PV20,150

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|スペル|Drag Me to Hell』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

まずイッパツ目の盛り上がりは、駐車場でクリスティンがババァに襲われるシーンである。クリスティンは自分の仕事をしただけでなんもわるくないのだが、キチガイババァは怨念の虜と化しており、もはや常識は通用しないのだ。年寄りらしからぬ怪力と執念でうりゃうりゃと追いつめます。このシーンのドタバタはとてもおもしろい。車の中で格闘。おでこにホチキスを刺されて入れ歯を失ったババァは、クリスティンの下あごに噛みついてふがふがします。ひゃーーーー。きもちわりぃ。ふがふが攻撃にたまらないクリスティンはうりゃーと定規(かな)を相手の口の中に突っ込んでズブリと突き刺してやったら、相手はそれでもひるまず、突き刺さった定規をズボーンとミサイルみたいに吐き出した!どうなってんだ!

ババァはさんざん彼女をこわがらせたのち意外な行動をする。いやんもうだめあああああああと思ったら、やにわ相手の上着のボタンをむしりとり、にたーりと笑う。そのボタンを大事そうにみつめて、なにやら呪文を念じる。「ラミア〜」と呪いの祈りをしたあとは一転して満足げであり「こんどはおまえがわたしに土下座をするんじゃないかえ?」と述べ、彼女にボタンを返し、フォフォフォと笑って去っていったのであった。こえー。

いろいろあるんだけど、ざっくりハショります。

ラミアってのは、ジプシーだけが呼べる魔物(?)である。そいつに呪われると最初の3日間はこわい目に遭わされ、そして地獄に連れていかれるそうな。ラミアの犠牲者となるのは呪われたアイテムの所有者で、この場合はクリスティンのボタンがソレだが、たとえボタンを焼却したとしても、持ち主が変わらない限り犠牲者は逃げられない。

という話を教えたのは、アラブ顔ヒゲ男の占い師であった。彼女の身辺にはオカルト珍事が頻発するようになり、ヘロヘロになってくる。優しいカレシは優しいんだが、こういうのをぜんぜん信じてないので頼りにならず、クリスティンはカレシに自分がキチガイだと思われて嫌われたくないんで正気のフリをするのに精一杯で、アラブ顔ヒゲ男の占い師は親切ゲなんだが、こっちもいまいち頼りないんだが、それでも「ラミアをなだめる方法がある」とかいって「動物の血を捧げるのだ」というんだが、クリスティンはベジタリアンで、捨て犬シェルターのボランティアもやってるんで、そんなのムリ!とあらがうが、それでもやっぱりこわいので泣く泣く飼い猫を殺して庭に埋めてみたんだけど、ネコくらいじゃラミアは満足してくれなかったもんで、ぜんぜん役立たずなのであった。

さてさてドタンバになってきたらば、アラブ顔ヒゲ男がもったいぶって「しょうがねえか」という調子でひとつの提案をする。「ラミアを撃退できるようなえらい霊媒師の先生がいるのだ。でも彼女にとってものすごく危険である。彼女に仕事を頼むんだったら1万ドル払わなくちゃいけない」というのだ。詐欺のようだが、彼女はいてもたってもいられないんで、その提案をのむんだが、お金が集まらなくてこまったと思ったら、優しいカレシがポンと出してくれた。優しいから。

1万ドル持ってえらい霊媒師の先生のところにいく。このジプシー女性は「わたしゃラミアをやっつける日を待ち望んでいたのだ」とやるきまんまんなんだが、それならタダでやってくれてもよさそうなもんだと私たちは不思議に思うんだけど、まぁプロですからね。お金もらわないと仕事しないのです。

さて、ものものしく儀式が始まる。メーメーヤギが連れてこられる。ラミアを呼び出して、ヤギの肉体に封じ込めたら首チョンパしてやるのだ。それで完璧なのだ。ということだったが、このミッションは失敗に終わり、ジプシー女性はラミアと戦って死亡する。クリスティンはこまる。

したらば、アラブ顔ヒゲ男がまたまた「しょうがねえか」という調子で別のやり方を教える。「呪われたアイテムであるそのボタンの所有者を変えればよいのだ。だれかにそれを渡して所有権を放棄しろ」というんだが、それなら最初からいえヨと思ったら「渡された人が呪われちゃうでしょ」そうである。ふうむ。なんか頼りないけど頼れるのはコイツだけなのだ。

さて、クリスティンは苦悩する。だれに渡そうか。もうすぐ時間リミットなのだ。早く次の所有者を見つけないと地獄に連れていかれちゃうのだ。深夜のダイナーでコーヒーをおかわりしつつ、だれかいねーかなーと思って、最初はズルをして昇進を決めた同僚jerk男(レジー・リー)にしようと思ったが、結局、できなかった。いくら嫌なヤツでも自分の身代わり地獄に行かせるというのは気がひけちゃうのである。さーて困った!

と思ったら、あのキチガイババァが死亡したという新聞記事を見つけて驚く。さて、死人に所有権を委ねることはできないもんだろうかと彼女は思いつく。元はといえば、このババァが災難の始まりでありから、死んだババァにボタンを渡して地獄に落としてやるというのはじつによいアイデアである。これだ!

死人にボタンを譲渡できるかという疑問をアラブ顔ヒゲ男に聞いてみた。彼は「しょうがねえか」という調子で「ジプシーの世界じゃ人間は死んでも魂は死なない。だからできるんじゃないかな」と述べた。なるほど。

夜中に墓を掘り起こすシーンでは、ホラーのお決まりでざんざんドシャブリである。泥まみれグチャグチャになりつつ墓を掘り起こし、ババァの死体を見つけて、その口の中にボタンの入った封筒をうりゃーと突っ込んでやった。これはおまえにくれてやるぞおおお地獄におちやがれわっはっはーざまあみやがれ。このシーンもすごくおもしろい。

よっしゃ!これでやっと私は地獄行きから逃れられたのだ!と彼女は安堵する。翌朝は優しいカレシと旅行に行く計画が待っている。このカレシは私を見捨てることなくポンと1万ドル出してくれた。私はこれから幸せになるのだ。やったぞ。晴れ晴れとした顔でオシャレをして待ち合わせの駅に急ぐ。途中できれいなコートを買った。きょうの私はちがうんだ!浮かれてます。

駅についたらカレシが笑顔で出迎える。ふたりは幸福絶頂のカップルなんだが、カレシが「あ、そういえば、これを君、忘れていったでしょ」と笑顔で取りだしたのは、あのボタンが入った封筒だった!コインマニアのカレシのために、彼女は銀行業務で稀少コインを見つけると彼にあげるというのをしてたんだけど、その封筒とボタンの封筒が入れ替わっていたという点に気づいたクリスティンはひぇえええええええとおののく!恐怖顔でワナワナと後ずさり。線路に転落。電車が突入。天国から地獄に垂直落下。

おしまいー。

※余談ですが、クリスティンは元デブで、ポーククィーンにも選ばれたことがある。悩む彼女が「くそったれええ」とアイスクリームをガボガボ食うシーンがありました。

※もうひとつ余談ですが、映画の冒頭で彼女が車の中で男の声のテープを聴いて復唱するシーンがあって、それは昇進話にわくわくする彼女が自分を奮い立たせているわけですが、あれは、ジプシー女のところでラミアを呼びだす呪文を唱えるように教わるところとなんとなくカブってました。こういうさりげなさがいいです。この映画の脚本はこんな小技が満載で楽しめました。

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