!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|フランケンシュタインの復活|Son of Frankenstein』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレあらすじ
前作『フランケンシュタインの花嫁 (1935)』のその後の物語。
前作からどれだけ経ったのか正確にはわからないが、当時子供だった人がいまは中年男になっているという点からして、40〜50年程度が過ぎたんだと思われ。ヘンリーは死亡している。
彼の城はずっと空き家だったが、ヘンリーの息子、ウォルフ・フランケンシュタイン(ベイジル・ラスボーン)が家族と共に帰ってくる。妻はエルサ(ジョセフィン・ハッチンソン)。幼い息子はピーター(ドニー・ドゥナガン)。彼らは故ヘンリー・フランケンシュタインが残した城を相続してそこに住むのである。いかにも都会人風の家族は、これまでアメリカにいたそうな。
ウォルフたちは「パパのお城はたのしみだなー」と喜んでやってきたのだが、村人たちの反応はおそろしく冷淡であった。かつて人々をヒデー目に遭わせた怪物の記憶はいまも風化しておらず「フランケンシュタインの息子だと?!どうせロクなもんじゃねえ。ケッ」てな調子で、すこぶる評判が悪いのである。ウォルフは都会人的な図々しさで「いつかみんなわかってくれるさ!」とのんきなことをいうのだが。
ウォルフたちが城に着いたら、召使いたちがすでにいて用意を整えていた。執事のベンソン(エドガー・ノートン)、乳母のアメリア(エマ・ダン)はウォルフ家族に永らく仕える者たちである。彼らはご主人様の到着に先だってここにきたんだが、使用人たちを雇うのにえらく苦労したという。ここらへんのものは「フランケンシュタインの城で働くなんてまっぴらごめん」という連中ばかりだったので、遠くから人を集めてこなくてはならなかったのである。
ウォルフは到着早々、城の中で父が残した手紙を発見する。
「息子よ。わしの研究の成果をすべてここに残しておくぞ。もしおまえがこういうのを嫌いだったら捨てちゃってください。でも、もし興味を持ったら、ぜひぜひ研究を引き継ぐといいよ。がんばってこれを完成させなさい。おまえはフランケンシュタイン家の遺産を相続した。でも不運な運命だけは引き継ぐんじゃないよ。父より」
これを読んだウォルフは「パパの手紙だ!」と感動し、多大な興味を覚える(やめときゃいいのに)。彼は翌日、城の敷地内にある研究ラボにいってみる。そこは前作『フランケンシュタインの花嫁 (1935)』のラストでどっかーんと壊滅したあの場所であるが、当時のまま残っていた。ガラクタだらけの廃墟は天井が崩壊している。「こりゃすげえ」とうろついていたらば、謎の怪奇男とばったり出くわしておののく。
この男はイゴール(ベラ・ルゴシ)という。もじゃもじゃヒゲ顔の汚らしいホームレスみたいな男である。彼は城が無人であるのをいいことに、勝手に住みついていたらしい。
イゴールは前科者である。彼はかつて死刑を宣告され、絞首刑になったが、どうかして生き延びたそうな。そのせいで首がひんまがっている。その怪異な外観から村の子供たちに妖怪扱いされて怖れられているが、外観のみならず、そのマインドも妖怪ぢみている。
ところで、ラボの床には大きな穴があり、その下はぐつぐつと煮えたぎる温泉であった。硫黄のアワがぶくぶく吹き出すさまは地獄の釜である。偶然この場所に温泉があったということなんだが、これを見ればラストが想像つきますね。
さて、ウォルフはイゴールとしゃべって、さらにもうひとりラボにいることを知る。それはあの怪物(ボリス・カーロフ)であった。怪物はイゴールといっしょに隠れ住んでいたのだが、ある日雷に打たれて意識を失い、そのままずっと眠り続けているそうな。イゴールは眠る怪物を地下に運んで隠しておいたという。
ウォルフは怪物を間近に見ておったまげ「これがパパの創作物なのかー」と感動する。そして、父の残した記録を頼りに怪物の目を覚まさせる努力を始める。元々のきっかけは、イゴールに「こいつを助けてやってくだされ」といわれたからなんだが、いわれなくても彼はやったのではないだろうか。
彼が眠る怪物を検査しまくるシーンはすごくおもしろい。心拍数が200を超えているとか、心臓に2発の銃弾が入ったままなのに生きているとか、他にもいろいろいってたが、専門用語だらけで私にはよくわからないんだが、とにかく驚異的な身体能力を備えた超人ってことらしいです。
ウォルフは誰にもナイショでこれをやったが、執事のベンソンにだけは最初からすべて打ち明けた。彼のアシストが必要だからである。ベンソンはおっかなびっくりしつつ、主人のいう通りに助け役をした。
検査をやったあとは、このシリーズおなじみのあれ、かみなりゴロゴロどかーんの実験風景を経て、怪物はジャジャーンと復活する。おぉおお。
そこまではよかったが、怪物はウォルフの予想を超えて勝手な動きをするもんで、ウォルフは後悔し始める(父とパターン同じ)。執事のベンソンが忽然と消えてしまったと思ったら、村では奇怪な変死騒ぎが起きる。怪物が勝手に動き回っているんだろうか。
やべーなーと思ったら、イゴールの態度が急変。この男は最初の頃はじつに低姿勢で「先生、おねがいしますだ」とかいってたんだが、怪物が復活したら「あとはこっちでやりますわ!」てなことをいって、ウォルフをコバカにするような態度なのである。
怪物の行動は予測不可能だが、イゴールのいうことは聞く。うまいこと手なづけているらしい。イゴールと怪物の動きは神出鬼没で、どうやって出入りしているのかわからない。さらに、悪いことに、怪物はどうやってか、ウォルフの息子のピーターくんの部屋にちょくちょく遊びにきてるらしい。いまんとこ危害を加えていないが、これはかなり危険である。
イゴールと怪物がウォルフを出し抜いて勝手なことをやれるのは、イゴールが城の中の隠し通路を熟知しているからである。長年ここに住みついていたイゴールはこの家の主人さえ知らない通路を知っており、あっちに出たりこっちに出たりできるのである。
ここらへんからウォルフはキョドッってくる。奥さんは夫の異変に気づいて「ナニゴトか」と心配するが、彼は「すこしのあいだ、ブリュッセルにいっていてくれ」とだけいう。
さて、ここで活躍するのが村のおまわりさんのクローグ(ライオネル・アトウィル)である。彼を紹介するのが遅くなってしまったが、このおじさんはウォルフ一家が城に到着したときから登場していた物語の主要人物であり、じつにユニークであり、このオッサンがひとりでこの映画を盛りあげているといってもいいくらいの重要キャラである。
おまわりさんクローグは子供の頃に怪物に襲われたせいで、片腕が義手である。ウォルフ一家が城に到着するとすぐにやってきて、丁寧な挨拶をし「わたしはあなた方をお守りしたいです」と述べた。
敵意を抱く村人たちから危害を加えられないよう、おまわりさんとして気を配ってくれるのである。本来なら怪物のせいで腕をなくしたわけだから、恨みを持ってもよさそうなもんであるが、彼はウォルフ家族に親切であり、プロの仕事に徹している。田舎警察らしからぬ建設的なマインドの持ち主。
そんなクローグはちょくちょく城にやってきてはめしを食ったり、世間話をしたりしていたのであるが、ウォルフがラボに入り浸りであると聞くとますます頻繁にやってくるようになり、さらにベンソンが行方不明になり、村で変死が起きると、いよいよマッタナシと見て調査に乗りだす。
彼はウォルフに対し率直に問いただすのであるが、ウォルフの方は「わ、わ、わたしは知りませんヨ!村の人たちは田舎もんだから、迷信にまどわされているのではないですかなあ。わはっははは」というような台詞を、冷や汗ダラダラのキョドキョド顔で述べる。という調子なので、もうバレバレ。ウォルフの小心キャラはヘンリーのDNAをモロに引き継いでいる。クローグがベンソンの死体を発見すると、もう隠しておけなくなる。
さて、事件の真相は、イゴールがウォルフをたぶらかして怪物を復活させ、怪物を使って村の人たちを襲ったということだが、その理由がわかんないなと思ってたら、後半で動機が明かされた。イゴールはかつて自分を絞首刑にしたヤツラに復讐をしているのであった。そうだったのか。執念深いヤツですね。彼はウォルフに銃で撃たれて死亡する。
怪物はたったひとりの友達であるイゴールの死体を発見し、嘆き悲しむ。ヤケクソになって、ガオーと暴れだす。彼はピーターくんをさらう。なにをやりたかったのかいまいち謎だが、ひとりだと寂しいってことだろうか。
ラスト。
ラボを舞台に格闘。ウォルフは華麗なロープアクションを決めて、怪物をどかーんと高熱温泉の穴に落っことす。ぶくぶくと硫黄が吹き出す地獄の釜に落っこちた怪物はオダブツ。めでたしめでたし。
ラストのラスト。
怪物騒ぎはもうこりごりと反省したウォルフは城を捨て、村を去ることに決める。集まった村のみなさんに「やぁ、みなさん。あの城はどうでもすきにしてください。おげんきで!ごきげんよう!」とノーテンキな挨拶をすると、村人たちはとりあえず喜んで「ばいばーい!」と歓声をあげる。ウォルフは爽やかに大スマイルをする。ウォルフ一家は声援に送られて、列車に乗る。ばいばーい!
おしまい。
※このノーテンキさもパパ譲りですね。人騒がせな男!
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