!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|リムーバル|Removal』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレ結末
いろいろあるが、簡単にいうとこうであった↓
- カーシュなる自殺男はじつは自殺していない。
- コールなる人物は実在していない。
- コールはカーシュが脳内に妄想する別人格だった。
真相↓
仕事を首になったカーシュは、妻との関係が悪くなり、離婚を言い渡された。狂った彼は妻と子供をブッ殺した。その後、コールなる人物を脳内に妄想した。自分は「他人の自殺に巻き込まれたせいで病気になり、妻に捨てられた不幸な男」になったつもりだったってわけです。
コールは金持ち男に対しこんな台詞を述べていました↓
Cole: I used to think a strong man should be able to do everything himself. The truth is, the only real strength is realizing that you can't do it alone.
強い人間とはすべての問題を自力で解決するもんだと思っていたが、それは間違いだった。真の強さというのは、人間はひとりきりではなにもできないという点を認めることだった。
という台詞はカーシュが自殺する直前にしゃべった内容と良く似ている。これ↓
Kershe: You know what my problem is, Cole? I always tried to do everything myself, never wanted any help from anybody. I thought that made me strong, But I've been a very weak man, Cole... very weak. The truth is, the only real strength is knowing you can't do it alone. So I really want to thank you, because I don't think I could have done this by myself. Anyway, it's getting late and I know you've, you've got things to do, so... so... away we go.
つまり、この話のおもしろさは「自分を強いと信じる男がひとりきりではなにもできないと気づき、脳内人格をつくりあげた。多重人格になっちまった」という点だと思うんですね。いかにもキチガイっぽくていいんだが、上に書いたように、映画の序盤でこのtwistが読めてしまうのが難点であります。
その後、いろいろあって、金持ち男は奥さんを殺したと確信するに従い、コールは頭がおかしくなってくる。いや、元々からおかしいわけだが、それが輪をかけてへんになり、人格乖離っていうんですかね、目の前にカーシュが出てきて、自分と会話するような案配になってくる。
んで、金持ち男を殺しちゃう。
んで、次に第2のびっくり。
金持ち男の奥さんは生きていたのです。電話が鳴って留守電に切り替わったら、奥さんの声がして「あなた、ごめんなさい。いろいろあったけど、わたしは家に帰るわ。子供のこともあるし。ゆっくり話し合いましょう」なんて聞こえた。
彼女は夫とケンカして家出をしていただけだったんですね。いかにもサイコパスであるように思われた金持ち男はただのイヤミ男だった。よくある夫婦喧嘩だった。血の痕跡と思われたのはワインだった。トランクの中身は妻の持ち物だった。
最後。
コールは家中の掃除をしてピカピカにする。死体の痕跡も消す。そこに不動産屋の娘がやってくる。
おしまい。
感想再び
この多段オチはかなりおもしろいと思うんだが、悲しいかな、映画としておもしろくないの。編集が悪いのか、脚本が悪いのか。なにかワザが足りなくて、最後にずがーんとこないの。じつにもったいない。
「えっ、そうだったんですか、ちゃんちゃん」と余韻を残す終わりにしておけば、いいエンディングになったものを、不動産屋のネーチャンなんか出すからぜんぶブチ壊しになったように、私には感じられました。
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