PV2,275

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|怪談かさねが渕』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

ネタバレあらすじ

安永2年(1774年)。

下総・羽生村(いまの茨城県水海道市)。

めくらあんまの宗悦さん(岬洋二)は貸した金を返してもらおうと、当地のお殿様、深見新左衛門(中村彰)の屋敷にいったら「かねはないわ」と断られ「そ、そんなバカな!」と文句をいったら、ムシケラのようにブッ殺された。ズダーン。

深見新左衛門は使用人の勘三(横山運平)に命じ、宗悦の死体を、近所の沼、累(かさね)が渕にポイ捨て、知らんぷり。ひどいやつだと思ったら、後日、新左衛門は宗悦のオバケを見て、発狂。自分の奥さん(宮田文子)をブッ殺し、自らも狂死。累が渕にぶくぶく沈んでいった。

新左衛門夫婦には男の赤ん坊がいたんだが、両親が死んだとなると、赤ちゃんのめんどうを見るのは使用人の勘三さんしかいないんだが、勘三は考えた末、深見家と縁のある江戸の小間物問屋、羽生屋(はにゅうや)に赤ん坊を預けた。彼はそれが赤ん坊のためになると考えたのである。

一方、ブッ殺された宗悦さんの方にも幼い一人娘がいて、こちらはお累(るい)ちゃん(少女時代を演じたのは高田幸子)というんだが、母親はいないので、父が死んだいま、彼女が頼れるのは、女中兼乳母のお鉄さん(花岡菊子)だけである。どっちもかわいそうですな。

んで、20年後。

深見新左衛門の息子は青年に成長した。新吉(和田孝)といって、なかなかの男前である。元は武士の出であるが、いまは江戸の大店、羽生屋の使用人として働いているから、まるきり町人である。本人はその身分で満足しているようで、毎日まじめに働いている。

彼の仕事は、主に、羽生屋のカワイコちゃんのお嬢様、お久(北沢典子)のお供をすることなんだが、このネーチャンは新吉に惚れてるもんで「しんきち、しんきち」とかわいい声で呼んでは、あれこれとちょっかいを出してくるのであるが、新吉にしてみればチト困る。

血縁もないのに育ててくれた主人に対する恩があるし、また、現在、お久の縁談話が進行中であるという微妙な時期でもあり、くそまじめな新吉は、あらぬ誤解を受けないよう、逃げ回っているのであるのが、なにしろ相手はおてんばのお嬢様なので、彼の言うことなんか聞いてくれません。

お久ちゃんは、親の決めた縁談相手(川部修詩)が大嫌いで、いつもこんなことをいって新吉を困らせます↓

「いぢわる!しんきちのいぢわる!わたしのことちっともかんがえてくれない!」

どきんちゃんみたいでかわいいですね。

さて、彼女は三味線を習っていて、しょっちゅう新吉を連れてお稽古に行くのであるが、そこんちのお師匠さんは豊志賀(とよしが)さんといって、えらいべっぴんさんの色っぽいネーチャン(若杉嘉津子)なんだが、じつは、彼女は20年前に羽生村でブッ殺された宗悦のひとり娘、お累ちゃんの成長した姿なのであった。

彼女は、父の死後、女中のお鉄さんと江戸に移って、彼女に育ててもらって大きくなって、子供の頃から得意だった三味線の特技を活かして、いまはこうして立派なお師匠さんになったということで。

てわけで、新吉とお累という過去の因縁を持つ者同士が、20年の時を経て、江戸でばったり出会ったというわけである。ふたりは親の仇同士であることを知らない。

三味線のお稽古場には町の娘さんがたくさんくるんだが、ここでも新吉はモテモテである。これを見て、お久はほっぺたをふくらませて怒りだす。

「しんきち、おまえは近所の若い娘にちやほやされるのがうれしいんでしょ?」
「めっそうな、おじょうさま。そんなことは」
「いいえ、それにきまってます」
「もうしわけございません。わたしがいたりませんばっかりに」

「それにきまってます」っていわれても困るわな。「もうしわけございません」て、なんか、おもしろいんですけど。

モテ男は大変ですなあと思ったら、こんどは三味線師匠のお累さんまで新吉を好きだといいだす。お累さんは初めて新吉と会ったときから惚れていたそうで、こちらもお嬢様に負けない熱愛アピールで「わたし、いのちがけだわよ」なんていうのだ。うへー。

新吉はお累さんの熱愛光線を浴びてヘロヘロとなり、なにしろ相手は艶っぽいねえさんなので、そのままぐでーとなっちゃって、ナニして、朝帰りする。

したら、それが元で、新吉は羽生屋を首になる。羽生屋のおかみさん(阿部寿美子)にしてみれば、お久と新吉を引き離す好機だったのだろう。

羽生屋から放り出された新吉はお累さんちに転がり込んで、晴れてふたりは夫婦となる。急展開ですな。当然ながら、お嬢様のお久ちゃんはキーッとするが、彼女にはどうにもならない。

新吉とお累は調子良くやるんだが、ある日、お累の顔に三味線のバチが落ちて、顔にケガをする。彼女はバチが当たるようなことはなにもしてないんだが。

このケガが意外に長引いて、彼女は臥せってしまう。この後、傷がどんどん悪化して、彼女はお岩さんみたいになっちゃうのだが、まさかそんなことが起きるなんて最初は夢にも思わなかっただろう。

さて、こちらはお嬢様のお久。彼女は恋する新吉に会えなくて、それどころか新吉はお累と夫婦になっちゃったというのでピーピー泣いていたが、お累が具合が悪いと聞いて、しょっちゅうお見舞いにくるようになる。

彼女にとってお累さんは三味線の先生だから、見舞いにくるのは不思議でないが、これは口実である。彼女は新吉の顔を見にきているのだ。そんなことはお累にはお見通しである。新吉がお久の肩を持つようなことをいおうものなら、ねちねちと文句をいう。

「おまえさんはおひさちゃんのことばかり同情して、どうせあたしが死んだって、同情なんかしてくれないんだろうよ」

なんだかこわいですな。この先もっとこわいことになります。

ところで、この映画の主要人物の中に、大村陣十郎(丹波哲郎)という男がいるんだが、こちらは羽生屋に出入りしてうだうだやっている浪人チンピラで、三味線師匠のお累に以前からちょっかいを出していたんだが、ぜんぜん相手にされず、しまいにお累は新吉のものになってしまったということなんだが、このごろつきが新吉とお累にいぢわるをやりだす。

いろいろ細かい話があるんだが、簡単に言うとこうである。

大村はお嬢様のお久を煽って、新吉お累の夫婦仲がまずくなるように画策する。こんな台詞をいって、お久をソノ気にさせるのだ。

「お嬢さん、新吉はお嬢様への恋慕の情が断ちがたく、悩んでますぜ。男ってのは女の出方次第でどうにでもなるもんだ。どうです?一肌お脱ぎいたしやしょうか」

新吉とお久は大村の策略通り、密会するようになる。これに気づいたお累が死にものぐるいでやってきて、刃物を振り回しての修羅場になる。ここらへんになると、お累さんの顔の傷はどんどん悪くなり、その悲惨さ哀れさが如実になってくる。

「しんきちはあたしの亭主だよ。それをおまえは横取りしたね」

こんな恨み台詞は若杉嘉津子の18番である。さすが。おっかないですな。この先、もっとこわくなるよ。

さて、映画が進むにつれ、だんだんわかってくるのであるが、新吉という男はおそろしく優柔不断である。お累とお久の両方に言い寄られる彼は、その都度、両方にいい顔をする。まったくだらしがない。この映画を観ていると、「あんた、はっきりいいなさいよ」と思わずテレビに話しかける近所のオバちゃんになってしまうよ。

新吉は見るからにくそまじめで、誰に対しても実直かつ低姿勢なので、よもや遊び人風情には見えないのであるが、彼がやっていることを考えると、その場その場で無責任な発言をし、ふたりのネーチャンをヒィヒィいわせているわけであるからして、もしかしてこいつは根っからのホスト体質なんだろうかとも思える。たいしたもんですな。

新吉の父親はかんしゃく持ちのサイコパスだったが、その息子である新吉もどこか狂ってるのかもしれない。

一方、こちらは浪人の大村。彼は、当初においては、お累さんを我がものにするため、新吉とお久をくっつけてしまえという算段だったのかなと思われるが、お累さんがバケモノ顔になってしまうと、サッサと路線変更。彼の目的はカネとなる。

新吉とお久に駆け落ちをさせ、お久にめいっぱい資金を持ってくるようにいいくるめ、それをあとから奪ってしまえという魂胆である。ゆえに、ここはなんとしても彼らに駆け落ちをさせねばならない。大村はお累にトドメの一撃をくらわす。

「このバケモノめ。新吉とお久はとうに駆け落ちしたぜ」

なんていわれたお累さんは狂乱。水に映った自分のグロ顔を見て絶望。さらに、そこにお鉄さん(彼女を育ててくれたオバちゃん)がやってきて、新吉はかつて父をブッ殺した深見新左衛門の息子であるという秘密を聞かされ、彼女の怒りは頂点に達する。ドッカーン。

お鉄さんは江戸にきたあと、20年前に新吉を羽生屋に預けた勘三と再会してこの秘密を聞いたんだが、これまでずっと黙っていたんだが、こうなったら教えるしかないということでしゃべったのである。

さてさて、ここが若杉嘉津子の真骨頂です。ジャジャーン。お累さんの恨み骨髄極まる壮絶ブチキレ演技を堪能してください。どぞ。

「わかった。わたしゃ、わかった。おのれ、しんきち。よくもこのわたしを、親子二代に渡って、だましたなああああ」

彼女はこの台詞をしゃべった直後に、ショック死。

こえー。

新吉とお久は大村の策略通りに駆け落ちをする。彼らの行く先は、新吉とお累の生まれ故郷、羽生村。

山道をてくてく歩いていくと、怪しいめくらさん(河合英治郎)が道ばたに佇んでいる。新吉が道を尋ねると、相手は指を指して、彼らを導く台詞をいう。

「かさねがふちをとおってゆきなされえ」

オバケ屋敷の案内人みたいよ。もりあがりますなあ。ふたりが言われた通りに歩いていくと、やっとこさ、累が渕に着いたところで、お累さんのオバケがジャジャーン。

新吉は狂ってお久をブッ殺し、そこに大村が出てきて、新吉をブッ殺し、こんどは大村がオバケに追われて狂死。

このクライマックスにおいては、お累さんのオバケばかりでなく、20年前に死んだ宗悦さんのオバケも参戦します。父娘オバケに襲われたんじゃ、こわいもの知らずの大村もたまったもんじゃありません。

関係者は全死亡。彼らの死体は累が渕に沈んでいった。

後日、勘三とお鉄が累が渕を訪れる。彼らは悲惨な運命に落ちた若い3人、お累、お久、新吉を哀れに思い、「どうか成仏してくだせえ」と念仏を唱えて、手厚く弔いをした。

おしまい。

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