PV5,635

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|ファーザーズ・デイ 野獣のはらわた|Father's Day』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

ネタバレ結末

片目ヒーローのエイハブ、善良神父のジョン、金髪ボーイのトゥインク。3名はチェルシーを救うため、ファックマンのアジトを急襲。Astron-6の安っぽいフェイクCMなどを挟みつつ、すったもんだのアクションの末、ついにファックマンをブッ殺す。やったぜまいったか。ハァハァ。

が、残念なことに、チェルシーさんは重体危篤。意識は戻らない。彼女は病院のベッドで昏睡し続ける。エイハブはなすすべなく妹の寝顔を見守る。あー、かわいそう。

しばし休息タイム。

3人はそれぞれの人生に戻るが、なんだかフヌケになっちまったようである。その心の中には、万感悲喜交々、複雑な想いがあるのであろう。

そうこうするうち、病院で寝ていたチェルシーさんは、ある日、ガバッと覚醒する。彼女は兄エイハブの部屋にやってくる。ふたりはムラムラーと盛りあがり、近親相姦sexをしてしまう。ナヌー。

じつは、ファックマンは人間を超越したオカルト的な存在であり、人間に憑依しながら永遠に生き続ける悪魔だったのである。という秘密をジョンが知ったときには、すでに手遅れであった。このままほっとくとファックマンベイビーが産まれて、またぞろ、復活しちゃうのである。くそぉ。ファックマンは元から絶たなきゃダメ!サンポール!

てわけで、舞台は地獄に移ります。

ラウンド2、スタート!

地獄の風景は『トロマ的中川信夫 映画』といった趣である。なかなかおもしろい。ホエー。エイハブは興味深くそこらへんを見物して回る。まもなくしてトゥインクも到着。

ところが、ジョンだけはいつまで待ってもやってこない。どうしたのかな。その頃、ジョンは天国にいた。彼は神父だから天国に回されちゃったのである。

天使が出てきて「ハーイ、ジョン。ここは天国だから、きれーなネーチャンがいっぱいいるよ(twinkiesっていってた)。好きに遊べばいいよ」なんて歓迎されるが、彼は怒る。

「ぼかあ、地獄にいきたいの。天国は困るの」といったがどもならんので、神様(ロイド・カウフマン)に銃を向け、文句をいったが、ぜんぜんだめ。「頭を冷やしなさいよ。いっしょに聖書でも読もう」とかいわれてしまう。神様はジョンを地獄に行かせたくないらしい。

したら、そこに、死んだめくら神父が出てきて、ジョンに加勢してくれる。めくら神父は神様を銃で脅し「ジョンよ、ゆけ!はやくゆけ!」と後押ししてくれた。ジョンはめくら神父に深く感謝をする。どどーんと地獄に落下。

地獄じゃエイハブが地獄の大怪物を相手に大格闘の真っ最中であった。うへー。おおきいなあ。きもちわりーなあ。チェルシーさんは鎖に繋がれて、生け贄美女である。

ジョンもさっそく闘いに参加するが、ぜんぜんかなわない。ジョンはメープルシロップを投げつけようとしたが、バコーンと一発、下半身をえぐられてしまった。敵は強い。あまりに強い。なにしろ相手は悪の大根源の大怪物の大悪魔である。ザコ人間が束になっても勝負にならない。万事休す。

と思ったら、横からメアリさんが登場。メアリてのは、チェルシーが勤めるストリップクラブの女主人であり、エイハブを愛し愛し愛し愛し、エイハブひとすじに愛を貫きつつも報われず、中指を立てて死んでいった女である。

彼女が横から出てきて「これでもくらえぇええええ。うぉおりゃああああ」と投げつけたのは、エイハブ特製のメープルシロップであった。おぉおおお。

Mary: Maybe now you'll take me syrupsly!

エイハブのメープルシロップはpurityの象徴である。彼は少年時代に父を救えなかった。仇討ちと称し、別人を殺してしまった。彼は己を呪った。山にこもり、人生を贖罪に捧げ、ただひたすらにおいしいメープルシロップをつくり続けてきた。だからこれはただのシロップではないのである。ドラキュラが恐れる聖水に等しいシロップである。

エイハブ特製のメープルシロップに、メアリさんの愛のちからが合体すれば、これすなわち、最強と武器と化す。まさに草薙の剣。これをまともにくらった怪物さんはたまらない。しょぼーんとげんきがなくなり、なめくじのように小さくなってしまいました。あとはふんづけておしまい。

ふぅ。

かくして闘いは終わった。

エイハブはチェルシーを救えたことに満足し、そこまではいいんだが、こいつらは兄妹のくせに、ブちゅーとキスをする。近親相姦ではないか。ふたりがsexしちゃったのは悪魔のせいでしょ?でももう悪魔はいないんでしょ?なんで?

と不思議に思う間もなく、悪魔が死んだことにより、肉体が現世に帰る準備をし始める。チェルシーの肉体はぼわぼわーと薄くなり、あっちにいっちゃう。彼女は憑依されて病院で寝てたから生き続けることができるみたい。でも、他の連中は地獄にくるために死んじゃったから、戻れない。

泣いてお別れする間もなくチェルシーは消えてしまうが、ジョンはさすがに知恵が回る男である。「帰ったら中絶をしろよ!」と念押しするのを忘れなかった。でも神父が中絶を勧めていいんですかね。

残されたみなさんが放心するところに、ロイドさん演じる神様が「よっ!」とやってくる。ジョンはいちど会っているが、エイハブは初対面だから「なんじゃこのオッサン」とかいう。メアリはその正体を見抜いていたようだが。

ここでの会話でオチが明かされるんだが、要するに、『神様 = 悪魔』だったということでした。地獄と天国を所有する全能の神(= 悪魔)は人間をアタフタさせて遊んでいるらしいです。「映画づくりみたいなもん」なんだそうな↓

God: That's right. That's right. I own upstairs and downstairs. You give the illusion of competition and it raises morale. Kind of like the movie business.

ジョンは怒る。神を悪魔呼ばわりする。彼は聖職者だからいちばんショックを受けたのですね。「悪魔め、おまえの負けだ!ざまーみろ!」てなことをいうんだが、神すなわち悪魔はニコニコ顔。うれしげなようすで「よくやったなあ。きみらはえらいなあ。フォフォフォ」なんつって、すたすたと歩き去っていくのである。残されたみなさんはあっけにとられる。なんなの、おれたち。みたいな。

最後。

さて、トゥインクはどうした?と思ったら、彼は天井に叩きつけられて死んでいた。てか、地獄だから、ここにきた時点で死んでるんだが、他にいいようがないのです。

また、メアリさんはこの闘いにおける最大の功労者のはずであったが、ここまでやっても、エイハブは彼女に振り向かない。だから頭にきてどっかにいっちゃう。

残ったのは、エイハブとジョンのふたりきり。さてどうしよう。おれたちは帰れないの?ずっとここにいなくちゃいけないの?と絶望しかけるんだが、ジョンがまた聖職者らしいことをいう↓

John: Maybe if we just hope really hard. Really, really hard.

「希望を強く強く強く強く持てば、きっと帰れる」と彼はいい、エイハブもそれに従うんだが、彼らはどうやっても戻れない。あっちの世界では、3人の死体が部屋に転がっている。

と思ったら、あれれ。

死体の上にネコが2匹いる。もしかしてネコになって現世に戻ったの!?

おしまい。

はははははははははははははははははははは。

感想再び

上に書いた以外にも、刑事がどうしたとか、地獄でこわい目に遭うとか、いろいろあるんだが、そこらへんはハショッちゃいました。詳しくは映画でどうぞ。

「メープルシロップの不思議な力とメアリさんの愛の力が合体して勝てた」というのは、私が勝手にそう思っただけです。映画の中で明確には明かされなかったと思うが、そのように考えるとしっくりくるなっておもったから。

メアリさんが死ぬ場面はすごくよかった。彼女は死ぬ間際までエイハブを愛し続けて、それでも報われず「この大馬鹿野郎はわたしよりもシロップを愛していやがるんだくそったれ」といい残して死んでいったのです。中指立ててさ。

Mary: Bastard always loved that syrup more than he loved me. Did you ever take us seriously?
John: Aren't you gonna answer her?
Ahab: I would but, she is already gone.

この場面はなんど観てもいいなあ。

そして地獄で彼女がシロップを投げつけるときのこのキメ台詞ですが↓

Mary: Maybe now you'll take me syrupsly!

もう少し詳しくいうと、最初ジョンが同じ台詞をいったんですね。でもすぐにやられちゃった。そこにメアリさんが出てきて、同じことをいって投げつけた。そしたら効いた。だからさ、やっぱり『シロップ + 愛の力』の合体ワザだったんじゃないのかな。

蛇足ながら申し添えると、syrupslyはseriouslyのシャレであり、このフレーズはメアリが死ぬ間際にいい残した「Did you ever take us seriously?」につながっているのかなと。「こんどこそ!」っていうきもちが込められているよね。

最後のオチについて。

「神は悪魔だった」というのは、低予算ホラーによくある脱力オチですよね。しかし、この映画の場合は脱力オチになってないからえらいと思う。しょーもないオチに力を与えたのはロイド・カウフマンです。彼があの台詞をいうとすごくいい。

ロイドさんはこの映画のメープルシロップなんだな。私はそのように考え、その部分も含めて好きなんだが、これは私がロイドさん好きだから目が霞んでいるのかもしれない。それでもいいですよ。おもしろかったから。

先に書いた通り、この映画の地獄の風景は中川信夫風だなって思ったんだが、そこから連想して『ロイド・カウフマン = 嵐寛寿郎』ではないかとニヤニヤしました。嵐寛寿郎は『地獄 (1960)』で閻魔大王を演じています。すごいひとはすごい役を演じるもんなのですね。

最後でエイハブとチェルシーがブちゅーとやった件でありますが、あれはなんなんですかね。私、よくわかりません。いくつかの仮説↓

もうひとつわからないんだが、エンディング近くでトゥインクの死体を見上げて、そこにエイハブのコートがひっかかってて「あそこに鍵があるのに!」というんだが、あの鍵ってなんなのですかね。なんの鍵?どこの鍵?

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新年早々、超ロングなエントリになってしまいました。これは年内にアプしようと思ってたんですけど、長くなって伸びてしまった。気がついたらお正月を過ぎていた。今年もよろしくお願いします。

Happy New Year! I love all of you guys!

ふぅー。

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