!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|実録・阿部定』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレあらすじ
定を演じた宮下順子のナレーションで始まります。
「5月20日。品川の品川館という旅館で逮捕されたとき、わたしはおおわだなおという名前を使っていましたが、これまでの自分でも覚えきれないほど、いろんな名前を使ってきました。みやこ、はるこ、しずか、そのまる、さだこ、はる、おかる、いくよ、いしいとき、よしいのぶこ、よしいまさこ、たなかかずよ、たなかかよ、くろかわかよ。みんな、わたしです。吉蔵さんの店へ奉公したときはかよという名でしたが、吉蔵さんが死んで、わたしはやっと元の阿部定になりました」
ジャジャーン。はじまりはじまり。
昭和11年。
定(宮下順子)と吉(江角英明)は、惚れて惚れて惚れ抜いた末に、愛のズブズブ逃避行をひた走る。小さな待合(まちあい。いまでいうラブホ)の小部屋に落ち着くや、障子を締め切り、朝から晩までお酒を飲んで乱痴気パーティsex三昧。荒淫放蕩堕落の日々に耽溺するのであった。
ふたりは1秒も離れていたくない。常に合体していたいのである。それが、生きる、ということなんですね、このひとたちにとっては。
吉は家庭持ちの若旦那で、定は雇われ女という間柄であったが、吉さんはお金を持ってないみたいである。ここに至るまでに使い果たしてしまったのか、あるいは、お金も持たずに飛び出してきちゃったのかはわからないが、確かにいえるのは、このふたりはお金どうこうの間柄ではないのです。
どうやって、彼らはこんなお金のかかる暮らしをやっていけるかというと、定が資金を調達してくるのである。彼女は元は裕福な畳屋のお嬢様だったが、18歳で不良デビュー。その後、芸者やら、妾やら、カフェの女給やら、売女やら、酌女やらをやりつつ、居場所を変え、名前を変え、流れ流れてたどり着いた先に吉と出会ったということで、当節31歳の女ざかり、こんな年季の入った姐さんであるから、スポンサーくらいはいるのだ。
無論、ふたりはかたときも離れたくないが、それは身を切られるように辛いことなんだが、やっぱりお金は要るんで、そのときだけは我慢する。定ちゃんは金持ちスポンサー(坂本長利)からカネをむしりとって、しゃにむに戻ってくる。ふたりは大盛りあがりで本番スタート!という調子でキリがないのであった。
ある日、いつものようにうだうだエッチをしてたら、首締めプレイをやりすぎちゃったもんで、吉さんはゲホゲホと咳き込んで、具合が悪くなってしまう。それでも彼は怒るふうでもなく、ますますおまえがいとおしい、という調子。もうこのひとたちは、どう転んでもくんずほぐれつなのである。たとえ地球がなくなっても、sexに夢中で気づかないであろう。
吉さんの傷は意外にも長引き、彼は臥せってしまう。定は甲斐甲斐しく看病し、銀座の名店の高級料理を取り寄せるやら、クスリを買ってくるやら、がんばるのであるが、これをきっかけに吉はチョッピリ弱気の虫が出てきたようであり、「おれ、いっぺん家に帰ろうかなあ」なんていいだすので、定ちゃんは気が気じゃなくなる!
ええええええええそんなのいやいやいやいやいやいやきちさんきちさんきちさんずっとそばにいたいのいやいやいやだってば!
とかわいくゴネるのである。それを見た吉さんはますますこの女がいとおしくなるのであり「ここはひとつおれたちの未来のために我慢するのだ。女房なんかに妬くな。俺だって辛いんだぜ」なんつって、どこかで聞いたような台詞を吐くのであるが、定のような女が男のこんな台詞にいいくるめられるわけがない。
彼女は男を知り尽くした妖婦であり、そしてさらに、吉は彼女にとって惚れに惚れ抜いた本命なのである。1秒だって奥さんなんかに返してやるもんか。
てわけで、定さんは吉さんをブッ殺す。
彼女は満足げに死体を愛でる。もうあなたはわたしのもの。だれにもわたさない。愛する吉さんすきよすきよ。
そして、お待たせしました。チンコカット。包丁でグリグリ。切り取ったブツを紙にくるんでだいじにしまった。
そして吉の足とシーツに、血文字でラクガキをした↓
定・吉二人キリ。
書き終えると満足げである。さらに吉の腕に自分の名前を刻んでみた。うれしそう。晴れて惚れた男と結ばれた生娘のようであり、偉大な仕事をやり終えたひとのようでもある。
定は愛する男のチンコを懐に隠し持ち、逃亡生活に入る。ときどきチンコを使ってオナニーをする。やがて死体が発見され、刑事がやってきて、彼女は逮捕される。
おしまい。
押収証拠品。腰紐一本。肉切庖丁一挺。局部。
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