖はすでに君の中にある」という言葉と確かに関連性がある。

ウバルドは格闘に負けて死んじゃったんだが、決して悔しがってる風でなく、皮肉でもなく「死と引き換えに自分の後継者を得た」という満足感があったのではないか。「次からはおまえがホラー小説を書くのだ」みたいなきもちがあったのではないか。なんて私には思えました。そこがよかったんですよ。

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